| 2004/5/16 | 祭りの余韻 |
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小淵沢から乗った特急あずさは妙ににぎやかだった。ワンカップやビールで、既に
できあがっているらしい、初老の男性10人ほどのグループが大声で話している。
聞くともなしに耳に入ってくる会話から、それらの男性グループが10年以上にわたって
毎年、もちまわりで幹事をつとめながら旅行をしていること。そして今年は
諏訪神社の御柱祭に行ったらしいことが分かってきた。
御柱祭は7年に一度の祭りである。ニュースで流される映像に覚えのある人も多いだろう。 切り出した杉の木を山の急斜面をすべりおとす。その杉の木は諏訪神社の春宮と秋宮の 建て替えに使われる。4本づつ、二つの宮のために計8本。時にはけが人や死者もでる祭りである。 「祭りは人を無防備にするのですよ。」先ほどの男性グループの一人がそう発言した。 「うん、無防備。それはいい表現だ。」うなづきながら賛同する姿が目に浮かぶようだが 実際には声だけが聞こえてくる。 どうやら、祭りで妙齢の姉妹がくだんの男性グループを手料理でもてなしたらしい。 そのことで、彼らはいささか興奮気味な祭りの高揚を楽しんでいるようである。 そして、その次にはその姉妹にいかほどの御礼をするかということでまた盛り上がっていた。 そんなこんなで二時間の車中はにぎやかこの上ないまま過ぎていった。 それは「祭りの余韻」とでも表現したいような、そんな空気だった。
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