2005/3/9ぬくもり

五感。視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚。その中で一番パーソナルな感覚といえば やはり触覚だろう。

私は妹と2歳2ヶ月しか離れていないせいもあって、親のひざの上に乗って甘えたとか、 手をつないで歩いてもらったとか、どうもその手の「ほの甘い」触覚の経験にかけているような 気がする。

でもその分、娘二人は思いっきり抱っこにおんぶで育てた。長女は食事の支度をするときは いつもおぶっていた。ファジーなゆれは眠気を誘うのか、だいたい15分もすれば背中で寝てしまう。 それをおぶいひものままそっと布団の上に寝かせ、それから食事の支度の続きをした。

次女はとにかく床に置くと泣くが抱いていればぴたっと泣かない赤ん坊だった。 私は片手で掃除機をあやつりながら、もう片手で腰骨のうえにうまくのせた次女を支えて毎日掃除した。

長女が生まれた1月から6月生まれの次女が幼稚園にあがる4月まで、実に調度10年にわたって 私は常に子供の肌の近くにいたことになる。

子供の皮膚の湿ったぬくもりの愛しさは、私が初めて知った触感の喜びかもしれない。

私が赤ん坊の長女を連れて神戸に帰省すると、母は嬉々として長女をおぶっていた。 きっと私もいつかそうするだろうなあと思うのである。