2005/5/13足音

私が住んでいるマンションは築20年だ。40軒並びの10階建て。 すなわち400戸ある。エレーベーターホールは2ヶ所でそれぞれに 2台のエレベーターが稼動している。エレベーターは4階と7階と10階にだけ 停まる。2階の人は階段を1階分登る。3階の人は4階でエレベータを降り そこから左右に開放廊下で移動して自分の部屋の前にある階段を一つ降りる。 5階の人は一つ上がる。エレベーターの停止階に住む人は階段の上り下りはないが 居室の北側は開放廊下になっているのでベランダはない。一方、開放廊下ではない 階の人は、部屋に入るには階段を登り降りしなくてはいけないが居室の北側は ベランダになっていておもいっきり窓開けて風を通すことができる。 まあ、一長一短である。

実はこの方式にはもう一つ利点がある。すなわち常に人が開放廊下を左右に移動するため 「人目」があるのだ。これは意外に犯罪の防止に役立っている。 私の友人の住む高級マンションはオートロックで二並びに一つのエレベーターが ついていた。プライバシーはとても守られているが、いったん侵入者があっても 人目がないためにだれも気づかない。近所で空き巣が入ったとき、それを 身をもって体験して本当に恐かったと語っていた。

普段の生活の中で、この開放廊下の足音が気になることはないが、 それでも一人静かに、テレビの音も音楽もないときは開放廊下を歩く足音が聞こえる。 特に女性のはくヒールのある靴は足音がよく響く。

二人の娘の帰りが遅いとき、一人で部屋で待っていると次第に娘の靴音が ききわけられるようになってきた。もちろん、「早く帰ってこないかなあ」 という希望的観測で予測をはずこともあるが、そうかな?と見当をつけた足音が 我が家の前の階段を降りてくると心底ほっとする。

娘たちが私の足音を「待つ」ことなどないが・・まあ、母親というものは どこの家庭でも似たりよったり。そんなものかもしれない。