2005/6/26夏の花

夾竹桃の花には毒があると教わったのは、小学校一年生の理科の時間のような気がするのだが まぼろしだろうか。じりじりするような夏の日差しの中で、子供の背丈よりはるかに高い夾竹桃に咲く、 濃いピンクの花は、「毒がある」という言葉がすんなり腑に落ちる・・子供にとってはそんな 花だった。

反対に、夏の夜の美しい記憶は月見草だ。黄色い花は夜の暗闇の中で 月の光を宿したように輝いていた。早朝の夏のラジオ体操は「裏のはらっぱ」であった。 「はらっぱ」。なんて懐かしい響きの言葉だろう。はらっぱはいつもまだ草が夜露に濡れていて、 ショートパンツをはいていた小学生の私の、やせたむこうずねは草むらを抜けるうちに しっけてむずがゆい。

ラジオ体操の第二が終わるころには小さくしぼんでしまう月見草。白々しい光とともに 始まる暑い夏の一日。遠い夏休みの記憶の一つ。

お盆が過ぎ、高校野球が終わり、あぶらぜみがつくつくぼうしに変わる頃、夏休みは終わる。 オシロイバナも盛りを過ぎて、黒い種がめだつようになる。

私が育った神戸の西のはずれの新興住宅地。あの頃はまだ小さな空き地がところどころにあって、 そこに雑草たちが季節の花を咲かせて、虫たちも集まっていた。 今では私の親世代が住み、バスに乗っても若い人の姿は少ない。

今年も夏がもうすぐやってくる。