| 2005/12/21 | あたりまえのこと |
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今月は23日から三連休なので、25日が給料日の会社は22日に振り込まれる。 それで、明日は銀行が込むだろうと、今日、雑用を片付けに銀行を回った。 最初の銀行は一月に合併を控えたメガバンク。しばし、順番待ちをしたのち ATMの前に立った。ふとみると、機械の右端に通帳入れがおいてある。 中身を確認したらキャッシュカードのみ2枚が入っている!忘れた人は、気がついたとき さぞ、真っ青だろう。行員を呼ぼうと後ろを振り返ったが、他のお客さんの 応対中だったので、とりあえず、自分の仕事を片付けようかと思いかけたときに 「忘れ物したのですが!」と60代の女性が銀行に息せききって入ってきた。 「これですね!」と声をかけると「ありがとうございました。よかった〜」と 駆け寄ってきた。 さて、次の銀行。私の隣のATMで操作している人に、後ろで並んでいた男性が声をかけた。 「すみません、足元にカードが落ちているけど、あなたのではないですか?」 声をかけられた女性が足元のカードに視線を落としたとき、これまた女性が 走ってきた。「ああ、あった〜。よかった!私のです。」 年末の銀行はあわただしい。みんな着膨れして荷物も多く、 あちこちの銀行を回らねばならない人も多いだろう。 「つい、うっかり」がおこりやすい。 昔、義母が郵便局で、ほんの少し右を見て、左をみているうちに おろしたばかりの現金を盗まれてしまったことがある。 義母は元来とても慎重な人で、婚約中の私が東京にでると 「ハンドバックの留め金は内側にしておかないとあぶないよ」と 優しく注意してくれるような人だった。そんな義母が被害にあい、とても 落ち込み、自分を責めていた。 「無用心」や「うっかり」はもちろん避けなければいけない。 でも、どんなに注意をしていても、人間なら一生に一度か二度、 「うっかり」してしまうこともあるだろう。 40年ほど昔。私がまだ小学生だったとき。私の祖母は娘(私の叔母)の お嫁入りのためのお金を銀行からおろし、あろうことか、そのお金を 電車に置き忘れた・・・戦争で全てを失った祖父母が、ゼロから積み上げた お金だった。現金である。さすがの楽天家の祖母も戻ってくるとは 思っていなかったらしい。・・しかし、そのお金は警察に届けられていた 。祖母が嬉しさにさし上げようとしたお礼さえ、受け取らないで、彼はこう言ったという。 「あたりまえのことをしただけ」・・ まだとても幼かった私は、祖母や母や叔母が興奮して 語り合っているその側で話を聞いていただけである。 でも、その「幸せ」な空気は良く覚えている。 こんな「幸せ」があたりまえの国になりますように。 Merry Chiritmas!
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