2006/4/20遠い昔の日記(1)

昔のミシンは足ふみしきだった。鋳物で出来た足の上に木の天板が乗り その中に、逆さになったミシンが納まっている。

遠い昔、私の実家では、そのミシンの天板の上にゴブラン織りのカバーが かけられ、「台」代わりに使われていた。中学三年生のある日、私はふと何かで ミシンを使う気になって、そのカバーをはずした。

そのカバーの下には何故か大学ノートが一冊あった。 表紙をくって一ページ目に目を走らせるといきなり このような文章が目に飛び込んできた。

「鏡に映る私の顔は昨日と全く変わらないのに・・」

そこに記されていたのは、癌の告知を受けて動転している 私の母の日記だった。