| 2007/2/27 | Shall we dance 1 |
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社交ダンスを習い始めていつのまにか15年もたってしまった。 習い始めたきっかけは二つあった。一つは若い頃に見た欧米の映画に出てくる 舞踏シーンへのあこがれ。「サウンド・オブ・ミュージック」でマリアと大佐が踊る オーストリアのダンス。「風と共に去りぬ」でスカーレットがレットと 喪服で踊るダンスシーン。どちらも、わけもなく惹きつけられわくわくし、 「もう一度観たい」と強く願った。「わけもなくわくわくする」という この本能の喜びはいったいなんだろう。 もう一つのきっかけは、もっと現実的だ。長女出産から次女の幼稚園入学まで、 調度10年。親元から離れて結婚生活を送っていた私は365日×10年という 長い年月を24時間子供とべったり一緒に過ごした。次女の幼稚園入園と同時に やっと一日数時間の自分だけの時間を持てるようになった私は、何かを始めたかった。 その時に見つけたのが自宅から徒歩5分の駅ビルのカルチャーセンターで開催されている 「初心者向け」の社交ダンスの講座のお知らせチラシだったのだ。心と体の片隅に刻まれたワクワク感が ほんのりとよみがえった。映画の中の「あこがれ」のダンスと、日本のビルの一室で習う ダンスの間には天と地とほどの差があるだろうことは容易に想像できたが、 でも、踊ってみたかった。幼稚園の送り迎えの間をぬって受けられる初心者向けコースが 一つだけあった。 駅ビルは駅前再開発で建ちあがったばかり。 白い壁も大きなガラス窓も木のフロアーも、どこもぴかぴか明るかった。 一週間に一度の団体レッスン。あの「Shall we dance?」の映画は良く取材されている。 ダンス初心者が最初に習うマンボのステップ。男女が向かい合って離れて踊る。 手と足がばらばらに動きそうなもどかしさ。「こんな簡単なことも、私、出来ないの?」と 悔しく感じる。22歳で結婚し、24歳で長女を産み、 10年の子育ての後に始めて踏み出した一歩。34歳の春。一緒にマンボを踊ったお仲間は 50代・60代のおじさま、おばさまたちだった。 あれから15年。たかが習い事。されど習い事。一つのことを長く続けることによって 見えるようになった事柄もある。それはダンスをしていなかければ気づかなかっただろう。 気づかなかったことに気づくとき、人はまた本能が喜ぶ。「ダンスやっていて良かったな」 と思う一瞬だ。
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