| 2007/7/23 | 25年 |
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金曜日の夜、銀座でのゴスペルレッスンを終えマンションに帰ってきたら エントランス前の植え込みの側にかがみこんでいる人影が二人。 子供と母親が動物と遊んでいるようなシルエットに見える。 近づいてみたら、このマンションに引っ越してきた当時からよく知っている、 長女と同い年の娘さん二人だった。空手で全国一になり、週刊朝日の表紙を 飾ったこともあるNちゃんは、その経歴とは裏腹に小柄。もう一人のAちゃんは 今、大阪で一人暮らししながら外資系の企業で働いている。マンションの駐車場に 住み着いている猫と遊んでいたのだった。 長女とこの二人は小学校の低学年の間は、毎朝一緒に登校し、放課後も よく一緒に遊んでいた。彼女達が2才のときから私は知っている。 25年たって、今年は仲良く全員27歳になるのだ。 久しぶりにあったA子ちゃんが、このマンションに越してきた頃の 彼女のお母さんに声も姿もそっくり驚く。まるでタイムスリップしたようだ。 そういえば、この間会ったMさんの次女も、25年前のお母さんにそっくりで 驚いた。子供の頃は、むしろ長女のほうがお母さんによく似ていると思っていたのに。 先日は、近所のスーパーで、赤ちゃんを抱いたTちゃんに会った。 彼女も長女と同い年。この春、ママになったとは聞いていたけれど babyにおめにかかるのはお初だ。25年前、子育てに奔走していた 私たちを思い出す。皆、若かった。午前中は公園で、子供たちのお昼寝の後は 誰かの家で、子供を遊ばせながら、母親達もあれこれおしゃべりにこうじた。 子供達が小学校の中学年ぐらいになると、母親同士のつきあいは、だんだん薄くなる。 それぞれ、中学受験をしたり、高校・大学と進路も分かれ、子供達も 皆、自分の道を歩いた。 27歳の時の私は、すでに二人の娘のママで、片手に次女を抱き、片手に長女の手をひき このマンションと、そこに隣接する公園とスーパーが生活圏の全てだった。 車が運転できない、夫が留守がちの主婦の行動半径は驚くほど狭い。 晩婚化の例に漏れず、27歳で結婚しているのはTちゃんただ一人。 Tちゃん、今は大変だろうけれど、一番に楽になるのもTちゃんだよ・・ と、わが身を振り返りそっとつぶやく。 25年。四半世紀。長いようで短い。でも確実に世代は一つうつっている。 あの頃、私よりタフだった私の母も、「最近は、もうデパートで昔のようにうろうろする元気はないわ」 と、電話口で話す。 25年後のことは、今は想像できない。でも、過ぎてしまえばおそらく夢のように あっというまだろうと思う。「人生は夢のごとし」
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