| 2009/3/29 | ある家族の物語3 |
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「祖母は本当にしっかりもんで、七十歳まで店を切り盛りしていました。うちは何故か男の子が産まれない家系らしく、祖父も私の父も婿養子なんです・・。祖母が母に店を任せるようになってすぐでした。アルツハイマーとパーキンソンを患った祖母は坂道を転げ落ちるようにあっと言う間に寝たきりになってしまったのです。ほんの一年ほどの間でした」 「母はしっかりものだった祖母がぼけていくのを受け入れられませんでした。ご存知ですか?ぼけるとき、最初にきかなくなるのが鼻なんですよ。だからお鍋がこげても気がつかないんです。何度ぼやを出しかけたことか・・。母は『どうして?どうして?』と混乱していました。でも、私にとっては祖母は祖母なんです。おばあちゃんなんだから仕方がないと受け入れることができました。」 孫娘である彼女は、祖母と一緒に食事をし、風呂に入り、同じ部屋で寝た。母親には「『どうして?』と思う間はこの部屋に入らないでほしい。おばあちゃんの世話は私が全てする」と宣言したそうだ。
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