2009/7/16病が教えてくれたこと

 大学在学中にお見合いをし、卒業式の一週間後が結婚式だった。夫、26才。私、22才。29年前の春である。

「女は甘やかしたらアカン、最初が肝心や」そう先輩社員にアドバイスされ、すっかりその気になってその言葉に従った・・とは後年の夫の弁。

新婚旅行から帰った日に「俺はデパートなんかで駄々をこねておもちゃをねだっているような子どもは大嫌いだ。だまってがまんして欲しそうにしている子どもには買ってやりたくなる。だから、君もそんな風にふるまうように」と言われた。ふうん、そうなんだ。と納得した若き日の私。

「僕は親戚が少ない。君は多い。不公平だからそれぞれの親戚の冠婚葬祭費はそれぞれ自分でまかなおう」ふうん。確かになあ・・。学生時代にアルバイトで貯めた40万円ほどの現金が私のお小遣いの全て。まあ、ある間はこれでまかなうか。

4畳と6畳、二間の社宅の一階にある新婚家は、夏は風が通らず暑かった。2年目に生まれた長女が暑くて昼寝ができずに毎日泣く。社宅の他の部屋は昼寝の時間はクーラーを入れて静かだった。「ねえ、子どもが暑くてお昼寝できないからクーラーを買ってくださいな」「僕は会社でクーラーがあって涼しいからいらない」あまりに予想外の返事だったので、言い返す言葉がとっさに思い浮かばず、結局、「なら、私が買うから」と、またなけなしの貯金をくずした。