| 2009/7/23 | 病が教えてくれたこと |
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こんな小さな齟齬が積み重なるうちに、次第に私は夫に何も相談をしなくなっていった。 夫が、年間100日ほどある休みの八割をゴルフに割いている間に二人の娘も成人してしまった。 ある日、偶然聞いてしまった夫の電話する声。「そんなに金、金って言うなよ!」だれか、私の知らない女性に吐いた言葉。そんな女性としかお付き合いできないんだ・・と怒りではなく虚しさを感じた。 そんな寂しい夫婦関係だったが、「離婚」という選択肢は、はなから頭にはなかった。ずっと専業主婦で、経済的に全てを夫に依存していたということもあるが、今ある自分の場所でとりあえず最善と思えることをしよう・・とただ単純にそう考えていたのかもしれない。 長女が4月から海外で働くことになっていた年の2月。例年の一泊人間ドックに行っていた夫から私の携帯にメールが入った。 「恐れていた最悪の事態。至急電話ください」驚いて電話すると「すい臓そばのリンパ節が腫れているから要再検査と言われた」とのこと。 「再検査と言われたのだから、結果が出てからまた考えるしかない。まったくオーバーなんだから」と私。友人の放射線科の医師にも相談してみたが「その場所は精密なCTでなければ診断がむずかしいところ。もし僕自身ならあまり心配はしないでとりあえず検査をうけます」とのこと。だが、実母を悪性リンパ腫でなくした夫は「自分も同じ病気に違いない」と思い込み、「まだ僕は若いから進行も早い」と決め込んでしまった。 評判の高い癌専門病院を選択しての再検査は検査予約から検査、検査結果を聞くまでに一ヵ月半かかるという。
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