比較憲政史プリントC

 

 

フランス革命と憲法               

(1) 人権宣言の制定

1789年5月 身分制議会エタ・ジェネローが175年ぶりに開催される。国民議会と名称をかえる。

  8月4日  封建制廃止の議決

  8月26日 「人権宣言」の制定

   (1)「人はすべて自由かつ権利において平等なもの」(第1条)

   (2)人の自然権=「自由」「所有」「安全」「圧制への抵抗」

   (3)「国家の自由」=「他人を害しないすべてのことをなしうること」で、すべての人に確保されなくてはならない。

      宗教的意見表明の自由をふくむ意見表明の自由(10条)

   (4)人身の自由=刑罰平等の原則(6条)、法定手続の保障(7条)

   (5)経済的自由=「所有権は神聖不可侵なものである」 (17条)

   (6)市民的の権利=国民主権 (3条)、「一般意思の表明」としての法律の形成に参与する権利(6条)、租税に関与する権利(13、 14条)、「公の武力」の公正行使(12条)、行政公開の原理(15条)

   (7)権力分立(第16条)

 

(2) ふたつの主権原理

1791年9月 3日 1791年憲法=ナシオン主権

 「主権は、 単一、 不可分、 不可譲で、かつ時効によって消滅することがない。主権は国民(nation) に属する」(第3篇1条前段)

 「すべての権力は、 国民のみから発し、国民は、授権によるのでなければ、それを行使することができない。フランス憲法は代表制である。」(第3篇2条)

=国民は主権者とされるが、それは国民が統治の正当性根拠だというにとどまるのであり、しかも、国民みずからが主権を行使することは、建前上、すでにはっきりと否定されていた。

 

 代表制=「純粋代表制」の考え方(選挙民意思からの独立を本質とする。「代表制」を直接決定制よりも原理的にのぞましいと考えた。)

 選挙制度

 「代表者は、立法府および国王である」(第3篇2条2項後段)

 制限・間接選挙制、「能動市民」のみに選挙権をみとめた。

 

 権力分立

 立法権=国民議会(国王に裁可権あり)に・一院制

 執行権=国王に

 司法権=民選の裁判官に

  ただし、財政、軍事、 外交に対する立憲的統制が規定されていることも注目される。

 

1793年憲法=プープル主権

  1792年8月10日  国王の権利停止、新しい憲法の制定を目的とする国民公会(Convention Nationale)がつくられる。

  1792年9月21日  王制の廃止

  1793年2月15日  ジロンド派の憲法草案

  1793年6月24日  1793年憲法(ジャコバン憲法またはモンタニアル憲法とよばれる)権利宣言35条と本文124条からなる。

 主権原理

 「主権は人民(peuple)に属する」(権利宣言25条)、「主権者である人民はフランス市民の総体である」(本文7条)

  21歳以上の男子の普通選挙権(本文4条、一定の条件を充たす外国人にも参政権をみとめている。)

  立法府が採択した法案について、一定の手続きにしたがって市民から異議がだされた場合は、有権者の集会がおこなわれて、直接の審議がなされる。

 

 統治機構=民主主義的権力集中の原理

  共和制、

  立法府が「執行評議会」 (政府)をえらぶ。