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〜旧「音楽雑感」のページ、音楽の話題その他を日記風に綴る〜
2004年



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2004年12月19日(日) 慌しい毎日ではありますが…

 何かと忙しい日々が続いていて、人から指摘されなければ更新をすっかり忘れてしまうところでした。ホームページを持っていたことさえすっかり忘れていたほどです。^^; それだけピアノに没頭する日々を送っていたということでしょうか…?!

 自分の経験から最近感じるのですが、空間の移動が多いと時間も密になるような気がします。つまり、遠くへ旅行してきたりすると、実際には移動の時間にたくさん時間をつぎ込んでいるにもかかわらず、経験できることや生活の充実度が大きいと感じるのです。逆に、同じ所に長く留まっていたり長い時間同じことをしていると、時間が経っても何も意味のあることをしていないような気になるのです。気のせいではなく、実際にそうなのだという感じがします。ピアノを6時間くらい続けて練習するのも、ときどきやるならとても効果的ですが、やはり毎日は続けられないし、実際の効率というものを考えてしまいます。やはり、うまい1日の組み方というものを考案しなくてはならないでしょう。ところが、今週などは例えば実技試験の審査に1日が終わるという日もありました。学生にとっては重要な日ですが、先生方は試験の点数をつけるため8時間座りっぱなしなわけです。(お昼をはさんで計9時間) 「9時間飛行機の中で座っていたら今頃モスクワに着いてますよ」などと先生方と話したりしていました。モスクワへ行くのと、60人のピアノの演奏を聴くのとどちらがより大きな意味があるのか私には分かりませんが。

 ところで、ピアノの試験では最近は演奏曲目にある程度自由が認められますが、それでも聴くことができる曲はかなり限られています。クラシックのレパートリーって、考えてみればなんと限られていることでしょうか。毎年毎年、先生方は試験ではほとんど同じ曲ばかりを聴くことになります。最近は少し珍しい曲を弾く人もいます。もちろん珍しいだけではどうしようもありません。良い演奏をすることが最も重要なことですが、今の時代、どんなシチュエーションであっても、「選曲」ということは演奏者にとってとても大きな問題ではないかと思うことが多くなりました。

 さて、今年の12月から来年にかけてはかなり忙しくなってしまいました。風邪など引いたら大変なことになってしまうと、ちょっとした恐怖心といつも戦いながら生活しています。そうそう、今日なんて、毎年恒例の子供たち中心のクリスマス会でした。みんなも風邪など引かずにちゃんと出席し、全員演奏を聴かせてくれました。何?その後のプレゼントが目当て?今年はゆかり先生発案の「音楽クイズ・タイムショック」などという疲れる問題(100問も問題考えたのは誰?)を出したため、こちらもヘトヘトです。しかし、私にとってはよい息抜きになりました。このまま元気に年末を乗り切りたいものです。

ゆかり先生からの伝言です→「来年はクイズもっと易しくするからね(^_^)」



2004年12月9日(木) 楽譜の難易度というもの

 以前から思っていたことですが、ピアノを勉強する人に一番ニーズのある楽譜は初級〜中級への橋渡しとなるような教材だと思われます。バッハのインヴェンションを終わったあたりで次に進むための理想的な教材は皆に求められているものでしょう。そのあたりの難易度で素晴らしい曲が並んでいる決定版の楽譜があったら誰でも買うと思うのですが、それがなかなか作れなくて困っているわけです。自分にもそういう楽譜を編集するチャンスは何度かありました(これからもあるかもしれない)が、それが実現しないうちに、まさに正反対とも思えるカプースチンのような難易度の高いと思われているものを先に出してしまいました。

 カプースチンのターゲットとなる人は、ピアノの腕前にある程度自信がある人に限られると思っていましたが、不思議なことに楽譜を購入してくださる層が広いようです。もちろん難易度は高いですから、「易しいカプースチンを出してくれ!」などと無理なことをいう方もいらっしゃるのですが(気持ちはすごく分かりますが^^;)、音楽の素晴らしさが人を惹きつけるのだからそれで良いと思うのです。それに、易しかったらカプースチンではありませんし。こちらの切り札としては、「これが弾けるくらいはせめてピアノ上手くなってくださいよ」と言う準備をしています。でも、逆にそんなにめちゃくちゃ難しいというわけでもありません。作曲家本人はもともと、「私には自分の曲は弾きやすいのです」と言っていました。私は最初これを聞いて、「そりゃあなたみたいなテクニックの持ち主にはそうでしょうよ」と思っていましたが、最近になって、「いや、本当にそれほど難しくないかも」と思えるようになってきました。冷静に考えて、リストやラフマニノフの方がよっぽど難しいと感じます。結局、ジャズのノリやらハーモニーに慣れていないせいで複雑に感じるだけで、慣れてきて十分に暗譜ができて楽に弾いてみれば、手の動きにとっては弾きやすいし、気持ち良いとさえ言えます。カプースチンは、ほとんど上体を動かさずに弾いていますし、手も思ったほど忙しく動かしていません。速くて難しいパッセージのところで一瞬だけ姿勢をわずかに前傾にするくらいで、あとは“楽勝”という感じで弾いているのを見てさらにそれを確信しました。

 とは言っても、全音のカプースチンの楽譜で難易度が★4つだったのを見たときは私もビックリしたのを告白します。でも、意外に10年後にはこれで違和感ないかも…とも思いました。



2004年12月2日(木) 国内版の楽譜の話

 あっという間に12月に突入したという感じがしますが、ここのところ少しばかり目まぐるしい(ぐるしい=苦しい?)日々を過ごしていたからかもしれません。忙しいという実感はほとんどありませんが、個人的には今多くの曲を同時に練習する日々を送っていて、まあ大変といえば大変なのでしょうか…。今やらなければいけない曲を数えてみたら、ざっと56曲ほどありました。まあ、演奏家にしてみれば別に多い数ではありませんが、これだけあると微妙な練習の順序や仕上げ方には頭を使います。(頭だけではだめで、紙と鉛筆も使います。) 楽譜を勉強するだけなら何曲あってもかまいませんが、実際に弾けるようになるために“さらう”というのはやはり別の仕事だと感じます。よく、飛行機の中で譜読みができるというピアニストがいますが、私は半分は信じますが半分は信じていません。もちろん譜読みくらいはできるでしょうが、本当に弾けるようになるためには、やはりピアノと向い、指を動かすための絶対的な時間数が必要だと思います。(それとも自分だけがそんなに不器用なのだろうか…)

 最近、自分自身はコピー譜を使って練習することが多くなり、重たい楽譜をピアノの上にたくさん積み上げて置く習慣はなくなりました。それは、まだ出版されていない作品を多く手がけていることも関係しているかもしれません。ただ、従来のレパートリーに関しても、もちろん楽譜を所持した上でそれをコピーして練習用に製本しています。その理由は、多くの曲をやっている場合、遠くへ移動する場合にすべてを持っていかなければならないからです。1冊に自分のやっている曲がすべて入っている場合などなく、楽譜は通常大変な重さになります。いくら腕を普段から鍛えているとはいえ、旅行や移動の際には荷物の軽さというものが一番重要になりますから、必要最小限にするためにはコピー譜を使うしかないのです。まあ学生がレッスンに持ってくるぐらいならばせいぜい数冊程度ですから、楽譜のまま持ってきた方が良いでしょう。ベートーヴェンのソナタとシューマンのヘンレの全集版などを同時に数冊持ってくるのはちょっとかわいそうな気はしますが…。

 ところで、国内版の楽譜は、そのクオリティーは以前から考えればかなり良くなっていると認識されてはいると思いますが、しかしまだまだ外国版のほうがカッコ良く見えるらしいのですね。これは、どういう根拠なのでしょう。私などが苦労して作り上げたあのメトネル(Op.38)の全音版を持って学生がレッスンに来た時に、「なんか、国内版の楽譜ばかり持って歩いていると下手みたいに見られないかなーと思うんですよね」などと言う学生がいました。「一体なんてことを!」 確かに、あの全音ピアノライブラリーのデザインは昔からあるもので、以前は国内版のクオリティーは低いと思われていたから、きっとその頃のイメージが強く残っているのでしょう。今の私の目には、もう全音の楽譜などは最先端で、特に件のメトネルなど世界中のどの出版社と比べられても一番良いものだと自信を持って言えるし、メトネルに限らず、少なくともここ10〜20年くらいの間に編集された楽譜は、外国版のものと比べても劣らないどころか、それを抜いてしまっているものも数多く出版されていると思います。それは、結局ここ数十年の間に日本人の演奏家や音楽学者、編集者のレヴェルがものすごく上がったことによるのだろうと思います。この認識がもっと一般に広がるのは一体いつ頃になるのでしょうか。きっと広がらないのは、店頭には新しい出版楽譜と古くからある楽譜が入り混じっていて、それを見分ける力が多くの人にはないということなのだと思います。

 それにしても、もうそろそろ日本版の楽譜の価値認識を改めても良い頃だと思うのですが…。それにはおそらく、国内に“世界で一番良い楽譜”の出版数を増やしていくしかないのでしょうね。




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