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〜旧「音楽雑感」のページ、音楽の話題その他を日記風に綴る〜
2005年



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2005年3月27日(日) 仕事は自然に増えていくもの

 最近はかなり忙しいわけですが、一つの理由はカプースチンがきっかけとなってジャズや他の音楽への興味が強くなってきたということがあります。もちろん自分にとってはクラシック音楽が基礎になっているし、そういう環境から離れられないことも事実ですが、本当に何がきっかけとなって自分の仕事が増えるものなのか先が読めないところがあります。私の場合は、もしメトネルやカプースチンなど偉大な作曲家に出会わなかったとしたら、今頃いったい何をやっていたか想像がつきません。

 大学生くらいの頃は、自分がどういう仕事をしていくのかということはけっこう漠然としているものです。多くの若者たち(特に音大生の話)は、将来のことははっきり分からないけれども、とりあえず今やっていることを頑張る、という態度で、ピアノに打ちこんだり、その他自分の専門に関係のありそうな勉強をしていることでしょう。いろいろ勉強したとしても、そのうちのどの部分が将来の自分に役立つかということは、なかなか学生の時は分からないと思います。自分のことを考えてみても、いま現在必要とされている仕事の中身の大半は、大学・留学時代までには学ばなかったことで、その後になって独学で勉強したことが多いような気もします。もちろん、ピアノの練習とそれに関係する専門的な勉強は学生時代からしていたし、そういう基礎が役立っていることは事実だとは思いますが。
 例えば現在の自分に必要な能力というものを書き出してみると、もちろんピアノの演奏能力は第一にくるとして、その中には、「初見能力」や「早く正しく譜読みをする力」、「アンサンブル力」、「音楽的感性」、「表現力」、「分析力」、「それを言葉で説明できる能力」、それに、素晴らしい音楽を生み出した「作曲家たちに関する知識」、などがあります。これらは確かにすべて大切なものです。そして、そのほかに直接に音楽とは関係ないような能力も必要だということが大人になるとだんだん分かってきます。ピアノがうまく弾けるだけではダメで、「ものを書く能力」や「人前で話をする能力」(これは人が教えてくれるものではないので自分で磨くしかない)、こんなものが必要になってくるし、また、外国語を勉強していたことなども確かに役立っています。また、独創的なアイデアを必要とされる「企画力」や「交渉力」を身につけたいと思えば、広範囲の知識や物事への興味が必要ですし、その他の多くの教養や人間性を磨くことも大事でしょう。もし大学の時にこれらのことを本当の意味でちゃんと分かっていたら、勉強に対してもっと本腰になっていたような気がします。どう考えても遊びすぎていたとしか思えない人生だったので、後輩たちにはそうならないように早めに手を打ってほしいと思うわけです。

 今の学生たちにもしアドバイスするとすれば、とにかく自分を限定せずにいろんなことに挑戦してほしいということです。そうしていくうちに、やらなければいけないことはいくらでも出てくるし、新しい仕事はいくらでも見つかるようになるでしょう。新しいこと(他人がまだやっていないことなど)を発明してやろうというぐらいの発想を持つべきだと思います。時代が変わると次々に新しい仕事が必要になってくるのですから。そういう発想を忘れずに、今やるべきことも手を抜かずに極めるというスタンスで頑張っていれば、そこから自然に道は開けていくことでしょう。一人一人の素質や長所短所は全部違うのですから、自分の適性に合った方向さえ見つければ、どんな人でも何かできる人になれると思います。



2005年3月13日(日) 充実した?又は消耗した3週間?

 日記の更新がかなり長い期間できませんでした。というのも、この数週間というものほとんどすべての時間を「交通手段で移動している」か「ピアノを弾いている」というような生活で、若い時のホロヴィッツとまではいかないけれども、とにかく一生続けていくのは勘弁してもらいたくなるほどの大変な日々ではありました。しかし、一つ(二つ?)の大きな仕事を終えたという意味では充実した日々だったのかもしれません。快適な環境と人材に恵まれて仕事を進められたのもまた幸せなことでしたし、素晴らしい出会いも多くありました。

 先週から今週にかけては東京から南へ向っての移動が数回ありましたが、今度は北へ向い、その後も南へ北へ…の連続がずっと続きそうです。私が行くところはどこでも雪が降るというジンクスがあるのですが、「気温が寒くなる」というのはやっぱりまだあるようで参ってしまいます。これが夏の話だととても良いのですけれどね。
 今回いろんな一流の人たちの仕事ぶりを見ていて思ったのですが、例えば優秀なディレクターは自分がどこにいても電話をしたり人を動かしたりして、東京にいるのと同じように仕事ができるのですね。私などは、自分が今いる場所でしか仕事ができないと思うことが多いので、これは勉強になります。でも演奏家にとって、仕事の同時進行は難しい面もあるような気がします。例えばピアニストはピアノを練習するのが仕事ですから、そこにピアノがあればとにかく弾くでしょう。それ以外の生産的な仕事はなさそうに見えます。特に、練習は他の人に代わってもらえない典型的な仕事とも言えますから、「他の人に弾かせる」というまったく別の発想が生まれない限りは、せいぜい次の自分の本番の曲を先にさらっておくなどの同時進行ぐらいしか考えられないでしょう。練習に限らず、音楽家というもの、多くはハード面ではなくソフト面に関わっている仕事とも言えますから、なかなか経営者のような発想になれないのが悲しいです。でも、もっと頭をよく使えばまだ人に頼んだりしてやってもらえることや、上手いコラボレイトの可能性がいろいろ出てくるのかもしれませんが。

 結局、“自分が何かを企画して多くの人とともに生み出すのか”、それとも“自分自身が生み出す側に回るのか”、この二つは似ているようで全然別の仕事ですから分けて考えなければいけないでしょう。もちろんどちらも素晴らしい仕事だと言えるでしょうが、職種的にはきっとどちらかに分かれるはずです。そのどちらにも興味がある自分などは、この両立がつくづく難しいと感じます。例えて言えば、自分が演奏するということに徹するのも人生、自分が演奏することをきっぱり辞めてしまうのも人生。どちらも得られるものが多いが、逆に失うものも多いわけです。どちらかだけに固執することができないのが現実の人生というものです。このあたりのバランス感覚は、その人それぞれの判断の難しいところと言えそうです。




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