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〜旧「音楽雑感」のページ、音楽の話題その他を日記風に綴る〜
2005年



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2005年4月20日(水) さまざまな音楽ジャンル

 最近、「ポピュラーピアノ」などという言葉が気になるようになりました。ピアノのレッスンの教材でもポピュラー音楽が取り入れられるようになりましたが、正直言えば以前はあまり気にもしていませんでした。でも、この言葉から受けていたイメージとは違うなにか大事なものが含まれているような気がするのです。

 クラシック音楽のCDが売れなくなってきたという話はもう何年も前からよく聞きます。もともと大きなマーケットであるはずもない分野なのでしょうが、最近になって次々に大手のレコード会社がクラシック部門の店じまいをするような話が現実化してきました。クラシック音楽は素晴らしいものであることには間違いありませんが、なぜその割には愛好人口が少ないのか。それは、ビジネス的に考えてみて大衆のニーズを無視しているように見える(客観的に見ればの話)ことも事実ですし、やはりクラシック音楽が時代の流れに沿った発展の仕方をしていないから、という感じもします。しかし素晴らしいからこそ残ってきた音楽がクラシックなわけでそれはそれで事実なのですが、逆に古くなったものもあるし、もう現代人の感覚に合わない形になってしまい、後世まで伝えていく必要があるのか疑問を感じるものも客観的にはあるでしょう。音楽というものはいつの時代にも多くの人に愛されてきたものだと思うのです。だからこそ時代にふさわしい形で存在すべき、というのも確かなことです。それをわきまえていればクラシック音楽もまだまだ発展の余地はあるでしょう。

 逆にポピュラー音楽というと、一過性のイメージがあるし、アレンジをしたり即興演奏をやるなど、クラシック音楽をやっている人間から見れば、楽譜通りに演奏しないのは少し軽いというか、内容の薄い音楽というふうに偏った見方をしてしまいがちです。でも、ジャズを筆頭にさまざまなポピュラー音楽、それも世界のあらゆる地域で発生し発展した音楽があり、その中には重要なものだってさまざまにあります。影響力も大きいです。意外にポピュラー音楽のことを真面目に勉強する機会は少ないので、クラシック人たちは知識などにおいてかなり遅れをとっている可能性もあります。実際に、音大を出ても音楽に関することで知らないことが多すぎるし、簡単な曲にもかかわらず楽譜がなくては何も弾けないなどという情けない状況があったりもします。

 今月の新刊で、全音楽譜出版社から「いまどきのピアノレッスン『虎の巻』」(四六版・宮本満栄著)という、ピアノの先生方には今後のレッスンを考える上で目の覚めるような内容の本が出ました。ポピュラー音楽に通じていること、そのさまざまな知識を持っていることは、決して現代のピアノレッスンにおいてなんの邪魔にもならないということを証明してくれるような内容の本です。クラシック音楽周辺のなんとなく知りたかったことなども、この本を読めばコンパクトに勉強できそうです。クラシック音楽離れが進んでいる理由などにも思いをめぐらすことができ、新しいアイデアを発見する可能性も大です。全音は楽譜だけではなくこんな本も出版していたのですね。
 また、ほとんど同時に出版された「ジャズのたしなみ方」(四六版・小川隆夫)という本など、最近はジャンルを越えた発想で新しい情報が盛りこまれた著作等も目立ち、とても頼もしいです。いろんなジャンルを行き来する発想があれば、自分の専門分野でできることの可能性もきっと広がっていくことでしょう。



2005年4月17日(日) カプースチン講座を振り返る

 気がつくと大学の春休みも終わり、一連のカプースチン講座も10回を数えたところで一息つきました。多くの方のお世話になり、自分にとっても貴重で有難い経験でした。
 さて、今後はカプースチン関連の仕事としては、楽譜の編集というまた大変な作業に本格的に取りかからなくてはいけません。モスクワに住むカプースチンにも、本当にいつまでも元気でいてほしいと切に願っています。彼の筆から生まれる音符は本当に奇跡の連続なのですから。作曲のための時間はかけがえのないものですから、楽譜の編集などに関わることでかける迷惑は最低限に押さえたいという気持ちがあります。そのような気遣いは当然といえば当然のことですが、でも曲のことで疑問が出てきたりすると、どうしてもすべて本人に問い合わせなければいけないわけで、まあその辺はジレンマがあります。何かをお願いしたり、相談や質問をする時は、話の持っていき方や表現の仕方など、そんな部分にとても気を遣います。だから、メールを1通書くのにもとても言葉に気をつけたりして、そのための時間がたっぷりほしいのですね。メールのやり取りを一定の期間本気で続けると時間を湯水のごとく使ってしまいますが、でもそれで得られるものを考えるとやはり時間には替えられないということでしょうか。

 この2ヶ月ほど、これだけ短期間にこういう講座をやるために日本中をあちこち旅した経験は初めてといえば初めてです。頭では分かっていても、実際に自分で移動したりして普段とは違う人たちと接したり、場所を変えなければ得られないことがたくさんあるものですし、また旅先では自分の気がついていなかったことを多くの人に教えられたような気もします。それから、自分の限界というものについても実際に苦労してやってみなければこれもわからないものです。頭の中でシミュレーションしたものと現実とのギャップは、新しいことを経験し続けている限りは決して完全一致しないものですよね。まあ、だからこそ人生読めないことや思いもかけないことが起こるから楽しいとも言えるのでしょうけど。
 それにしても、なぜ自分がカプースチンを広めることになったのか、これもよくよく考えてみると不思議な感じがします。例えばジャズに特別な関心を持っていたというわけでもなかったですし…、ただ言えるのは、カプースチンという人の音楽・才能・人柄が大好きだということ、それだけです。楽譜が売れるとも思っていなかったですしね。素晴らしいものは自然に広まるのだろう、ぐらいにしか思っていませんでした。でも全国津々浦々にカプースチンが大好きという人が存在するということを実際に知って、嬉しかったですし、“驚いた”と言ったほうが正しいかもしれません。もちろん、まだ今はまったく関心もないという方も多いはずですから、カプースチンが今後、例えば音楽大学などではどんなふうに受け入れられていくのか、そのあたりはとても楽しみではあります。

 ちなみに、大学の私の生徒の中には、まだカプースチンの“カ”の字も知らない人が多いと思います。私が隠しているというのがその理由ですが。(笑) やっぱり音大へ来たならバッハやベートーヴェンから勉強するのが筋ですからね。物事には順番というものがありますし。だから、新入生はともかく、年次が進んでもあまり意欲のない人、興味がなさそうな人などには、特にカプースチンのことは教えないでおります。(笑)




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