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〜旧「音楽雑感」のページ、音楽の話題その他を日記風に綴る〜
2005年



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2005年7月26日(火) カプースチンとローゼンブラット

 努力して更新しようと思っているのですが、なかなか書けない日々が続きました。日常が忙しすぎるのがいけないのですが、しかしこんなページでも読んでくださっている方がいるのかと思うとやはりときどき手を入れなくてはいけません。

 最近何をやっていたかというと、来月8月20日頃に出ることになっているカプースチンの新刊楽譜2冊の最終校正の真っ最中で、まだ終わっていない状況です。というか、完成した姿がまだ全然見えていない状況で、こんなことがこの段階で普通なのかと問われれば、「ごく普通」の状況なのです。出版社の編集部というのはそういうところです。最後のラストスパートで完璧なものを作って世に出してしまうわけですが、普通の感覚ではちょっとついていけません。(編集者にはおそらく最終の姿が見えているのでしょうが。) 私自身それほど仕事は遅いほうではないと自負していたものですが、これまで超スピードで原稿やらいろんなことをやってきた上に、さらに最後にスパートをかけるのは大変なものがあります。しかも、最後の最後で重要な判断が必要なことが次々に発生したりして、それをクリアするために何故か外を走り回らなければいけないことも出てきたりします。また、今回のカプースチンの楽譜出版とほぼ同時に私がこの3月に録音したタイアップCD2枚もリリースされることもあって、録音自体は終わっているものの、何かと出版物が増えると忙しいものです。

 海外でもカプースチンの楽譜は次々と出版され始めていますが、まだ世界のどの出版社も出版を手がけていない作品がいくつもあります。作曲者の立場からは1曲でも多く世に出したいという気持ちはあるでしょう。今回も、カプースチン自身が、例えば「ユモレスク」Op.75(未出版)をぜひ作品集に入れてほしい、という希望があったこともあり、出版社側からすればポピュラーな曲だけに絞りたいところでしょうが、大きな見地から見た出版意義を考えてこの作品を入れることにしたのです。この「ユモレスク」(なぜこんなタイトルを?!)は確かに傑作に間違いありませんが、弾くのは大変な曲なのです。この新しい「作品集」2冊に収める曲の全体像についてカプースチン本人と話し合い、最終的にこれらのいくつかの未出版作品を入れることが決定したのがようやく昨年の12月末頃の話で、そして年明け3月初日には私はこの難曲「ユモレスク」や「ブラジルの水彩画によるパラフレーズ」も含めた全収録曲(23曲)の録音を開始していたわけです。とんでもないスケジュールではありましたが、でも今となっては、やっておいて良かったかなと思っています。

 さて、もう一つの話題。先日、ローゼンブラットの演奏会にも行ってきました。3月にこの作曲家と共演した加藤麗子さん自ら主催する第2弾とも言えるコンサート(第1弾はさらにもっと凄かったのかもしれませんが)でしたが、今回念願が叶って聴くことができました。3月の演奏会は、上に書いた自分の録音セッション日とずばり重なったため行けなかったのです。それにしてもこの日演奏した人たちすべての実力といい、パフォーマンスといい、何者の集まりなのか一瞬理解できませんでした。(笑) というくらい、感動しました。ローゼンブラットは以前から聴いていましたが、加藤さんによって初めて正しく理解できたというか共感することができたのが大きな収穫です。高い演奏レヴェルはもちろん、彼女のトータルなプロデュースの才能にも驚嘆しました。パフォーマンスというものの捉え方を根本的に揺さぶられました。物事には見えない大きな可能性がまだまだあるのだなと感じました。それは、決して表面的な意味ではなくて、その奥にある深いものを感じたということです。しかし一番圧倒されたのは、彼女と彼女の仲間たち(お弟子さんも)から漂ってくる『さわやかさ』と『謙虚な感じ』と、それでいて決して譲らない『演奏のクオリティー』でした。



2005年7月1日(金) 移動が多いと…

 最近、メールに返事を出すことさえままならない生活が続くようになってきました。失礼をしている方には本当にお許しを。こんな状況で、しかも海外からメトネルの楽譜の問い合わせがあったりするのですから…。「ゼンオンから出たというメトネルの新刊について教えてほしい。」「その楽譜を手に入れる方法は?」とかいうものが多く、どうやら私のちっぽけな英語のサイトから引っ掛かってくるらしいのですが、メトネル愛好者は見捨てるわけにはいかないのでなんとかすぐに返事を…と思いながら、苦しんでいます。最初は、「私が個人的にお送りしてあげましょう…」と書いたりしてきましたが、もう複数の国からメトネル愛好家やピアニストから問い合わせがくるようになり、「全音が世界に知られ始めているのだな」と思いつつ、どうすることもできないでいます。ある海外のピアニストはジェフスキの「《不屈の民》変奏曲」の全音の楽譜を持っていて、「そのメトネルもこの楽譜と同一の出版社なのですよね?」などと書いていました。

 いま現在、同時に多数の原稿のチェックとか校正の締め切りがあって、書き出してみたら恐ろしいほどあることが分かりました。それで、どれから手をつけたら良いか分からないのでこの日記を書いたりしています。仕事というものを考えた時、もう自分一人でできることの限界を超えているのは確かです。この状況で、ピアノを弾き続けているのはちょっとすごいかも…と自分で思ったりしますが、当たり前と言われればそれまでです。練習しないでいつでも上手く弾ければもっとすごいのですが。
 昨日は青森、秋田へも出向き、カプースチン講座を終えてきました。東北地方は意外に東京から近いと感じました。その前の週の福山ヘ行った時の方が遠いと感じましたが、これは時間的なこと以外に新幹線内の人口密度(快適さ?)なども関係あるのかもしれません。やっている時はけっこう機嫌よくピアノを弾いていたりしますが、実はめまぐるしい旅行に伴なう移動はけっこう体にきついものがあります。これが、気分転換に郊外に出るというくらいなら話は別ですが。例えば、荷物持ちにしたっていつも人に手伝ってもらえるわけではありません。遠出をすればどこだってエレベーター、エスカレーターのない駅が必ずありますから(本当にどうにかしてほしい…)、荷物はすべて合わせて両手に分けて持って肩が抜けない重量におさえなければなりません。弦楽器を持って旅行する弦楽器奏者よりはましかもしれませんが、しかしけっこう体力と筋力が必要です。ピアノ弾きにとっての「筋力」は、結局カプースチンを楽に弾くために必要なのではなく(笑)、旅行の際に重い荷物を持って歩き回ってもちょっとやそっとではバテない体力のために必要なのだと思います。
 とにかくバカな怪我だけは避けなくては…。(お気遣いしてくださった方いろいろありがとうございました。)




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