「メトネルの競演」コンサート

2001年8月12日(日)14:00開演 
 エプタ・ザール 


House EPTA エプタ・ザール
所在地:東京都狛江市和泉本町1-7-12
交通:小田急線「狛江」駅下車徒歩7分
(新宿駅から約25分)


プログラム
出演者プロフィール
プログラムへの曲目解説


「3つの即興曲」作品2より No.2
「忘れられた調べ」第3集 作品40−4"Danza Jubilosa"
P. 川上 ゆかり

おとぎ話 作品20−1
「忘れられた調べ」第2集 作品39−3「春」
P. 内藤 晃

ソナタ=エレジー 作品11−2
P. 斎藤 綾乃

ソナタ=ヴォカリ−ズ 作品41−1
Sop. 魚本 ゆかり
P. 木部 泉


「忘れられた調べ」第1集 作品38−1「回想」ソナタ
P. 糸井 陽美

4つのおとぎ話 作品26
P. 水村 仁美

ヴァイオリン・ソナタ 第2番より 第2楽章
Vn. 塩野入 清美
P. 中山邦子

おとぎ話 作品51−1、5、6
P. 川上昌裕



※終演後、メトネル愛好協会発足パーティーを行ないます。
どなたでもご参加できます。

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出演者プロフィール

川上 ゆかり(ピアノ)
桐朋学園音楽大学、ウィーン国立音楽大学卒業。ピアノをこれまでに林秀光、R.ケラー、H.ペーターマンデル教授に師事。「アウストロ・メヒャーナー」現代音楽コンクール第2位受賞。ヤマハミュージック・オーストリア奨学金オーディション第1位受賞。帰国後、ソロリサイタル、ピアノデュオ、室内楽などの演奏活動を行うほか、後進の指導にも当たる。毎年、「リトルマエストロたちの会」を開催。

内藤 晃(ピアノ)
現在栄光学園高校1年在学中。「栄光ピアノの会」を発足させ、以来代表を務めている。ピアノを城田英子、広瀬宣行の各氏に師事。現在川上昌裕氏の指導も受ける。すでにリサイタルの経験あり。

斎藤 綾乃(ピアノ)
東京音楽大学ピアノ演奏家コース3年在学中。ピアノを岡田敦子、三浦捷子、川上昌裕の各氏に師事。ほかにウラジーミル・トロップ、カールマン・ドラーフィの指導を受ける。

魚本 ゆかり(ソプラノ)
洗足学園音楽大学、同音楽大学専攻科卒業の後、北西ドイツ音楽大学を卒業。
在独中、「魔笛」の夜の女王にて好評を博す。築地文夫、市川倫子、ヘルムート・クレッチマー各氏に師事。29回イタリア声楽コンコルソ入選。
東京室内歌劇場会員、横浜シティーオペラ会員。

木部 泉(ピアノ)
桐朋学園大学を卒業の後、北西ドイツ音楽大学を卒業。
第1回かやぶき音楽堂ピアノデュオ連弾コンクールにて第2位入賞。
岡林千枝子、前島園子、武沢洋、E.ザイラー、F.W.シュヌアの各氏に師事。
玉川学園女子短期大学講師。

糸井 陽美(ピアノ)
栃木県出身。3歳よりピアノを始める。川名雅美、松崎伶子、佐々木正則の各氏に師事。平成8年東京音楽大学ピアノ科入学。播本三恵子、倉沢仁子、森早苗の各氏に師事。学内演奏会、卒業演奏会等に出演。平成12年同大学卒業。現在、川上昌裕氏に師事。歌やヴァイオリンとの演奏等で活躍中。

水村 仁美(ピアノ)
桐朋女子高校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部ピアノ科卒業。ピアノを高尾多栄子、岡林千枝子、大橋京子、原田英代、E.F.ザイラー各氏に、室内楽を江藤俊哉、堀正文、岩崎淑、広瀬康の各氏に師事。

塩野入 清美(ヴァイオリン)
桐朋学園大学音楽学部ヴァイオリン科卒業。同研究科終了。霧島音楽祭、イタリアのピエディルーコ音楽祭に参加。オーケストラと協奏曲をはじめ、デュオリサイタルを開催するなど、現在も、室内楽、オーケストラで積極的な演奏活動を行なう。これまで、篠崎功子、外山滋、中沢きみ子の各氏に師事。

中山 邦子(ピアノ)
桐朋学園大学音楽学部ピアノ科卒業。渡英し、研鑚を積む。帰国後は、後進の指導に当たるとともに、リサイタルや室内楽の演奏活動を行う。第1回かやぶき音楽堂ピアノデュオ連弾コンク−ル第2位入賞。これまでに、片山敬子、G.シェボック、E.F.ザイラーの各氏に師事。

川上 昌裕(ピアノ)
東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。卒業後ウィーン・コンセルヴァトリウムでさらに研鑚を積み、7年留学。マリア・カナルス国際コンクール第4位入賞。これまでに弘中 孝、三浦捷子、D.イリエフ、V.トイフルマイヤーの各氏に師事。1995年帰国後は後進の指導にも当たる。現在東京音楽大学講師。
リサイタルなど精力的に演奏活動を続け、2001年よりオールメトネルシリーズのリサイタルを企画。CDの録音や「FMリサイタル」等でもメトネルの作品を演奏し、目下この天才作曲家の作品の普及と研究に勤しんでいる。





出演者による曲目解説

「3つの即興曲」作品2より No.2「舞踏会の回想」          
「忘れられた調べ」第3集 作品40−4"Danza Jubilosa"  P. 川上 ゆかり

 「舞踏会の回想」(Eine Ball-Reminiscenz)Op.2 No.2 この曲のタイトルは、19世紀のサロン音楽の題名を思わせますが、メトネルのこの作品は卓越した作品です。1903年メトネル23歳の11月、この曲の出版を意図してペータースブルクのベライエフ邸でリャードフ、グラズノフ、リムスキー・コルサコフの同席のもとで演奏したということです。曲はABAの三部形式で、Aは、ゆっくりと不安げに流れるハーモニーの中に印象的なメロディーが現れ、途中にはマズルカ風なリズムも出てきます。Bは、華麗で感動的なワルツとなり、再びAに戻り思い出に身を沈めつつ終わります。
 全6曲とも「舞曲」という名を持ったOp.40の「忘れられた調べ」第3集の中の4曲目「Danza Jubilosa」(歓喜の舞曲)は行進曲風の装いをした明るく気まぐれな小品で、メトネル自身も(自作自演が残っている)たびたび演奏会で演奏した記録が残っています。


おとぎ話 作品20−1
「忘れられた調べ」第2集 作品39−3「春」      P. 内藤 晃   
            

 「おとぎ話 Op.20-1」は、悩ましい旋律が印象深い、情熱的な作品で、スクリャービンを思わせるような趣があります。この曲について、メトネルは、「誰かに切実に訴えるように、勢い込んで始めよ」と弟子に語ったといいます。「春 Op.39-3」は、春の喜び、夢と希望に溢れた、とにかく美しい作品です。2曲とも、メトネルの小品中特に名高いものですが、それぞれ性格は異なるものの、メトネルならではの、温かく人間味のある「微妙な」音色の響きが印象深く、弾きこむほどに魅せられています。どちらも大好きな曲なので、気に入っていただければ嬉しいかぎりです。


ソナタ=エレジー 作品11−2             P. 斎藤 綾乃                       

 1906年に完成された「ソナタ三部作」作品11の第2曲で、同年に亡くなったメトネルの義理の兄弟アンドレイ・ブラテンシの思い出に捧げられている。哀愁漂う切ないつぶやきのような冒頭の旋律が、この曲を貫く主要主題となっている。この素材を活用しながら曲奏を高めていき、最後は輝かしく活力に満ちたコーダで締めくくられる。
 今日演奏するこの曲は、メトネルの作品の中で私が一番初めに好きになった曲である。だから、この美しく物悲しい雰囲気を存分に表現できるように演奏したい。


ソナタ=ヴォカリ−ズ 作品41−1     Sop. 魚本 ゆかり P. 木部 泉

 メトネルのもう一つの中心的なジャンルに歌曲をあげることができます。総数は軽く百曲を超え初期から晩年まで常に作曲されていました。1922年に作曲されたこの曲は彼の音楽的嗜好である<芸術的表現と信仰の融合>にもとずいて、まずはプレリュード風に、ゲーテの「浄められたる場所」という詩に曲をつけて、芸術的創造への黙想を語らせ、その後、歌と伴奏がフーガのように線の絡み合うソナタ・ヴォカリーズの部分となるという、二つの部分から成っています。五音階旋法が用いられ不思議な明るさを湛えたこの曲は、自己陶酔的に互いに響き合った後、最後にハ長調のドミナントとトニックに終止するという不思議な解決を用意しています。


「忘れられた調べ」第1集 作品38−1「回想」ソナタ  P. 糸井 陽美            

 この《調べ》を初めて耳にしたのは1年前。それまでメトネルを知らない私には大きな衝撃でした。その《調べ》は、当時演奏家として行き詰まった私の心を占領し支配していった。《忘れられた調べ》は全3集から成り、今回演奏するのは第1集Op.38−1《回想ソナタ》である。このOp.38は全部で8曲。1922年に初演された時には「自然」という総合タイトルがつけられていたと言う。このノスタルジーにあふれた演奏を聴いて、あなたは何を思い、感じるだろうか。
 数ヶ月、一人でこの《調べ》に魅せられ、あるきっかけで川上氏の演奏を聴き、出会いました。今回、このような場に立てることを感謝し皆さんに捧げたいと思います。


4つのおとぎ話 作品26               P. 水村 仁美

 メトネルが西欧に拠点を移した1912年ごろの作品と考えられています。4曲とも標題はありませんが、それぞれキャラクターの強い曲想は確かに演奏者の心象風景を呼び起こすものです。『第1曲変ホ長調』爽やかな空気、穏やかな光、夢見心地の気分。『第2曲変ホ長調』自由奔放にかけ巡る走句、交差するリズム、エネルギーに満ちている歓喜。『第3曲へ短調』心の奥底に潜む孤独の悲しみ、込み上げる切ない歌。『第4曲嬰へ短調』あきらめとそれを打ち消す意思とのやり取り、幻想の世界での解放感と再び現れる現実。さまざまなイメージがふくらむ大変叙情的な小品集です。重要視されるような濃い内容を含むわけではありませんが、簡潔な中にメトネルらしさを十分味わうことのできる愛すべき作品です。


《ヴァイオリン・ソナタ 第2番 G-dur Op.44》 より 第2楽章  Vn. 塩野入 清美 P. 中山邦子                   


 メトネルの室内楽の作品から、本日はヴァイオリン・ソナタ第2番より第2楽章を演奏いたします。3楽章から成るこのソナタは全曲演奏すると40分もかかる大作ですが、特徴的なのは、各楽章がカデンツァによって導かれていることです。第2楽章は主題と6つの変奏曲からできています。どこか物悲しい古い歌を連想させるシンプルな主題は変奏されるに連れテンポも曲想も華やかに激しくなります。分かりやすい旋律の中にも斬新で新鮮な和声が随所に現われます。ヴァイオリンとピアノの旋律が何層にも重なり合い音楽を紡いでゆきます。さまざまな音型が複雑に入り組んでいるにもかかわらず、そこに浮かび上がる旋律、ハーモニーは独特の美しさ心地良さが感じられます。


おとぎ話 作品51−1、5、6             P. 川上昌裕

 1927年にメトネルはソ連への演奏旅行からパリへ帰ってきてこの作品を書いた。メトネルが生涯に書いた多数の「おとぎ話」、そして小品集としても最後の作品となったこのOp.51の6曲は、少々風変わりだがロシアでは民話の主人公としてよく知られている"ゾールシカ"(シンデレラ)と"イワーヌシカ"(「イワンの馬鹿」の原型となった)に捧げられている。曲中には、それら二つのキャラクターが見え隠れしている。ロシア民謡と結び付いているため、どの曲も素材は非常にロシア的なものだ。《第1曲 ニ短調》全6曲中一番長く、舞曲風で終始力強い曲想を持つ。《第5曲 嬰へ短調》4分の3拍子。"プレスト"の指示で終始休みなく流れる。《第6曲 ト長調》この曲の明るく気楽なムードは、イワーヌシカ(道化)のダンスを思わせる。




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