日記のページ
2002年12月9日(月) 雪やこんこん
今日の東京地方は、真っ白の雪景色になりました。
寒さも一段と増して、雪が降ると芯から冷える感じです。私は九州の福岡出身なので、あまり寒さは得意ではありません。でも、ウィーンに住んだ経験と、北海道の旭川出身の主人と結婚したおかげで、だいぶん強くなりました。
結婚後、始めて冬の旭川を訪れたときのことです。丁度お正月の頃で、雪は窓枠まで積もっていました。一日に何度も雪かきをする義父を手伝おうとするのですが、全然役に立たず、ほんの少ししか雪かきもできずに、家の中に退散する始末。冬の北海道を初めて知りました。その頃、主人のご両親はパッチワークの丘で有名な美瑛に住んでいました。家から最寄りの小さな駅までは歩いて20分ほど。旭川市内に新年会に行くために主人と二人で出かけることに。さて、あたりは一面真っ白の雪の中、シーンとして何も音のしない不思議な空間をサクッサクッとロマンチックに二人で歩き始めました。最初は、「北海道にお嫁に来たんだわぁ〜」と自分自身の運命に思いをめぐらせたり、余裕があったのですが…。し、しかし、5、6分過ぎた頃から足が氷のようになってきて、次に鼻と頬が痛くなり、だんだん辛くなり始めました。10分経過するあたりで限界が…。もう頬の感覚が無くなるし、雪の白さでまぶしくて目は開かないし、鼻は痛くて息も出来ないし、根を挙げてしまいました。「家に帰りたーい!」
でも、「帰るにしても10分。駅までも10分。どちらにしてもあと同じだけ歩かないといけないよ」と冷静に主人に言われ、半分泣きそうになりましたが、とにかく駅まで歩きました。あの寒さと辛さは一生忘れません。雪を見るとこの時のことが思い出されて懐かしくなります。
主人は、寒さには強いはずですが、最近は北海道に帰るたびに風邪を引いています。昨年、札幌へ行った時は2回も雪の上で転んだそうですが、これは「サルも木から落ちる」でしょうか?
2002年11月21日(木)
今度の日曜日は、私の知人でヴァイオリンを教えている棚元先生が、生徒さん達の発表会を催します。ヴァイオリンを始めて半年の年中のお子さんから大学生の生徒さんまで、皆さんそれぞれソロの曲を披露し、また、にぎやかな合奏もあります。ピアノの発表会ではアンサンブルといっても2人や3人で連弾を弾くことぐらいはできますけど、弦楽器の合奏はピアノではちょっと表現できないような高貴な感じがあって、とても優雅な気分になります。子供達が幼い頃からそのような体験をしているのを見ると感動してしまいます。
私は、3年ほど前から毎年、この発表会に伴奏者として参加しています。今年は年長の女の子から大学生まで9人の伴奏をします。生徒さん達は発表会当日まで練習を重ねて演奏が良くなっていくので、1度合せてもそのように本番も弾くとは限りません。気が抜けない面もありますが、すごく新鮮で楽しくやらせてもらっています。このような発表会の伴奏の仕事も大好きです。生徒さんたちは、一人一人持って生まれた個性を生かしながら、真剣にヴァイオリンに取り組んでいます。そのような子供達と触れ合えるのが喜びです。
ヴァイオリンを習っている生徒さんのご家族は、やっぱりヴァイオリンや弦楽器に親しんだ経験のある方が多いのかしら?と思います。合奏の時に、チェロやビオラで応援団員として参加される方が結構いらっしゃるのです。立派な室内オーケストラという感じです。お聞きすると趣味で弾いていらして、アマチュアオケにも参加されているとか。“家族で弦楽四重奏ができる”なんてあこがれです。
2002年11月17日(日)
またまた書かない日が続いてしまいました。これでは日記とはいえないですね。
先週まで私はすごくひどい風邪を引いていました。熱が、38度7分まで上がり、こんなに熱を出したのは生まれて初めてだったかもしれません。体温計がぐんぐん38度5分を超えていったのをみて、「この体温計、壊れてるのかしら?」と思ったぐらいです。熱は次の日には37度2、3分まで下がりましたが、そこからが大変でした。喉と鼻にすごく炎症を起こして、声が出なくなって、さらに咳がひどくて眠れない日が続いてしまって。まさに風邪のフルコースを頂きました。二度とこんな風邪は引きたくないです。
今週は、自分が病気をしたことで、体を大切にすることや病人を思いやることに改めて気づきました。レッスンも一週間全部お休みしてしまい、やっと再開です。でもマスクをして。生徒さん達にこんなひどい風邪菌を移しては大変ですから。マスクをすると少し息苦しい感じで、レッスンに夢中になってくると、はぁはぁ(*_*)してきてしまいます。(マスクで酸欠になっちゃうのかしら?!)ピアノの先生って喉も大切にしないと喋れないということもわかりました。
H君も風邪を引いたらしく、マスクをしてレッスンに来ました。先生も生徒、二人で“マスクマン”。ちょっと笑ってしまいました。
2002年11月1日(金)
少しお休みしてしまいましたが、元気にやっています。
今日は、大人の生徒さんのKさんがレッスンに来られました。Kさんは高校生のお嬢さんを持つお母様でもありますが、実は今受験真っ只中なのです。
7年ぐらい前に私たちはお互いの知人を通じて知り合いました。そしてその頃から、「ピアノをもっと本格的に学びたい」と受験することを考えられていたようです。もともと、ピアノは結婚や子育てなどで中断することはあってもずっと傍らにピアノのある生活をされてきたようで、譜読みも、弾くことも、趣味で弾かれる大人の方としてはかなりレベルは高かったと思います。私たちは初めにツェルニー40番とバッハのインヴェンションをレッスンで取り上げました。これは以前すでに勉強されていましたが、「深く掘り下げてみたい。もう一度やり直したい。」とKさんの強い希望でした。レッスンにも真剣に取り組まれ、また受験に合わせて聴音やソルフェージュも一から勉強しました。
そして、何度かの発表会で曲を披露するうちにとうとう受験の年になったわけです。学校は、社会人を受け入れている幾つかの音楽大学から、桐朋学園短期大学音楽科に決めました。11月中旬に入試です。頑張れ〜!!
Kさんはピアノに向って一音一音に心をこめて弾くととても気持ちが落ち着ちついてくると言われます。以前は、人間関係に悩んだり、自己嫌悪に陥ったりして心が不安定だったそうです。でもピアノを深く学ぶことによって一音一音の大切さを発見され、木目細かくすべてを取り扱うことや、丁寧に向き合うことなどを学ばれ、その態度は人に対しても同じだと思われたそうです。音に愛情を持つことは、相手の気持ちになって話したり、話を聞いたりすることにつながるのかもしれません。また、自分の出している音を客観的に聴くことは、自分自身を他者の視点で見つめることに通じるかもしれません。
ピアノに向っている時は、子供時代の純真な心が顔を出して来るような気もします。何かに真剣に取り組むと、心もそれによって成長していくのではないかと思います。
2002年10月16日(水)
「本番に強い伸くん」は、やはり本領発揮で強い集中力を持って弾きました。お客様の一人一人、心から音楽に耳を傾けて聴いてくださったように感じました。ありがとうございました。
伸行くんは、本番前に一度ハヤシライスを食べた日にとても演奏が上手くいったことがあって、それ以来「ハヤシライスを食べること」がおまじないなのだそうです。それも、お母さん手作りの。昨日も昼食にしっかり食べてきたようで気合十分な様子。本番前の楽屋ではニコニコしながら「オーケストラの人も本気出すかな〜?」と伸くん。「そうね、きっとリハーサルより一段と良いと思うわよ。」と答えると、さらにニコニコ顔で「僕も本気出しますよ!リハはまだ本気出してないんです。」(^_^;)(す、すごいパワーなのでした。)オーケストラと一緒に弾けてすごく嬉しい気持ちがはじけそうです。演奏することが嬉しくて仕方ない…演奏家としての素質が生まれながらに備わっているのですね。
伸くんをイメージするような鮮明なブルーのドレススーツがとても素敵で、三枝さんや金さんに「かっこいいなー」と言われちょっぴり恥ずかしそうでしたが、ステージではとても凛々しく見えました。
蛇足ですがうちの旦那様は、本番前にマカロニグラタンを食べます。でも作り手は誰でも良いらしいです?
2002年10月10日(木)"暗譜"のこと
今、メトネルの曲の暗譜をしています。新しい曲に取り組むときは、暗譜から入ります。まずは初見で大体の感じをつかんだら、次は暗譜をします。ゆっくりと一音一音を頭に入れるように暗譜をしていきます。これは、小さいときからそうだったわけではなく、ウィーンに留学してからのことです。私がウィーンで師事したローランド・ケラー教授には「1回目のレッスンから暗譜で弾くように」と言われていましたので、それまでののんびりとした暗譜のペースから「とにかくまず暗譜をしなくっちゃ!」と変わったのです。異常に大変でした。(ちなみにケラー先生は、どんな大曲でも三日あれば暗譜できてしまい、それに忘れないらしいのです。レッスンでは持っていく曲はほとんどすべて暗譜で完璧に弾いてくださっていました。)
今は暗譜の段階ですので、まだ非常にゆっくりとしか弾けません。暗譜が大体できたと思えたら、次にさらう作業に入ります。難しいパッセージを取り出して練習してみたりしながら、だんだんと本番で弾くテンポに持っていきます。ピアノって忍耐力が養われます。
ところで、主人の練習はまったく違うのです。取り組み始めるときからすでに本番のテンポです。(初見能力はすごいと思いますが…。)私のようにゆっくり弾くところなど聴いたためしがありません。私の友人にもピアニストと結婚した人がいますが、同じようなことを言っていました。もちろんその人の持つ才能もあるでしょうが、男性と女性の違いってあるのでしょうか?
2002年10月3日(木) 今日はK君のレッスン
今日は、私学に通う中学三年生のK君のお宅にレッスンに行きました。彼は、今年の発表会では「小犬のワルツ」とランゲの「花の歌」を弾きました。聞くところによると、学校で音楽科目は学年トップの成績だそうです。
発表会が終わったあと、CDを聴いて「これがやりたい!」と探し出してきたのは、ブルグミューラー「18の練習曲」の"つむぎ歌"でした。彼は「かっこいい曲」をたくさん弾きたい、というのです。かっこいい曲というのは、たぶん有名な曲のことでしょう。なかなか頼もしいです。
ピアノをやめていた時期もあった彼は、中学に無事合格したあとレッスンを再開して、今年の発表会ではとても満足できる演奏ができたと実感できたらしく、「あの弾き終った時の快感がたまらなかった。来年も絶対出るぞ!」とお母様に言ったとか。
彼の目標は、ショパンの「幻想即興曲」や「別れの曲」を弾くことです。そのために、読譜がもっと早くなるように初見をレッスンに取り入れて、また1年後の発表会まで頑張ろうと話しています。でも、一つ少し心配なのは練習時間です。私学なので受験はありませんが、バリバリのテニス部でこの10月からは高校生に混じっての練習となり、帰宅が夜8時を過ぎるとか。ピアノはいつ練習できるのかしら?
2002年10月1日(火) 演奏会の次の日ぐらいは・・・・(ーー;)
うっとうしい雨が降っています。昨晩主人は本番を終え、次の日を迎えました。私は、2週間ほど前から、その日は近くの恵比寿ガーデンプレイスの中にあるホテルにでも泊まって、ゆっくりとくつろいでビールを飲もうよって何度も主人を誘ったのですが、答えは、「う〜ん...。」そのままになっていました。結局自宅へ帰宅しました。
さて今日の朝、私がまだうとうとしていると、もう起き出して何を始めたかと思うと、「大変だよ、こりゃ。」といいながら楽譜に何やら書きこんでいます。彼は楽譜の校正の作業をしていたのでした。お昼ごろまで黙々とやっていましたが、気がついたら「さあ、行かなくちゃ!」と叫び、大学へ行ってしまいました。いつになったら、ゆっくりと二人でのんびりできるのかな〜???
2002年9月24日(火) 新宿行は、上り?下り?
今日は年長さんのHくんがレッスンにやって来ました。彼は電車にとても興味があって東京に走る鉄道の名前はほとんど知っているようです。
今日は、へ長調の音階をお勉強しました。ヘ長調はシにフラットが付いて、音階の指使いもハ長調とはまったく違います。弾きにくい4番の指を黒鍵で弾いて1の指をくぐらせてシのフラットから遠いドを弾くのです。それももみじのようなかわいい手で。でも、お家でお母さんといつも一生懸命練習してくるHくんはとても滑らかに弾き、私も驚いてしまいました。教材はバスティンのピアノレッスンレベル2に載っているヘ調のスケール・エチュードです。この曲は音階の上行と下行が出てきますが、シンプルながらスケールの持つ音楽の高まりと収まりを感じることができて、心をこめて歌うことを体得できます。
音階のお話をしていて、そういえばHくんは電車が好きだったことを思いだし、「音階のこれが上りでこっちが下りなのよ。」と説明をしました。彼の目はやはり閃いたらしく、きらきらと輝いています。その輝きにつられ、「H君のお家の近くの駅から新宿行きの電車は上りなのかな?」と訊いてみると、しばらく少しお顔を赤くしながら考えていて、「うーん…、だから西武新宿線は新宿行きが上りで、埼京線は新宿のほうにくるのが上りで、総武線は新宿に向って上りで、中央線は…。」堰を切ったように彼の頭のコンピューターの中にある電車のファイルをお話ししてくれました。あっけにとられたのは私です。鉄道に関しては、5歳のHくんに及ばないのだわ〜。
2002年9月23日(月) 発表会後のレッスン
発表会が終わって初めてのレッスンが始まりました。発表会が終わっても、のんびりはできないんですよね。まず、新しく始める曲を決める作業があります。小学校5年生のH君が昨日レッスンに来ました。来るなり、「おっとっとー。」と、椅子に倒れ掛かるようにレッスンバッグを置いて、どうしたのかと思ったら、中から出てきたのは最近使っていた楽譜がごっそり。ベートーヴェンのソナタ集にモーツァルトのソナタ集、ショパンのワルツ集にバッハのインベンション、ハノンにツェルニー30番etc...。優に5キロはあったのではないかしら?大変だったでしょう。偉いですね。
H君は今回の発表会でモーツァルトのトルコ行進曲とショパンのワルツの3番を弾きました。ショパンはやさしい遺作のポロネーズなどは勉強しましたが、大きな曲は今回が初めて。モーツァルトもショパンも大好きな作曲家のようで、彼の思い入れが出ていて、メロディーの一つ一つを丁寧に歌って弾いていました。
さて、その楽譜の山を前に何を選ぶか話を始めて、私の頭の中には「ソナチネをまだ何曲かやった方がいいかな?」と考えていたのですがとりあえず質問しました。「古典派とロマン派とどっちが良い?」「うーーーん。(しばらく恥ずかしそうに黙ってニコニコしていて)ロマン派。」「あっそうなの! ロマン派が弾きたいのね(^_^;)」やっぱり、ショパンの虜になってしまったようです。お母さんの話によると、CDを聴いてソナタの3番や英雄ポロネーズにあこがれているとか。そういう気持ち、とても大切ですね。大事に育ててあげたいと思います。
曲は、レント・コン・グラン・エスプレッショーネとノクターンの2番になりました。どんな風に仕上がるかを考えるとわくわくします。
でも、私がしっかりさらわないと良いレッスンにならないのだわ!
2002年9月17日(火)
発表会が終わりました。皆さん、「緊張する」ということを乗り越えて、頑張って本番を弾き切ってとても素晴らしい会でした。
生徒の皆さんは、やはり弾く前は緊張がお顔に出ていて、ステージ裏で「大丈夫かしら…?」と少し心配しましたが、いざアナウンスがあってステージ中央に進んでいき、お客さんににっこりお辞儀をしている姿は堂々として頼もしい晴れ姿でした。
そして演奏を聴きながら、驚きとうれしさでいっぱいになりました。誰も教えていないことを、自然にステージの上でやってくれてそれがすごく音楽的だったりするんです。皆さん素質があるんですね。
ステージに立つことって、とても貴重なことだと思います。お客さんが自分を見ていてくれて、ピアノを聴いてくれるって、普段の生活の中では味わう機会があまりないことです。発表会で、暖かいまなざしを受けながら弾けた幸せはきっとこれからの宝物になるでしょう。
こんなにみんなが頑張って本番に臨んでいるのだから、私も同じ気持ちになって弾きたいといつも思うのです。が...。でも先生と演奏家と同時に2役はまだできないのです。どちらもやろうとすると、会に支障が出るか、演奏がぼろぼろになるか?
それで、模範演奏は昌裕先生にお任せしました。最後にドビュッシーの「喜びの島」を弾いてくれて会を終わりました。来年もさらに素晴らしい会にしましょうね!