
IP ヘッダ中の「サービスタイプ」
IP ヘッダの中にはサービスタイプと呼ばれる部分があります。これは別の経路を指定するためのものです。
1996 年には、通常のやり取りには代替経路というものはなかったので、サービスタイプの値はゼロでした。
サービスタイプにゼロ以外の値が設定されていれば、誰が、何のためにその値を設定したのかを見付け出すべきです。
サービスタイプの意味は以下のようになっています。
ビット7、6、5−優先ビット。3ビット分。以下に意味を示します。
ビット4−「高速」ビット( High Speed )
ビット3−「高スループット」ビット( High Throughput )
ビット2−「高信頼性」ビット ( High Reliability )
ビット1、0−非使用
優先ビットの意味。
000−通常( Routine )
001−優先( Priority )
010−即時( Immediate )
011−瞬時( Flash )
100−瞬時無効
101−CRITIC/ECP
110−ネットワーク間制御
111−ネットワーク制御
優先と即時の違いは何でしょうか? 答えが定義されているわけではありません。ですからこれらのビットを見かけたら、誰がなぜセットしたのかを調べなければなりません。
優先ビットの実装はまったくベンダに依存しています。このフィールドはほとんど使われていないとみなしてよいでしょう。
3つの異なる経路を示すルータがホノルル(オアフ島にある)とヒロ(ハワイの大きな島にある)の間にあるとしましょう。
T1(海底ケーブルです)、光ファイバ(これも海底ケーブルです)、T1 衛星リンクを使用しているとしましょう。
(※ T1 とは、アメリカでの伝送速度 1.5 Mbps の専用線サービスの名称です。)
データのロスが一番少ないのは、光ファイバケーブルであると判断し、これを最も信頼性の高いリンクとしました。
ほとんどのトラフィックがこのリンクを通過すること(なぜなら負荷分散ルータを使用しているので)、衛星リンクと T1 リンクは、ほとんど使われていないことを知っています。
T1 リンクがもっとも遅延の小さいリンクで、衛星リンクがもっともスループットの高いリンクであると判断します。
この判断は、全くの独断ですが、よい判断をしたのだということにしましょう。
さらに、ルータには速度、スループット、信頼性に関するサービスタイプが設定できると仮定しましょう。
ルータをそれらのサービスタイプを設定し、その設定に基づいてリンクが決定されるとします。
さらに、現在使用しているワークステーションに、動作に応じて適切なサービスタイプの選べる、必要も能力もソフトウェアも備えていると仮定します。
たぶん、ファイル転送では最もバンド幅の大きいリンクを選ぶことでしょう。
会計のアプリケーションには最も信頼性の高いリンクがふさわしいでしょう。
また、端末からのアクセスには最も速度の速いものがよいでしょう。
少し仮定が多すぎたようです! 今日では、サービスタイプは基本的には使われていないと言うのが公正なことです。
あなたの持っているルータに、サービスタイプの代わりになるものがあるでしょうか?
ワークステーションはどうでしょうか?
つまり、この部分にゼロ以外の値が設定されているのを見かけたら、誰がなぜセットしたのかを調べなければならないのです。
サービスタイプに関連する設定ミスやエラーを見つけたら、ICMP は、その間違ったフレームを送り返し、エラーを通知します。
RFC 1349 にサービスタイプと ICMP の関係についての説明があります。さらに詳しい説明は ICMP の項目を参照してください。