公共事業でもうかるゼネコンのためとしか思えないような計画は止めましょう。
一生懸命環境対策に取り組んでいる企業を応援すべきです。

(1)「廃棄物は、増え続けているから緊急につくる必要がある」という住民へのごまかし
   今年発表された県のパンフレットによると、産業廃棄物の排出量が、昭和62年の調査に比べて平成5年度の調査(アセス作成の元になった調査)は、減少していたという事実を知っていたにもかかわらず、見解書では、大幅に増加傾向にあると予測して「緊急補完的」に必要だ」と説明していました。平成5年度が最終処分量が419万トンで、それが、昨年発表された平成10年度処分量は、約300万トンに急激に減り、県外処分量では、平成5年度257万トン(海洋投棄含む)あったものが、平成10年度県外処分量36万トンに減っているのです。この事実について問い合わせると「県内100%処理が必要」と評価書でも述べていなかった理由をあげています。住民をごまかすやり方です。


(2)焼却炉から出る「ばいじん」「もえがら」は、民間の焼却炉が排出基準にあっているか調べているから安全であるというごまかし

 綾瀬、大和市での焼却炉の深刻なダイオキシン汚染の問題では、住民から再三に渡る改善要求に耳をかさず、米軍の指摘を受けようやく10億かけて煙突を高くする等の対策をこうじようとしましたが、企業側は排出基準に合っていることを理由に応じず、結局、国が、51億も払って撤去・解体費用まで出すという結論になったようです。4/21。県の廃棄物対策は、この程度ですから、民間の焼却炉の運転状況を監視してダイオキシンの発生がどうなっているか。指導できるとは信じられません。
 埋め立てられる廃棄物の中身は、県内の焼却炉から出るすべての猛毒な「ばいじん」や「もえがら」がほとんどをしめるという危険性から、横須賀市は、「もえがら」までセメント固化するように要請書を出していますが、セメント固化が将来に渡って安全であるとは言い切れません。
ダイオキシンに対する排出基準、処分方法は、これからもっと厳しくなります。平成14年度には、もっと厳しい基準が適用されます。一般廃棄物ではゴミの再利用、再資源化が進み、最終的残った物は溶かして再資源化していく方向に進んでいきます。産業廃棄物だけそのまま埋め立てるというやり方は、数年先、社会の意識の変化とコストがかかりすぎために、企業にもあいてにされない状況になると予測されます。

(3)「長期的に安全である」「安全性のモデル」というごまかし

集中豪雨時に有毒な侵出水を処理できない状況になることが明らかである設計ミスの施設であることを指摘すると、
 水量が多いときに貯めておく補助のタンクを取り付けたり、2区画に分けて処分場をつくる計画を7区画に分けて雨水を浸透させないようにつくる方法に変更したり、計画に一貫性のないそのば限りの対策をこうじています。いつまでも有毒な廃棄物が、処分場内に残されることになり、処分場は廃止できないことになります。その廃止の認可を与えるのは横須賀市です。このことも横須賀市としての見解を聞いておく必要があります。再見解書では、処分場内の水処理ができないときは、処分場内に貯めるとまでいっています。しゃ水シートが、破れる原因の多くが水の重さや地下水の力であることすら理解していません。業者任せで、指摘を受けるごとにこのような大きな設計変更を行うようでは、県がつくるから安心とという言葉は信用できません。

(4)しゃ水シートが破れても、「漏水検知システム」があるから安全いうごまかし

埋め立て期間中の10年しか動かさないのです。さらに、漏水が確認され修復作業中であっても、修復作業に支障がなければ廃棄物の搬入作業は続けるとまでいっています。県は、漏水の重大性を何も感じていないのです。県の審議会でも修復が可能なのか具体的に示せという専門家からの指摘があります。
また、10年後は、漏水があっても場所を特定して修復ができるとはいっていません。漏水が始まったらどうするのでしょうか。処分場の跡地に道路が建設されると、漏水があった場合の対策が難しくなるでしょう。
横浜市は、処分場のしゃ水シートの耐用年数は、業者の発表として概ね50年と答えています。県に尋ねてもベントナイト混合土をしいているからと全くこの質問に対して答えようとしません。50年先、しゃ水シートはボロボロになり地下水への汚染が広がり相模湾は大変な状況になっているだろうと予測されます。

(5)万が一しゃ水シートが破れてもシートの下にしゃ水性のあるベントナイト混合土をしいてあるから安全というごまかし

しゃ水シートの大きな部分を占める深い谷の斜面には敷きません。この混合土は。底が平坦な広い処分場で効果があり、傾斜のある谷では漏水が始まると下流に流れてしまい、効果が期待できるとは思えません。
また、このベントナイトは、混ぜる土や混ぜる比率によっても耐水性が変わります。また、最近の研究で、処分場内の侵出水に多く含まれている塩類があると、ベントナイトが陽イオンにより凝集してそのしゃ水機能が失われるという研究結果もあります。4重構造の2重シートとコンクリート基盤とベントナイト混合土でも安全ではないのです。

(6)50年確率降雨にたえるため、24000立方メートルの調整池を設けたから、安全な設計にしたというごまかし。

50年間の平均で一番多い月÷30では、近年の豪雨にたえることができるか。これからの気候の変動は無視されているのです。深い谷に建設するために流域面積が広く、近年の気候の温暖化による豪雨は、今後1日300mm近くになることも予想され、設計基準以上であるから安全とは言えない状況になってきています。松越川下流に居住する住民が一番危惧している問題です。流域面積と調整池、松越川がどれくらいの豪雨に耐えられるのか。安全性について再調査して具体的に示してほしいです。

(7)横須賀市の公共下水に処理水の配管をつなぐから安全性がますというごまかし

 公共下水は、微生物による処理と消毒が主です。侵出水処理施設で、重金属やダイオキシンなど有毒な物質まで処理した水を、高度な処理ができない公共下水に流せば安全性が増すという理由は住民をごまかすものです。集中豪雨時の放流を産廃処分場で考えているとしたら重大な問題を含んでいます。さらに、処分場の廃止後には、モリタリングもしませんから、住民が処理水を監視することが難しくなります。

(8)ダイオキシン等の有害物質の風による飛散はさせないというごまかし

 外に飛散する可能性が大きい風速5.5メートル以上では作業を中断します。風速5.5以上になる日は少ないと答えていました。しかし、再見解書では、いつのまにか。10分間の平均風速5.5メートルのとき作業停止に書き直されていました。瞬間風速は、5.5m以上になります。

(9)自然を破壊していることを隠して、自然に配慮した処分場をつくるというごまかし。

 湘南国際村は、自然との融和を町づくりの基本に考えましたが、半分以上、山が削られたまま放置されている現状を見れば、この処分場でも考えている誰も責任を取らなくてすむ第3セクター方式の末路がわかります。国際村の現状を見れば、環境に配慮して動植物を移植したり、跡地に自然を再生することがいかに難しいかが分かります。
 谷を埋めて処分場をつくる10年前の時代遅れの施策を進め、わずかに残された貴重な自然をこわすことに 何ら痛みを感じない県政、環境庁出身の知事は、芦名の現場をおとずれたことがあるのでしょうか。長野県の田中知事を見習って住民が同意していない古い施策(公共事業)はやめるという英断がほしいです。

3月27日に県主催の「ゴミ討論会」(産業廃棄物)で講演された北大の教授は、「これからの処分場は山間部の谷を埋めるやりかたでなく、人の目に触れる平野部に密閉型でつくる方がよい」と発言されています。水処理が難しいこと将来、環境へのリスクが大きいという理由です。

(10)廃棄物は無くなることはないので処分場をつくるしか方法がないというごまかし

 千葉県は、処分場に依存しな廃棄物対策を積極的に進めています。廃棄物を完全に溶かしてすべてを再資源化してしまう処理施設を、川崎製鉄所と千葉市がいっしょになってつくりました。1日300トン処理できるそうです。年間に換算すると芦名の処分場に埋め立てられる量よりも多いのです。建設にかかる費用は、数年で利潤が見込めるそうです。税金を使い190億円以上かけてつくる埋め立て処分場と将来に残す危険性、子どもたちに残さなくてはいけない貴重な自然の破壊等その代償を考えると、あまりにも神奈川県の政策が遅れているといわざるをえません。県主催「ゴミ討論会」(産業廃棄物)のパネリストの発言でも「これからは、再利用、再資源化が進み、最終的に処理できないゴミは、溶融化(溶かして金属、塩分、熱、建築素材等に分離してすべて再資源化)に進むだろう。」「税金を産業廃棄物処理に使うところはない。」「20年前から処分場は足りないといわれてきたが現在までもっている。」等、あまりにも県が説明してきたことと民間の業者のとらえ方とは違っていました。県主催「ゴミ討論会テーマ産業廃棄物(3月27日)」の県の挨拶の中で、横須賀市芦名で県が進めようとしている産業廃棄物最終処分場について一言もふれないというのは、施策について公表もできないほど計画が時代遅れなのか。公表できないほど計画がずさんなのか。県のりっぱな「廃棄物の現状」というパンフレットにも県が初めてつくる産廃処分場について一言もふれてないなど。地域住民の声を無視して、公共事業で潤う企業のためとしか思えないような無謀な計画です。
 
地域に住む子どもたちのへのリスクを考えるとこの計画を認めるわけにいきません。
  
(11)処分場を横切る北武活断層は、市の条例である重要な施設を活断層から25m離しているから安全であるというごまかし

  市が条例で定めているのは、主に住宅を対象としているのであり、産業廃棄物処分場という広範囲に汚染が広がり環境に及ぼす影響の大きい重要な施設は、国の審議会でも活断層等の近くにつくるべきでないといっています。東に衣笠活断層、西に武山活断層が通る危険な地域を選ぶこと自体、安全性を何ら考えていません。地震が起きて活断層が地表に現れるのは、いつも同じところとは限りません。ここに活断層が通っていて施設から25m離れているから安全だと誰がおもうでしょうか。県のアセスの文書で、ここは、 「断層ではなく不整合関係である」「北武断層は西に向かって終息している」と、県の活断層調査報告書にある「断層」「収束」という言葉を、「不整合関係」「終息」という県に都合のよいように書き換えたりしています。県の審議会でもその根拠を具体的に示せという指摘を受けても再調査することもなく、従来通りの答えしか出していません。住民の安全はまったく無視されているのです。