先日。芦名町内会の方にこのような知事からの文書が送られてきました。県の廃棄物の施策がこの程度なのかと改めて情けなく思いました。住民の声を大にして、遅れている施策を凍結させ、最も危険な処分場であることを訴え、反対し続けましょう。
以下知事からの文書と意見を載せておきます。


拝啓
 初秋の候、皆様には益々ご清栄のことととお喜び申し上げます。また、日ごろより
神奈川県政の推進にあたり、ご協力をいただき厚くお礼申し上げます。
 さて、本県では、資源循環型社会の実現をめざして、廃棄物の発生抑制、再利用、再生利用を進めているところでございますが、どうしても最終処分しなければならない廃棄物が発生してしてしまうことから、これを適正に処理する必要がございます。
 


意見
 @アセスの説明会や意見書への見解書では、産業廃棄物は大幅に増加傾向にあり、緊急  補完的につくる必要があるといってきましたが、実際は、昭和62年から5年ごとの  調査で、大幅に減り続けていたのです。平成5年度、平成10年度でみると、最終処  分量が100万トン減、県外処分量で257万(海洋投棄を含む)トンから約36万  トンに減っているのです。国は、平成22年度までに廃棄物を半分に減らす目標をあ  げています。益々減っていくことが予測されます。早急につくるべきではありません。
Aどうしても最終処分しなければならない廃棄物は、再生利用が可能となるまで遊休地
 (工場跡地等)で一時厳重保管すべきです。今、製鉄業界が積極的に廃棄物の完全再生  利用のプラントを研究し実証試験段階に入っています。一般廃棄物では、千葉市や青  森県など、減量化と処分場に依存しないこのシステムを取り入れています。トンあた  りの処分にかかる費用も処分場と同じくらいです。処分場が足りなくなったことで、  このような産業が生まれ技術革新が進んできたのです。廃棄物政策は、数年で大きく  変わっていきます。健康への安全性や自然の大切さもみんなが今よりもっと認識して  いくでしょう。このような処分場に依存するという古い10年前の施策をまだ進めよ  うとしている県にこのまま任せていいでしょうか。環境問題に積極的に取り組んでい  る民間企業に任せるべきです。
  住民の安全のために税金を使うことであれば、県民は納得すると思います。

 

しかし、本県では、都市化による県土の高度利用や、安全性にたいする不安感もございまして、最終処分場の設置が進まないことから、処分場が極端に不足しており、このことが不法投棄等の不適正処理を引き起こすという悪循環を招いているのが実態でございます。

 
意見
@山間部の谷を埋める処分場は将来必ず地下水を汚染し、子どもたちの代になって健康への影響が現れることを心配して、反対運動が全国で起きています。それは、外国と比べて処分場の安全性が疎かにされ、国の基準に合っているからといっても誰も安全性を信じることができないからです。神奈川県より地方の方がこの問題に関しては、住民が訴訟をおこしてまで水を守る運動を進めています。
A不法投棄の問題をこの程度の認識しかもっていなかったのかと思うと唖然といたします。不法投棄の問題は、法整備の不備(ざる法)、罰則の軽さ、取り締まりの甘さにつきます。不法投棄が重罪だという認識のない、豊島での香川県の対応と同レベルの考え方しかもってないかと思うと、情けないです。


 一方、県外自治体も廃棄物の搬入規制を強化していることから、このまま放置すると県内の不法投棄がさらに増加する恐れがあるだけでなく、県内産業に深刻な影響を与える恐れもあり、最終処分場の確保は、一刻の猶予もならない緊急な課題となっております。


意見
 @不法投棄を行わせ、野放しにしてきた行政の失態を隠し、それを、処分場をつくる理 由にするという、本当に地域住民をばかにしていて怒りを覚えます。不法投棄は、住民 の力の弱いところにつけ込む卑劣な犯罪です。
 A3月27日の県主催のゴミ討論会で産廃業者団体のパネリストは、「税金を産廃につか うところはない」「20年前から処分場は足りないと言っているが今日までもっている」 と発言しています。「廃棄物の最終処分量等が減ってきていたデータを隠して、増加傾 向にあり、緊急補完的に必要」と言って住民をごまかしてきたことにまず答えるべきで す。

 こうした中で本県では、近々、芦名地区産業廃棄物最終処分場につきまして、廃棄物処理法に基づく設置許可申請書を横須賀市長へ提出させていただくことといたしました。
 既に、皆様には重ねてご説明させていただいたところでございますが、本処分場につきましては、住民の皆様に安心感を持っていただけるよう、施設構造面では、しゃ水施設を四重構造にして、埋立区域に降った雨水が外に漏れないようにするとともに、この雨水についてはダイオキシン分解装置等で処理した上で下水道に放流するなど、法律の基準を上回る安全対策を実施いたします。


意見
 @町内会役員等への個別訪問を説明ととらえ、関係地域の一般住民は無視され続けてき  ました。安全性の問題や活断層についての見解は食い違ったままです。
  しゃ水施設にしても、横浜市は、しゃ水シートの耐用年数は、概ね50年であり5重構造にしたといっています。(神明台処分場計画) 、しゃ水シートは、将来確実に破れるので破れても穴をふさいでくれるしゃ水性のあるベントナイト混合土を敷くといっています。このベントナイトは、混ぜる土や混ぜる比率によっても耐水性が変わります。また、最近の研究で、侵出水に多く含まれている塩類があると、ベントナイトが陽イオンにより凝集してそのしゃ水機能が失われるという研究結果もあります。4重構造の2重シートとコンクリート基盤とベントナイト混合土でも安全では ないのです。
それより、埋め立てが終わった後、しゃ水シートが破れ地下水が汚染されたとき
その修復は、できるのかどうかをはっきり答えるべきべきでしょう。それができなければこの処分場は安全ではなく、神奈川県の10年間分の煤塵、燃え殻を埋めた最も危険な処分場であり、建設を絶対に許すことはできません。
A埋め立て区域内に降った雨が外に漏れたら重大なことです。この問題では、埋立区域 内に降った雨を浸透させないようにして、侵出水処理施設でダイオキシン処理しないで、川に流すことが問題なのです。いつまでも、有害な物質が処分場内に処理されないまま残ることになり、危険を封じ込めたまま廃止できない処分場になってしまうことが問題です。


 また、維持管理面では、搬入される廃棄物に対して徹底した審査を行うほか、定期的に大気や地下水の検査を行い、その結果を積極的に情報公開してまいります。

意見

 @煤塵のセメント固化、燃え殻の処理等を考えているいる?としたら、一日70台の車の審査をどのようにやるのでしょうか。徹底した審査ができるとは思えません。

さらに、最終処分場の運営につきましても、こうした計画を責任をもって実行することが住民の皆様に信頼していただける道と考え、設置者である県が自ら運営してまいります。

 意見
@県は、第3セクター方式をとるのでしょうか。
川崎の中間処理場は、多くの民間の企業が出資して第3セクター方式をとっていますが。国際村の現状を見れば、山肌が削られたままの自然破壊を誰も見ようともしません。施策自体、計画から実施に移すときには十数年前の古いで考え方になってしまっているのです。
先日の報道で、千葉県知事は、三番瀬埋め立てを断念すると発表しました。それは、新しい県知事による自然保護を優先して無駄な公共事業を見直すという積極的な姿勢がうかがわれます。神奈川県も、将来を見通した施策を県民に提示して、190億を超える公共事業の見直しという英断を望みます。自然破壊と安全性のリスクも公表して、ぜひコストを算定して他の方法と比べて芦名の谷を選んだ理由をはっきり県民に示すべきです。

川崎の中間処理場は、多くの民間の企業が出資して第3セクター方式をとっていますが。企業のイメージ低下になる、処分場に出資する企業はないでしょう。

 
 つきましては、産業廃棄物の現状と処分場の安全性に対する本県の取組みをご賢察の上、最終処分場建設事業の推進に対しまして、皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
                                                                    敬具

平成13年9月12日
芦名町内会の皆様へ
神奈川県知事   岡崎 洋