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『女子大生会計士の事件簿』 萌さんとカッキーの読書室

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  ◆◆ 目次 1.ベストセラー読書室
  ◆◆     2.最新ビジネス書の読書室
  ◆◆     3.講演会のお知らせ
  ◆◆     4.編集後記
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◆◆◆ベストセラー読書室◆◆◆

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第3回 『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計入門』
橘 玲 (著)  幻冬社  2002年12月
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カッキー
「読書室の第3回は、“日本人には役に立たない「金持ち父さん 貧乏父さん」は今すぐ捨ててください!”という過激なコピーで売り出され、見事にベストセラーになった『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』です」

萌さん
「いわゆる“金持ち本”って、ここ数年でたくさん出されているけど、 こんなにマニアックなマネーの知識がたくさん披露されている本はなかなかないんじゃない?」

「海外事情や税金の知識も豊富ですよね」

「はっきり言って、この著者は“マネーおたく”よね。 この人、絶対オタクに違いないわ」

「し、失礼ですよ!この著者、橘玲先生は『マネーロンダリング』という小説も 大ヒットさせたベストセラー作家なんですよ!」

「まあそんなことはいいとして、この本では『金持ち父さん』への対抗心が随所で見られるわよね」

「そうですよね。『金持ち父さん』ではあんなに主張されていた“不動産投資” に対して反対していますし」

「“ワンルームマンションに投資する奴はバカ”くらいなことも書いてあったわね。 確かに不動産は流動性が低いくせに価値下落リスクも高いから、そんなに有利な投資商品じゃないのよねー」

「土地ならまだしも、一軒家やマンションは30年経てば価値がほとんどなくなりますしね」

「本当にマンション投資が儲かるなら、マンションの販売会社が 全部自分たちで買っちゃっているはずだもんねー」

「この本は、そういった普通に考えれば当たり前の話を教えてくれる本ですよね」

「『世界一住居費の高い日本で一人暮らしをしたり、 世界一人件費の高い日本で専業主婦を養うことは究極の贅沢だ』という著者の主張にはうなずくところもあるわね」

「あと、『資産運用の初期においては金融資産に投資するよりも、 人的資本に投資した方が合理的』というのも面白いですよね」

「株や不動産を買うより、自分の能力を高めて給料を増やす方が 経済的合理性は高いって話でしょう。ほんと『金持ち父さん』への対抗心がメラメラと見えるわね。あははっ」

「そして、この本では『確実に金持ちになる方法は支出を減らすことだ』 というテーマのもと、住宅コスト・生命保険の削減法や税金の減らし方について詳細な解説がなされています」

「この辺りから話がちょっと怪しくなっていくのよねぇ‥‥」

「我々が会計の専門家ですから、どうしても気になっちゃうのは仕方ありませんよ」

「でも、『法人成り(個人が法人を設立すること)』が絶対得するような書き方は問題があると思うなぁ。 1千万円くらい課税所得がないと有利になるとは思えないし」

「法人になっても経費が全部認められるわけじゃないですしね」

「つまるところ、法人成りや裏金は“お金持ちがいかに税金を払わずに済むか” という話なんだから、私たちみたいな一般庶民には所詮縁がないのよねぇ」

「それでは採点はいかがでしょうか、萌さん?」

「星4つよ」

「おっ、過去最高の得点ですね!」

「やっぱりこの著者の主張が面白いのよね。 マイホームの買うのだって、精神的には得るものが大きいかもしれないけど、経済的に見れば筆者の言う通り高いリスクを負うだけだもんね(住宅ローンという大きな負債を負う、という意味で)。 日本人の凝り固まった不可思議な常識を打ち破ろうとしている点で、 高く評価したいわ」

「僕は星3つです」

「めずらしく、カッキーの方が低いわね」

「“健康保険料を払わなくていい”という話はやっぱり気が引けますし、 厚生年金の話とかもサラリーマンである限りどうしようもない話なんで、ちょっと僕には関係ないかなぁと‥‥」

「まあ、この本では主張を過激にするために“サラリーマンは圧倒的に不利” みたいな書き方がされているけど、給与所得の控除額は自営業者の人よりも大きし、税金をそれほど払わなくて済む退職金だってあるんだから、そんなに差はないと思うのよねぇ」

「結局、本当にお金持ちになってから考えればいい話、 ということなのでしょうか―――」

『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計入門』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344002628/

〔採点〕
カッキー ★★★
萌さん  ★★★★
   計 ★7つ


◆◆◆最新ビジネス書の読書室◆◆◆

『会社にお金が残らない本当の理由』 岡本吏郎(著)
フォレスト出版 2003年12月

カッキー
「去年の年末からずっと売れ続けている税理士さんが書いた本です」

萌さん
「儲けるためには“ビジネスのルールを知ろう”という切り口は、 『金持ち父さん』に似た感じがするわね」

「でも、内容は意外と‥‥なんですよね。 この本については、次回のベストセラー読書室で取り上げます」

「お楽しみにねっ!」

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894511576/


◆◆◆講演会のお知らせ◆◆◆

カッキー
「僕らの著者、山田真哉が7月3日(土)にTAC新宿校で講演会を行います。 東京近郊にお住まいで、会計士受験をお考えの方はもしよろしければいらしてください」

萌さん
「あいつ、話は下手だからあんまり期待しない方がいいわよ」

http://www.tac-school.co.jp/koza1/shukaku/guidance/kaikei_cam2.html


■■■編集後記■■■

今回の書評はこれまでよりも長くなっちゃいました。
面白い本(ツッコミどころが多い本)だと、 どうしても感想も長くなりますねー。
主張が極端なほど、ツッコミどころも満載という感じがします。
次回(7月5日)に紹介するベストセラー読書室は『会社にお金が残らない本当の理由』 です。お楽しみに!


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