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『女子大生会計士の事件簿』 萌さんとカッキーの読書室
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  ◆◆ 目次 1.ベストセラー読書室
  ◆◆     2.最新ビジネス書の読書室
  ◆◆     3.秋の新刊告知
  ◆◆     4.編集後記
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◆◆◆ベストセラー読書室◆◆◆

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 第4回   『会社にお金が残らない本当の理由』
         岡本吏郎(著) フォレスト出版 2003年12月
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カッキー
「税理士さんが書いているのに会計・税務の話が中心ではなく、 どうして会社にお金が残らないのか、という謎を解き明かしていく本です」
萌さん
「お金に困っている経営者にとっては、とっても気になるテーマよねぇ」

「そして、どうして会社にお金が残らないのかというと――」

「単に『経営者の金遣いが荒いから』っていうことなのよねー」

「萌さん、また身も蓋もないことを言って〜」

「でも、たしかに真実だと思うわよ。 税金対策のために社長の給料を高くする場合が多いけど、 その給料の高さはあくまでも税金対策のためであって、本当にもらうべき給料はもっと低いはずだもんね」

「著者は社長の給料のうちの一定金額は合法的な裏金として取っておきなさい、と言ってますよね」

「合法的裏金っていうか、『給料を全部使わずに貯金しなさい』 ということでしょう。裏金でもなんでもないじゃない。大げさなのよ」

「これまた手厳しい‥‥」

「でもねぇ、私この本けっこう好きなのよ」

「どうしてです?」

「まず言っていることが正論なのよねぇ。 『実力以上の支出をするな』とか『本業以外で勝負するな』とか」

「なんだか経営の心得みたいですよね」

「そう、精神論的な話が多いのよねぇ」

「お金の増やし方を解説した『金持ち父さん』系か、 支出の減らし方を解説した『黄金の羽根の拾い方』系のどちらのタイプかと言われると、明らかに後者ですよね」

「著者自身もランニングコストである家賃を減らすために田舎暮らしをしているらしいもんね。 それで採点の方はどうよ、カッキー」

「星4つですね。税務会計のせいで実態とはかけ離れた決算書を 税理士は作っている、だから経営分析も歪んだものになっている、という指摘は中小企業ではよく聞く話なんで納得ですよね。 ただ、ちゃんと正しい会計をしている税理士さんも多いと思うんですけど」

「その辺は、どうなのかしらね」

「萌さんの採点も聞かせてください」

「星4つかな〜」

「萌さんにしてはかなり高いですね」

「分析指標として“一人当たり付加価値”や“労働分配率”などの説明があるんだけど、八百屋さんとか身近なモノに例えてあってわかりやすかったのよねぇ」

「“一人当たり付加価値”は1500万円以上必要、と具体的な数値を挙げているのもいいですよね」

「それに良書って“自分が知らなかったことを知って感動する本”と“すでに自分の中にあるものを肯定してもらって満足する本”の2種類があるじゃない。そういう意味では良質な後者だと思ったわ」

「いま節約しながら頑張っている経営者にとっては、 心地よい応援歌なのかもしれませんね」

『会社にお金が残らない本当の理由』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894511576/

〔採点〕
カッキー ★★★★
萌さん  ★★★★
    計 ★8つ


◆◆◆最新ビジネス書の読書室◆◆◆

『父から娘への リッチな人生のための黄金の泉と7つの教え』
平林亮子(著)
インデックス・コミュニケーションズ 2004年6月

カッキー
「この本は帯に『新しいお金の教科書』と書かれているように、 新しいタイプの金持ち本です」

萌さん
「著者はまだ若い女性の公認会計士なのよね」

「その著者のお父さんが『今日から4年間、お父さんとゲームをしないかい?』 と大学生になったばかりの彼女に声を掛けるところから、この物語がスタートしていきます」

「そのゲームっていうのが、マンションと500万円を渡すから 4年間で増やしてみろ、というものなのよね」

「この最初の場面から、この本がフィクションなのか、ノンフィクションなのか よくわかりませんよね。物語も淡々と進みますし」

「この本はそういう点が問題じゃないのよ、カッキー」

「だって、このお父さんがお金持ちなのかどうかもわかりませんし、 著者自身が現在金持ちかどうかもわからないんですよ。実際の金持ちの話である『金持ち父さん 貧乏父さん』や『ユダヤ人大富豪の教え』に比べるとカリスマ性に欠けるような‥‥」

「だから、この本はそういう本じゃないの。 あくまでも『新しいお金の教科書』なのよ」

「というと?」

「論理でお金の知識を学ばせよう、という本なのよ。 カリスマ性で引っ張るのではなく、論理で納得させる金持ち本、 といった感じかしら」

「たしかに、単純化された算式や図式が多いですよね」

「この本はあくまでも『新しいお金の教科書』を目指したから、 カリスマ性のある物語的要素はあえて削除した感もあるわね」

「そう言われてみると、基礎だけど大事な話が中心で教科書的ですよね」

「新鮮な視点も多いわよ。『保険には、(1) いざというときの備え(2) 安心を買う (3) 他人を助ける という機能がある』 の3番目なんて、心が和む説明よねぇ」

「『儲ける!』『大金持ちになる!』ということが前面に出ず、 必要なお金の知識を的確に紹介するという、 ある意味『新しい』本かもしれませんね」

「そういう点で、けっこう好感がもてる金持ち本よね」

『父から娘への リッチな人生のための黄金の泉と7つの教え』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757302398/


◆◆◆秋の新刊告知◆◆◆

カッキー
「僕らの新刊が秋にたくさん出るんですよねー。 実用書の第2弾が出ますし、小説の第4巻も出ますよ」

萌さん
「まあ、リニューアル作品も入っているけどね」

「で、でも角川文庫でのデラックス版ですよ。進行状況は随時ご報告します!」

9月22日発売予定  『<女子大生会計士の事件簿>世界一感動する会計の本です』(日本実業出版社)
9月25日発売予定  『女子大生会計士の事件簿1 DX版』(角川書店)
10月1日発売予定  『女子大生会計士の事件簿4』(英治出版)


■■■編集後記■■■

『事件簿』の読者の方からお便りがきました。 なんと、作家さんとのこと。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434036548/

『事件簿』読者層の幅も広がったものです。 この作家・稲村圭さんはメルマガも発行なされていて、 読者数はなんと1万人以上!

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あなたはなぜ、2年弱で銀行を辞めたのですか?
有給休暇、飲み会、右腕骨折女子行員、ネットバンキング、ATMパニック、給料等、 元若手行員が語る、等身大のメガバンクが描かれています。
10000部メルマガ&10000部書籍 『若手行員が見た銀行内部事情』 知らない方が良いこともあります →
http://members.at.infoseek.co.jp/bankclerk/

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一見、怖そうですが、明るくてまっとうなメルマガだと思いました。

次回(事情により 7月25日)に紹介するベストセラー読書室はいまや会計系ビジネス書の新しき古典ともいえる『稲盛和夫の実学 経営と会計』 をお送りします。お楽しみに!


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