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『女子大生会計士の事件簿』 萌さんとカッキーの読書室
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  ◆◆ 目次 1.ベストセラー読書室
  ◆◆     2.最新ビジネス書の読書室
  ◆◆     3.秋の新刊情報
  ◆◆     4.編集後記
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◆◆◆ベストセラー読書室◆◆◆

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 第5回   『稲盛和夫の実学 経営と会計』
         稲盛和夫(著) 日本経済新聞社 1998年10月
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カッキー
「京セラの名誉会長でカリスマ経営者として名高い稲盛会長が書いた会計の本です」

萌さん
「1990年代後半から会計や決算書をテーマにした本が これまでにないくらい売れ出すんだけど、 そのキッカケとなった本よね」

「この頃からですよね。会計の本が専門書コーナーだけでなく、 ビジネス書コーナーにも置かれるようになったのは」

「やっぱり偉い人が『会計が大事だ』って言わないと、 誰も会計なんて注目してくれないテーマなのよねぇ。 “暗い”“地味”“難しい”の三拍子が揃ってるし」

「うわー、誰も近寄りたくない三拍子ですね」

「その点、稲盛会長は会計の重要性をしっかりと語ってくれているのが嬉しいわね」

「本書の内容なのですが、会計のことがわかる経理部長と会計を知らない稲盛会長が日々ケンカをしながら京セラ独自の会計を作っていったというお話です」

「会計の世界では常識だと思われていることでも、 純粋で誠実な経営者である稲盛会長の目から見ると、 常識と思われていた会計処理におかしな点が沢山あったというシーンが多かったわね」

「典型的な話が、実務では伝票だけ先にきってモノは後で届くけど、 逆に、モノはすでに届いているのに伝票は後日きる、 というよくある処理についてですよね。会長は、これはイケナイと言っています」

「モノの動きと会計処理のタイミングがズレるのは、実務上 仕方がなくても、伝票操作や簿外処理の温床になるからね。だから、モノと伝票が必ず一つ一つ対応していなければならない という『1対1対応の原則』を訴えているわね」

「このほか、実際の損益よりも現金(キャッシュフロー)の方が大事だとか、 チェックを徹底することで人に不正をさせない、つまり人に罪を作らせないことが大事だとおっしゃっていますよね」

「やっぱり経営者の本って、会計っていうテーマを取り上げていても 経営全般にわたった話になるから飽きなくて面白いわよね」

「というわけで、この本の評価はいかがですか、萌さん?」

「星3つよ」

「えっ、随分と褒めていたのにですか?」

「うーん。言っていることはごもっともだと思うわよ。 ただ、あくまでも京セラという一企業の会計の話だから、 すべての会社に適用できるというわけでもないし。でも、面白かったから星3つなの。カッキーは?」

「文句なく、星5つです。たしかに一企業の話ですけど、 『原価計算では過去の原価よりも現在の売値が大事』とか 『お金を扱う経理部門こそ清廉潔白に』などどんな会社にでも当てはまることも多いですよ」

「会計だけにとどまらず会計観を論じている本だからいろいろと勉強になるわね。 まあ、会計に関わる人ならぜひ一度は読んでおいた方がいい本じゃないかしら」

『稲盛和夫の実学 経営と会計』
単行本版 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532147050/
文庫版 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532190061/

〔採点〕
カッキー ★★★★★
萌さん  ★★★
   計 ★8つ


◆◆◆最新ビジネス書の読書室◆◆◆

『まず心の声を「キャッチ」せよ! 仕事と人生の主人公になる秘訣』
シンディ・クラザー(著)
英治出版 2004年7月

カッキー
「魚を空中に飛ばすエンタテイメントな魚市場“パイク・プレイス魚市場”のお話です」

萌さん
「イチロー選手がいるシアトルの名所の一つとなっているわよね

「その魚市場で働く人たちが、どんな気持ちで働いているのかを一人一人のインタビューを通して紹介しています」

「アメリカ的な『積極的に頑張ろう』みたいな話が中心よね。 働いている人の心理を分析していく話だから、 ちょっと学術書っていうか論文っぽいわね」

「文章がとても直訳調ですしね。わざと論文っぽく みせるためかもしれないんですけど」

「まあ、具体例も豊富だからいろいろと教えられることもあるわよ。 『働く』ということについて考えたい人には、この『アメリカ人魚屋の教え』を読んだらいいんじゃない」

『まず心の声を「キャッチ」せよ! 仕事と人生の主人公になる秘訣』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901234544/


◆◆◆秋の新刊情報◆◆◆
9月22日発売予定
『<女子大生会計士の事件簿>世界一感動する会計の本です 簿記・経理入門』
(日本実業出版社)

カッキー
「2ヵ月後に発売する僕らの簿記・経理入門書の告知です」

萌さん
「私たちがもちろん登場するんだけど、 実は私とカッキーが出会う前の話なのよねぇ」

「僕が萌さんだとは知らずに、萌さんのセミナーに参加しちゃうんです」

「でもカッキーの頭が超悪いから、私が昔おばあちゃんからもらった 一冊の童話をカッキーに手渡して――― というところから物語がスタートするのよねー」

「<自分>と<他人>、<現在>と<将来>というキーワードを使って簿記・経理を解説していきます。 RPG小説で構成された入門書なので、 どうぞお気軽にご覧ください」


■■■編集後記■■■
最近、読者の方も増えてまいりましたので、 バックナンバーを何らかの形で配信したいと思っております。
詳細はまた次号以降に。
次回(8月5日)に紹介する「ベストセラー読書室」は世界50カ国で出版ということで、 45万部突破のベストセラーとなっている話題の“幸運の物語” 『Good Luck』(ポプラ社) をお送りします。 絶賛か、それとも酷評か、どうぞお楽しみに!


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