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『女子大生会計士の事件簿』 萌さんとカッキーの読書室
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  ◆◆ 目次 1.ベストセラー読書室
  ◆◆     2.最新ビジネス書の読書室
  ◆◆     3.秋の新刊情報
  ◆◆     4.編集後記
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◆◆◆ベストセラー読書室◆◆◆

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 第6回   『Good Luck』
        アレックス・ロビラ、フェルナンド・トリアス・デ・ベス(著)
        (ポプラ社) 2004年6月
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カッキー
「金持ちの老人が貧乏になってしまった幼なじみと54年ぶりに偶然再会します。 そして、金持ちの老人が幼なじみを哀れんで、 『幸運について話をさせてくれ』とこれ見よがしに“幸運の物語”を話すところから話が始まります」

萌さん
「あんたねー、本の紹介にも毒が入っているわよ。 何か気に入らない点でもあるわけ?」

「だって、本は120ページと薄いし、文字も大きいんで30分くらいで読めちゃうんですよ。 それに、内容がほとんど無い」

「たしかに、“幸運の物語”という童話を通じて言っていることは『石の上にも三年』とか『ももくり三年、かき八年』ということだけだもんね」

「こんなのだったら僕でも書けますよ!」

「ふーん。じゃあ、書いてみればいいじゃない。 でもね、こういう単純なことをシンプルに伝えることほど、 難しいことはないのよ」

「そ、そういうものですか?」

「ノウハウが無いとできないわよ。 それに本の価値って情報量の大きさで決まるものなの、カッキー?」

「いや、そういうわけでは‥‥」

「本って“役に立つ”“役に立たない”という判断基準もあるけど、 “面白い”“面白くない”という判断基準もあるでしょう。そういう意味では、この本はあんまり役には立たないかもしれないけど、 面白い本ではあったわ。それで十分じゃない」

「萌さんは、高評価なんですね」

「そうよ。個人的に短くてわかりやすい本が好き、っていうのもあるけど、 物語がちゃんと起承転結で作られているのも良かったわね。ビジネス書の物語って、物語の基礎である起承転結すら できていないものがいっぱいあるからねー」

「たしかに、そうですね。それでは、採点の方なんですが」

「カッキーから言ってよ。どうせ厳しい採点なんでしょ」

「そうですね。星3つです」

「まあ、カッキーにしたら厳しい方かしら」

「最初は星2つにしようかとも思っていたのですが、 萌さんに言われたら、なんだか『短時間で頑張ろうという気持ちにさせる本』かな、と思えてきたので、星を増やしちゃいました。萌さんは?」

「星3つよ。私にしては、良い方でしょう」

「ええ、たしかに」

「やっぱり、カバー装丁から文字の色に至るまで、 よく作り込まれているのよねぇ。 本も一つの芸術作品なんだということが、よくわかるわね。いい仕事してるんじゃない」

『Good Luck』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4591081451/
〔採点〕
カッキー ★★★
萌さん  ★★★
   計 ★6つ


◆◆◆最新ビジネス書の読書室◆◆◆

『東大生が書いた やさしい株の教科書』
東京大学株式投資クラブAgents(著)
インデックス・コミュニケーションズ 2004年6月

カッキー
「タイトル名どおり、東大の株式投資サークルの人たちが書いた株の本です。感想はどうですか、萌さん?」

萌さん
「複数の登場人物たちによる対話形式なんだけど、 この手の本にしてはしっかりとしたキャラ設定をしてるわよねー」

「いったい、どこを褒めているんですか‥‥」

「えっ、大事なことよ。対話形式の本ってけっこうあるけど、 キャラ設定がちゃんとできてないと、 読んでても本当につまんないんだから!」

「たしかに、この本に出てくるキャラたちは、 どれも個性的で面白いですよね。小ネタも多いですし」

「内容も市場のルールから財務指標、チャートの見方まで多岐に渡っていて、とても充実してるわね。 残念なのは“それほどやさしくはない”ってところぐらいかしら」

「でも、とても勉強になる本ですよね」

『東大生が書いた やさしい株の教科書』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757302339/


◆◆◆秋の新刊情報◆◆◆

10月1日発売予定  『女子大生会計士の事件簿4』(英治出版)

カッキー
「ついにこのシリーズも4巻目ですね、萌さん!」

萌さん
「今回もこれまで通り5編の短編小説に、私たちの雑談を載せた 『女子大生会計士の事件後』、そして特別付録よねー」

「今回の特別付録は、仕訳にスポットを当てた 『部屋とワイシャツと仕訳』です」

「さらに、私が大活躍するスペシャルコーナーもあるのよ! その名も『FP・証券アナリスト・中小企業診断士へ萌さん直撃インタビュー』」

「萌さんが本音トークでインタビューをしたんで、 先方の評判が良くなかったやつですよね」

「えっ、本当にそうなの!?」

「ええ、まあ‥‥というわけで、“何か資格を取りたいなぁ”という方には役に立つ情報だと思いますので、こちらのコーナーもお楽しみに」


■■■編集後記■■■

もうこのメルマガも発行してから3ヶ月が経ちましたので、 新しい読者の方も多いと思われます。 そのため、初期の頃のコンテンツを何らかの形で公開しようかなと画策しております。
決まり次第、こちらでご報告いたします。
さて、次回(8月20日)に紹介するベストセラー読書室は9年前に大事件となった銀行倒産が舞台のドキュメンタリー『私がベアリングス銀行をつぶした』(新潮社)です。
この時代だからこそ読んでおきたい面白い内容でしたので、 ここでご紹介いたしたいと思います。 お楽しみに!


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