以上が「駒知識百か条」です。駒を選ぶときの参考にしてください。駒には将棋を指す側面のほかに、芸術的な美しさもある。ことに虎斑の盛り上げ駒など何十万円もするような高額なものは、使えば傷がつくので、鑑賞用に飾っておくだけのマニアも多い。ただしそれだけは、なんとなく駒がかわいそうな気がする。
取材などをはじめ、現在まで今は亡きかつての名工たちの駒に、数多く出合ってきた。また、プロのタイトル戦などの対局場で、実際に使われた駒を拝見したところ、たしかに傷はついてしまうが、その傷さえも美しく感じられた。そんな経験を踏まえて、プロに限らず多くの人々に指され勝負にまみえた駒は、さらに歳月を経るとえもいわれぬ魅力が生じてくる。
ここに名駒(いい駒)の謎が隠されているのではないか。 「使われてこそ名駒」この言葉を肝に銘じて、これからも駒を作りたい。
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