2005 佐藤SAVEレポート

第45回SAVE大会: カリフォルニア州  San Diego   

            『SAVE大会へ参加してきました』

1.概要報告

1)全体

 第45回SAVE大会はカリフォルニア州のSan Diegoで6月26日から29日まで開催されました。佐藤は1989年から17年連続の参加となりました。

 San Diegoはカリフォルニア州の南部にあるリゾート地、毎日午前中は曇りがちの天候も昼前には有名な“カルフォルニアの青い空”に変わり快適な気分を満喫してきました。

 大会は、年々参加者が減少傾向で、今年は名簿上276名の参加。アメリカ213名の他、韓国18名、日本12名、クウェート、サウジアラビア、台湾が各5名、カナダが4名、ハンガリーと並んで中国から3名参加。イギリス2名の他はオーストラリア、オランダ、インド、バングラデッシュ、ドイツ、アラブ首長国連邦が各1名。特筆は、中国からの参加、ここ近年中国からの参加者がいるが確実にレギュラー化してきている点、これは明らかに工業化が進んでいる現われであろう。それと韓国が日本を上回る人数を送り込んでいる点、これは確実に景気回復を示していることと思う。

 全体セッションの基調講演では、とても中国を意識している。中国、インド、ブラジルの国名を挙げて、「中国価格は最大の敵」と言い切っていたことが印象的。やはり経済的な意識はBRICsにあるのだろう。街中で売っている身に着けるものはすべてが中国製。さすがにLuis Vuittonだけは別であったが…。

 それから閉会式、「来年の要望を好きに言え」と司会者が切り出したら25件もの提案があった。主宰者は今年の言い訳などしない。どうしたらそれが実現できるか、否定から入らず、広い心で議論、いかにもVEらしく前向きにみんな取り組んでいた。すばらしい姿勢、そして日本で見られるそこかしこで行われる私語。これもなくみんな意見をしっかり聞く。大事なことだ。彼らのコミュニケーションは聴くことから始まっているような気がした。年々変わり行くSAVE Conference、判る気がする。


         写真:06.27開会式      

2)論文発表

 発表論文はプログラム上46件、内、日本の論文は6件。今年はひところのQFDブーム、6σ、TRIZなどがそこかしこで論じられた頃に比べると、技術的には大きな変化、特徴を感じない、どちらかと言うと平凡な内容と言えるであろう。その中にあってFASTは例年通りしっかり発表の中に含まれていて、アメリカのVEの基本にFASTありと示されている気がした。いくつかの発表にFMEAが登場していたこと。田口メソッド、QFD、6σよくこの大会で論じられたがFMEA…明らかにこの10年アメリカが品質に気を使っている表れではなかろうか。

 憂いることは、日本人のセッションに人が集まらないことだ。別のセッションはほぼ満員に近い人を集めていたが、我らがセッションは閑散、それも日本人が応援に入ってでもある。これは論文の内容がと言うより(ここ数年言い続けているが)日本が海外の国から注目されなくなった現われで、1990年代半ばまでは日本のセッションは超満員。私も何度か発表をした経験があるが、配布資料が足りず、立ち見が出たことさえあった。今、日本が海外に誇る技術は何があるだろうか、VEそのものが企業内で忘れられているのが実態であり、更に景気や技術力、商品競争力が海外と均質になってしまった、というより追いつかれてしまった、引き離していない結果であろう。日本から学ぶものがなくなってしまったのだ。

        写真:日本の発表風景           

         
写真:アメリカ人の発表   

   3)発表の仕方に一言

 佐藤も生意気を言えるほどのプレゼンテーターではないが、来年参加される人、もしくは海外で発表される方に参考になろうから上記に絡んで一言。

まず、発表形式はすべてがプロジェクターに変わった。過去にメモリースティックを持っていったが写らなかったことがある。PCが英語バージョンだから。従ってこれはPC持参をお奨めしたい。

 資料はCDで配布されるので、必ずしも見てきているとは限らない。当日宣伝を兼ねてプレゼンの資料を配布するのも方法だ。

 会社紹介は止めたほうが良い。25分しかない持ち時間中、会社紹介に時間を割くのはいかがなものか。これも会場で配布したらどうか。

 プレゼン資料は、絶対、絶対大きい文字にしてほしい。今回も前から4列目で読めない資料、これは最悪だ。最後の閉会セッションで、部屋が立て長過ぎる、文字が見えないと苦情が出たほど。要注意だ。少なくも15m先で読めること。

 英語の発表はやはり評判が良い.ある人の発表ではJim Rainsから「英語で話してくれてありがとう」と感謝の言葉があった。読んでも良い、発音など気にしなくて良い。どうせなまった英語の集団なのだから。



2.田中先生フェローに

 マイルズ賞審査委員長などVE協会でもご活躍の諏訪東京理科大学の田中雅康教授がSAVEのフェローアワードを受賞、終身フェローに認定されました。日本人では一昨年の中神先生に次いで5人目のフェローとなられました。Congratulation!

写真:0628新フェローを迎えるフェロー(右から5人目が佐藤)


写真:0628Gingerと新フェロー(左から2人目が田中先生)     




3.佐藤のテアダウンセミナー大成功!

 SAVEでは大会に先立って多くのセミナーを開催している。(日本で言う)入門セミナーや、ワークショップセミナー、FAST(米国版機能系統図)の実践セミナーなどが行われている。実はこのセミナー、如何にもアメリカらしく、世界のValue Engineerが自分のセミナーを売り込む。セミナーの内容によっては次の仕事に繋がるからだ。

 佐藤は米国で出版した「VA−Tear Down」の共著者Jerry Kaufman氏とペアーを組んでこのセミナーに挑戦しました。これは日本人では初の挑戦だそうで、まずまずの参加者。(佐藤は人数は不満であったが、Jerry曰く、「上々の入り」だそうで)先月号で紹介したように持ち出しになって皿洗いでもするのかと思いきや、しっかり黒字で帰国することができました。来年もやってくれとは主催者の要望、さてどうするか。まずはめでたしめでたし。

写真:06.25.TD-06   

写真:06.25.TD-12    

写真:06.25.TD-15   

写真:06.25.TD-20   
「Aチームメンバーと」



4.来年は

 第46回大会はGeorgia州のSavannah(サバンナ)という南北戦争の南軍の中心地になった現在はとても美しいリゾート地で6月4日(日)〜7日(水)まで開催されます。論文(アブストラクト)の締め切りは9月とのこと。参加しませんか。

 佐藤はまたテアダウンのセミナーをすることになるのでしょう。となると6月1日には現地に入ることになるでしょう。