VEニュース(情報)


VEニュース(06年06月)


なんたってトピック−1は、News!  News!  News! 


Paper of the Year』受賞


 

今年のSAVE International Conference(米国VE国際大会:下記に詳報)はアメリカはGeorgia州Savannahで開催された。そこで佐藤は昨年からこの1年間に発表・発売された論文や著書の最優秀者に贈られる表記の賞を受賞した。これは勿論(自分で言うのもなんですが)日本人で初めての快挙であります。「またまた日本人初」の勲章が出来ました。

受賞理由は、Jerry Kaufman 氏との共同執筆書「VA Tear Down 」に関してで、(自分で言うのもなんですが)長く信念を持って創り上げたTear Down技術(Jerryとの共著中この部分は全く佐藤オリジナル)が晴れて認められたことになる。

事前に情報が流れておらず、表彰晩餐会直前にJerryが中大路さん(通訳)に耳打ちをして「正装しろ」と・・・ちんぷんかんぷんのまま出席し、会場ではじめて知った。

(自分で言うのもなんですが)本当に快挙です。私の名誉でもあり、いすゞで熟成した技術であることからいすゞの名誉でもあり、この技術を一緒に創り上げてきたいすゞ時代の同僚の渡辺CVS、尾崎CVS、足立CVS、百海VELたち、そして支援していただいた多くの上司、共有の名誉だと誇りを持って、声高らかに申し上げたい。

「皆さんありがとうございました」

      

審査委員長のRoyWoodheadさんから盾を贈られる。左はJerry Kaufman氏

        表彰盾




トピック−2はSAVE大会詳報」

1.今年の大会は、

1)Savannah

 上記の通り、Georgia州にあるSavannahという、大西洋に面した(地図上:実は河口から50Kmも昇った港町)旧い南部の街である。1700年代に “スクエアー”といういくつもの広場を中心に、街を京都のような桝目にした美しい町で、南北戦争時代に、北軍が南部に進攻するたびに街を焼き払ってきたが、この街のあまりの美しさに“この街を将軍に贈ろう”と焼き払うことをしなかった、数少ない南北戦争の災禍から免れた街で、佐藤も旧市街地ツアーバスで一巡したあと、自分の足で同じコースをたどって歩いてみたほど美しい街だった。

 マーガレットミッチェルの小説「風と共に去りぬ」に出てくる綿花の出荷を中心とした港町で、Liver Sideのレストラン街は昔の倉庫を改造したもの。綿花の取引所のあともレストランやお土産屋になっており、時折、港に登って行く超大型のコンテナ船が異様な雰囲気をかもし出す。いまや港町と言うより完全なリゾート地。

       

 さて、そのリバーサイドの最も下流に面した『マリオットホテル』が会場。川面に突き出したホテルのテラスから頬杖をしてみていたら、何と鰐が悠々と泳いでいた。(「泳ぐな」と注意書きがあった・・・人間に向けてだよ)


2)大会概要

 大会は、例年のパターンで会長の開会宣言、各国からの参加者(ちなみに名簿上は、アメリカを含めた16の国と地域、人数は245人、事務局のカレンは275人と言っていた・・・事前セミナーなども入れてだろう)の紹介後、各国代表の挨拶は日本だけで、次期会長の小野茂夫氏が紹介され、ご挨拶をされた。

 率直に言って、参加者の減少傾向は歯止めが掛からず、日本や韓国で30名を越え、台湾、中国を含めるとオリエンタルが一大勢力になっている。年齢的な分布もオリエンタルを除くとずっと高齢化していて、初参加の18年前の熱気がしのばれる。

 何故だろう、VEの普及が一通り行き渡り、関連する技術(例えばQFDや、DFMA、TRIZ、6σ・・・)がそれぞれ別に研究されて、学会や研究会が興されているからだろうか。ひと頃の6σ、その前のTRIZ、 DFMA、そしてそれ以前のVMなど、一斉を風靡した「目玉技術」が影を潜め、Savannahへ行かずとも学ぶことが出来るからだろうか。



挨拶するTerryHays会長、開会式に出席した小野次期日本VE協会会長(着席右端)

  
       




3)基調講演から

 開会後の基調講演で、Larry Johnson(このような分野の著名な方と伺っている)は変化をさせねばならない。変わらねばならない。今のままでは駄目だとくどく何度も語った。私のコンサルでも全く今のままでは今の延長と言っていて、VEの「変更の原則」そのものを感じた。

特に、既にIBMの終身雇用は崩壊したし、何でもSEARSに行けば用が足りたのにそれも廃れた。変化に耐え、自ずから変化しなければ存続しない。プロセスは変化が見える前から始まっている・・・共感を受けた講演だった。

また3日目のIR社のChip Johnson(事業部のCEO)が、VE関連技術をすらすらと語り、良くコストマネージメントを理解されており、それらを駆使して毎年売り上げの5%が新製品で占められているといったのは印象的。スライドなどから本当に新基軸の商品開発をしている感じがした。そして事業部長が良く知っていることにも驚いた、Don Gerhardt が助けに入っていたがその必要は全くなさそうだった。やはりリーダーは実践者でなければならない、単なる旗振りでは駄目だと言うことだ。


4)VA/VE

 今回やけにVA/VEなる言葉が使われた。我々の解釈ではそもそも呼称を変えたに過ぎないものとの見解が主流で、一部VAは現行システムに、VEは開発に適用する(これは誤り)と使われたりしてきたが、今回の発表にはどうもVA/VEなる言葉が耳に響いた。佐藤がJerryと本を書いている際にタイトルに “VA”なる言葉がつき、彼と何故VEではないのか議論した。彼はVAにこだわりを持っていた。Larry Milesが考えた根本的なものだといった。どうもその背景があるのかもしれない。ちなみのJerry が整理してくれたものを紹介すると、

1.マイルズはもともとVAで始めたのを、米国海軍がVEに変えた。

2.VAは、<競争力利点を探し出すために顧客が感じたままに商品価値を分析する>というマーケティング用語でもある。この本のテーマもそれではないか?

3.この本では<価値自体の技術化(valueを engineerすること)>を説くわけではない。それは製品開発者や製造技術者の仕事である。

4.略

5.Value Analysisの語は世界的用語になっている。しかし、Value Engineering については、欧州諸国などまだ釈然とせず論議の的である。



5)日本の発表

 日本からの発表は4件、内容はいずれもしっかりとしたものだったが、特段の新規性が無く、参加者はまばら。むしろVEに関する概念を述べる米国人達の会場が盛況だったのは皮肉。

 発表は英語であったり、日本語であったりしたが堂々としており、主として事例と実態報告、アメリカ人達はぴったり適用できる事例がないと興味をそそらないのか、日本人が応援聴講しなかったら発表会場はどうなっただろうか、日本の技術が注目されていた頃の発表は会場は満杯、立ち見と配賦資料の請求が山ほどあり、随分慌てた記憶がある。(ちなみに韓国や中国人が日本人会場にいたのを見なかったが・・・もう興味など無いのか)

 発表も(私が発表していた時代に比べると格段)上手くなったが、アニメーションの使いすぎ、文字のサイズ、彼らの興味の持ち方などの研究が必要だ。配賦資料を準備しておくと良いだろう。いつ発表するぞと書いておけば来てくれるのではないか。


6)事前セミナー:今年もSAVEでセミナー実施:これは盛況だった

昨年(13人)を上回る17人の参加で盛り上がった。17人とは一見少なく見えようが、他のセミナーが6人、6人、9人・・・と聞けば(自分で言うのもなんですが…何度も出ます)これはすごいといっていただけるのだろう。

 昨年同様、著書(日・英語・中国語バージョン)のいずれにも出てくるオーブントースターを題材に、コストテアダウンを中心にした比較分析と、アイデア発掘、プレゼンテーションを行った。昨年実施したところ、今年4月始めの某社での集中指導になったように、随分古い技術でありながら、彼らが実行してこなかった範囲を広く持っていることが共感を受けたのか、(自分で言うのもなんですが)共感を受けたと言われた。さて本音かな???

著書も順調に売れているし(会場では初日に売り切れ)ひょっとしてテアダウンブームでも巻き起こるかな?

    

 TDセミナーの実施状況。



7)その他

@ 建設公共工事でのVE適用

 地域で格差はあるようだが北米(カナダ含む)では多くの公共団体でVEを義務付ける法律が施行されており(私が参加し始めた1989年頃から既に)2500万$以上の工事は義務付けとか・・・実際に実施されている。現にアメリカのCVS達の多くは道路や施設、風力発電所など大口の案件に群がり、取れると(名前は伏せるが)「やった!」となり、取れないとしょぼくれている仲間がいる。その点製造業関連のCVSは政府や公共団体の保護が無いからJerryのように売れないと必死。

A製造業の発表

 6σ(IR社)を使っているとか、DFMA(IR、TRW社)使っている、VEの導入セミナーから実践にいたるまでコンサルタントに指導を受けているとか発表があった。低調機運の中にあってしっかり行っている企業はしっかり成果を出しているのであろう。今回日本の調査団が訪問するIR社は佐藤のコンサルティングでもライバルの会社、地道にやるところは強い。このホームページをお読みの企業の皆さん、基本は基本ですよ。

 でもマーケティング技術は上手く回っていないようだった。日本の顧客満足度に触れる「使用者優先の原則」部分、BRICsやアメリカには無い部分であり、如何に“生活研究”などから機能開発をするかが勝ち残りの条件になるのかもしれない。少なくも生活研究の匂いはまったくしなかった。

Bその他


 佐藤は31日に出発したため、日本の調査団に全コース同行できなかった。大会後、アトランタでの2社の企業訪問などは協会の報告(後日掲載される)を参照されたい。

ところで、最後の本体とのお別れ会の夜、「佐藤バー」(昔から佐藤の部屋が飲み部屋で、ずっとそう言われてきた・・ここ数年低調だったが)に“するめ”を置いていった人は誰か。最後の夜は本体を見送った後、一人で帰りの仕度。美味いするめを食いすぎて帰りの機中はお腹と戦っておりました。食ったやつが悪いんです。

来年は5月連休の最後。5月6日(日)から9日(水)まで、Texas州Houston で開かれます。カレンダーにご記入ください。一緒に参りましょう。



トピック−3新潟地区コストマネージメント実践セミナー」で講演

 アメリカへの出発直前(佐藤は事前セミナーで31日に出発)の5月26日(金)日本VE協会東日本支部主宰で、表記のセミナーが新潟県燕三条駅前の県央地場産センター(メッセピア)で開催された。当初の50名の定員を大幅に超え、収容できないためにお断りした(渋谷さん)そうでそれでも大型バス2台、3件の発表・講演とマイルズ賞企業「北越工業」の見学会が行われた。

北越工業のマイルズ賞受賞記念講演「全社VE活動による再生への道」、は自信を持って企業再生にVEが生きたことを演され、地元の元気な建築会社本間組の発表では前者市雄ガンのVE取り組みが紹介され、講演の締めくくりは佐藤が「VEで『原価力』と『現場力』を強化しよう!」と現場・現物と実際原価の重要性を講演。(自分で言うのもなんですが)新たに入手した面白い写真などで興味をそそったつもりだが、さて効果は・・・?



トピック−4お知らせ「VE Tear Down 小道具の斡旋」(継続掲示)

 多くの方々から、「VEの機能カードは無いか」「Tear Down展示用の荷札は無いか」とお問い合わせいただいており、このたび準備し小分け販売することになりました。

機能カードは裏に接着剤が付いていて、綺麗に貼り付けることが出来ます。剥がしも可能です。

荷札は、5色あり、機種名、部品名、部品番号、コスト、重量、材質、その他の情報が記入できるように印刷されています。勿論取り付け用の針金付です。(写真参照)

機能カードは200枚単位で販売(2000円、送料当社負担)

Tear Down Tagは5色100枚単位で販売(5000円、同)です。ご要望は、弊社アドレス vpm-office@dol.hi-ho.ne.jp もしくは、電話042−753−8658までご一報ください。







Mark your Calendar::本年のVE関連日程

(順次メンテナンスしてゆきます)

  * SAVE大会:6月4日(日)〜7日(水)・・・於:ジョージア州サバンナ

  * VE全国大会:11月7日(水)・8日(木)・・・於:東京「アルカディア市谷」

   CVS試験:10月21日(土) ・・(申請期間9月1日〜29日)

   VES試験:11月18日(土) ・・(申請期間10月2日〜31日)

   VEL試験(前期):8月26日(土)・・(申請期間6月7日〜7月7日)

   VEL試験(後期):2007年1月20日(土)・・(申請期間11月1日〜11月30日)







◆ SAVE大会の案内や、行事案内。
◆ データや出来事、トピック。
◆ VE協会の案内など
随時掲載して行きますので、お楽しみに!!