VEニュース(情報)



VEニュース(’08年12月)



 今年も早いものでもう師走になってしまいました。こうやってどんどん年を取って行ってしまうのかと思うと、先々の不安が消えさりません。皆様はいかがでしょうか。

そして、今年も皆様のご支援をいただいて無事1年を過ごすことができました。心から感謝申し上げます。そして毎回このニュースやエッセイをお読みいただき重ね々々感謝を申し上げます。今月はあまり大きなニュースがなく、先月のリピートが大半を占めますが、ひとまずお読みいただければ幸いです。


Ⅰ.CVS/VESの試験実施

 (社)日本VE協会が認定する資格に、VEL、VES、CVSがあることはご存じかと思います。VELはほぼ常時試験が開催されていますが、標記の2種類は年に1回の開催です。10月20日にCVSの試験が開催され、VESが11月15日に実施されました。今年のVESについては、わがVPMはただならぬ思い入れがありました。と申しますのはすでにご存じのようにWSS(ワークショップセミナー)の認定資格を取得して卒業生を今年は45名輩出し、その中から何と22名が挑戦したからです。佐藤は受験経験がありませんので(VEL、VES制度ができる前にCVSに合格していた=1987年)応援できることはこんな問題が出るのではと推定しては模擬問題を作り、受験日直前の追い込みの参考にしていただきました。何とその中の出題確率が高かったこと・・・本当に偶然とはいえ、少しは応援できたかなと夢を託しています。発表は12月17日です


Ⅱ.速報:VE全国大会開かれる!!

 第41回VE全国大会が10月30日・31日の2日間、東京・市ヶ谷の「アルカディア市ヶ谷」で開催された。

今回のテーマは「SHINKAの瞬間(とき)SHINKIA=進化・深化・真価を意味するテーマで、参加者は延べ(2日間)1100人(申込ベース)を集めて開かれた。

 開会のあいさつで小野会長は、「景気後退の中で、VEによる対応で力を発揮してほしい、多くの参加者のコミュニケーションで、この危機を乗り切ってほしい。そしてVEの原点であるものから離れて機能で考えて・・」と開会あいさつで話をされた。

  


     開会のあいさつをされる小野会長

 以下、速報を皆様にお伝えします。尚、公式な報告はいずれ機関誌「Value Engineering」にて詳報されます。まずは佐藤の報告で速報を・・。


1.顕彰・表彰

1)名誉会員にJerry J. Kaufman 氏が選ばれる

 我が親友Jerry J. Kaufman 氏が、協会創史以来、日本のVE協会に長きにわたり多大な指導・支援を送り、このたび、日本のVE協会としては初めての名誉会員の称号を贈り、感謝の意とともに表彰を受けた。

              同行された奥さまのHarriettさんも大喜びでした。

              Kaufmanさんおめでとう。



  表彰を受けるKaufmanさん。


2)研究開発功績賞に大西さん

              親しくお付き合いさせていただいている関西の雄、大西正規さんが、研究開発功績賞を受けられた。

               大西さんは、WAVE法の開発者で、関西支部のメンバーと30年以上もこの手法の研究開発と普及に尽力を尽くされ、このたび晴れある受賞となりました。

               その昔、佐藤は大西さんからVEの手ほどきを受け(彼は佐藤からTear Downの手ほどきを受けたと言ってくださっている)その後もWSSなどいろいろな面で深く交流している大の尊敬者であります。

               普及功労賞とW受賞は2人目(実は一人目は佐藤でした)


                                    受賞する大西さん。

3)普及功労賞

本年度の普及功労賞は以下の方々が受賞されました。

女屋 登氏(㈱ミツバ)           野口 昭夫氏(日新電機㈱)

 黄 逸鴻氏(KOU VALUE PROFFESIONAL OFFICE) 濱口 工氏(㈱デンソー)

  酒井 均(クリナップ㈱)                廣瀬 俊郎氏(㈱ブラザーエンタープライズ)

 関谷 則夫氏(㈱日立製作所)         宮崎 博美氏(東芝総合人材開発㈱)

 高橋 康洋氏(シャープ㈱)          山本 康友氏(東京都財務局


4)マイルズ賞

 今年は、企業2社と、特別表彰が1県に贈られた。企業表彰は、両社の報告を伺うと、いずれもきっちりとVEを実行し、まさに金太郎飴のような活動を展開されたと実感させられた。

受賞会社は *アイシン開発株式会社

      *シャープ株式会社情報システム事業本部

特別賞は  *群馬県

アイシン開発㈱社長の鈴木泰寛さんは、佐藤のいすゞ時代からお付き合いさせていただいた方で、当時本社のアイシン㈱の常務時代に原価企画部を創られ、アイシンの中にVEを芽生えさせた方でその指導力を社長に転じたアイシン開発で発揮されました。

シャープはもう語る必要のない老舗のVE実践企業で、「オンリーワンの追及」に原価企画や原価管理のテクニックをいかんなく発揮されて、個別製品の収益向上を図られた功績に贈られました。

おめでとうございます。


2.講演・発表

以下、佐藤が聴講した講演発表の感想をキーワード的に速報しましょう。

1)講演「トヨタ式 人づくり、モノつくり」:カルマン㈱代表取締役 若松義人氏

商品価値はますます上昇してユーザーは価値の高いものを選ぶ。特にサービスアビリティは高く要求され、サービス性に欠けるものは淘汰される。そして納期、欲しいものがいつでも手に入るならユーザーは飛びついてくる。納期が長いものからは離れていく。品質/安全はもう論じる必要のない当たり前の管理項目だ

毎日が改善、「昨日はもう古い」そして全員参加だ。幹部から参加だ。

部分最適→全体最適の考え方。

後工程はお客様。

晴天候型仕組み=造ってナンボの計算⇒全天候型仕組みでは売ってナンボの仕組み

ロット生産から流れ生産・・・ここには多工程持ち・多能工の考え方=人材育成、リードタイム短縮の考え方、工程のムダ排除、自己完結型品質保証(工程内品質保証=品質作り込み。

標準作業:手順と時間軸がセットになった標準・基準を作れ。マニュアルではだめだ。具体的な管理方法は「標準作業票管理」「標準作業組み合わせ票管理」これ(内容)を日々改善。標準の無いところに改善はない。

人間尊重:人として生きる時間の有効活用、考える力の尊重=知識を知恵に、三現主義=現地・現物・現実的に現金化する

山積み表から、まず改善、次に山崩し(高さを低く)、そして壁崩し(工程間の壁を崩す)、そして全体のバランスをとれば確実に省人かができる。

管理:仕事ができない人が管理者になるからおかしくなる。「何年たったから(もう管理者に)良い」話ではない。生産部門マルチ人間、購買部門マルチ人間、営業部門マルチ人間を創れ。評論家はいらない、行動する人が必要だ。

P・D・C・AP・D・C・T(Think)・A・F(Follow)・S(Standard)・V(Value)

キーワード:お客様第一主義、標準/基準、朝鮮、改善、現地・現物、人間性尊重、チィームワーク、流れ化、誠実と謙虚


2)地雷除去に挑む ~豊かで平和な大地の復興~

                    山梨日立建機㈱ 代表取締役 雨宮 清氏

日立建機の名前が付いているが、どうやら雨宮氏が独立して建機の会社を創られ、その会社が現在日立建機系の会社に発展したようだ。

会社を興し商用で出張したカンボジアで、内戦の結果、あまりにも多い地雷に多くの人民が被害をこうむり、親をなくし、手足を失い、悲しみにくれるカンボジアの人たちを見て、重機による地雷除去と緑豊かな大地を取り戻そうと、約10年間機械の開発とともに世界各地の被害地との交流を語られた感動のお話し。

どのように機械を開発したかの話はごく一部。むしろ人道と(工業に携わる)我々にできるモノづくりの接点、そして復興の喜びを共に味合う・・・VEの発展版。

しかし本当に悲惨な状況に体が震えました。年齢的に近い雨宮氏の行動に、ただひたすら恥ずかしく思った佐藤でした。

キーワードは、

・技術者は、モノつくりの挑戦者。モノつくり/人つくり

・平和構築の中にビジネスが生まれる

・人を思いやる心


3)Value Integration フォーラム

   

プレゼンするJerry Koufman氏                                                              Jim Rains氏

 海外からの参加者によるフォーラム。参加者は、わが親友Jerry Kaufman Jim Rains(いずれも米国)、韓国(Hyochin Kim=三星電子)インド、台湾(Po-I Chang)(Liu Shu Fen)

 Jerryは不変のジョブステップに、テクニックを組み合わせよと強調、Jimは日本で生まれた(佐藤の)Tear Downと、DFAのコラボレーションについて語った。いずれも日本の製造業には示唆に富んだ指摘であった。インドの方や韓国・台湾のプレゼンテーターの主張に誤りはないが、いま一つインパクトに欠けていた。フォーラムとしてはもっとプレゼンを短くして、議論が吹きあがる企画になれば良いと感じた次第。

 質問「どのような技術をどんなタイミングに活用するか」(IHIの松澤さん)にパネリストが答えていたが、佐藤が発言、信条を披露「ここでは何と決めるものではない。技術は適材適技、必要に応じて使い分ける。使えるものを使っていくものだ」・・中神先生から褒められました。


4) 「新世代電気自動車「i MiEV」の開発

                       三菱自動車㈱ 橋本 徹氏

まず、約10年、品質問題に端を発して企業分割や世間からの非難などに苦しんできた三菱自動車の復活ののろしになるのか、素晴らしい開発におめでとうと申し上げたい。先人の不祥事やマネージメントの欠落を後輩たちが必死に挽回する姿に感動を受けました。

内容は、とても素晴らしいと感じました。商品開発に必要なプロセスをきっちり踏んで来たこと、特に、ユーザーの生活行動パターンの把握、商品の構造的・機能的な対応、電力会社やインフラとのコラボレーション、バッテリーメーカーとの共同開発(共同事業)など車の品質のみならず、関連する周囲、そして地球環境と今後の自動車が責務とする、COや温暖化の課題に真正面に取り組んでの報告でありました。素晴らしかった。しいて言うと、その中で問題として感じた点は2点。

一つは、コストへの挑戦が触れられなかったこと。神奈川県や行政の助成金についての説明はあったが、コストにどのように挑戦し、どのように解決に取り組んだかを知りたかった。

もう1点は、走行距離の短さの問題を充電機能でカバーする戦略が訴えられたが、ユーザーはもう少し長く走りたいのではないのかな・・それをどうするのかナ・・と感じた次第。いずれも否定的な論評とはとらえないでほしい。賞賛する話題であることには違いがありません。


5)講演:「99.9%は仮説 」~思い込みで判断しない考え方~

                サイエンスライター・理学博士 竹内 薫氏

思い込みを解消するための思考改革に数学のストーリーを持ち込まれたが、おっしゃっている(答え)ことはなるほどと思うのではありますが・・・。高度な頭の体操に挑戦しましたが、凡人の佐藤には???の連続でした。

たまには、こんな勉強も結構ですね。


6)特別講演:「会社を動かす力とは」

              元花王株式会社 代表取締役社長・会長 常盤 文克氏


花王を有良企業に育てられた氏が、経験された数々の体験・教訓と現在取り組んでおられる「日本モノつくり学会」を通して感じられたことをお話しされた。キーワード的の報告しよう。

大恐慌の時代になったが悲観しないことだ。元気な会社もある。元気になるにはどうするか、そして値下げ競争で成長した企業はない。競争に勝つには以下の点に留意することだ。



    講演する常盤氏

 ポイントは、

・新しい技術を創り

・新しい製品・ビジネスモデルを創り

・新しい品質やクライテリアを創り上げること

モノつくり:

*モノ作りは多面体。入口は研究開発、出口は商品、それも売らなければ商品にはなっていない=売りぬかなければ何の役にも立たない。この入口と出口の間に面がいくつもあり、その面を効率的に回すことが経営だ。

*モノは技術だけではできない。技術とはモノを具現化させたもの。=モノつくりとは

技術を形で示すことである。

*良いものを作る会社が良い会社で、良い人がいるから良い会社ではない。優秀な人が集団に溶け込んで、初めて集団が生きる。集団の力が大切だ。

*○○では、△△では・・(言い訳)・・の「出羽の神」ではダメ。

*風土・文化が違う。自分たちの風土・文化に会う技術(仕組み)を取り入れること。

*良いから売れるとは限らない。日本製品が劣勢になっているのは売り方が問題だ。ど

う売りぬくか考えなければならない。


7)総括

良い大会だった。これが一言でくくる印象。

講演はいずれも素晴らしい内容だったし、海外の人の参加も広がりつつあったし、何よりも参加者が多く集まったことは、関係者の努力や企画が良かったことに起因する。松田実行委員長以下関係者に敬意を表したい。そして何もお手伝いしなかったことにお詫びしたい。

細かいことを言えばキリがないが、出来たらもっと議論のできる場、双方向の交流の場がもっとあるとよい。発表者とのフリートーキングの場所を取ったり・・。


Ⅲ.Mark your Calendar::本年のVE関連日程(継続掲示)

   基礎講座は http://www.sjve.org/107_seminars/index.shtml

札幌・仙台地区:12月11日(木)~12日(金)

東京地区:11月27日(木)~28日(金)

12月18日(木)~19日(金)

     1月15日(木)~16日(金)

2月6日(金)~7日(土)

名古屋地区:後期はもうありません

大阪地区:11月17日(月)~18日(火)

12月4日(木)~5日(金)

1月22日(木)~23日(金)

西日本地区:11月20日(木)~21日(金)

  2009SAVE International Conference:2009年6月29日-7月3日:Detroit

  中部VE大会:11月28日:吹上ホール

  西日本セミナー:2月10日(福岡・博多)・・佐藤が講演します。

   VE関西大会:2月20日:大阪国際交流センター

 WAVE法セミナー:12月1日、講師:大西政正規氏、会場:日本VE協会




お知らせ-1「WSSのお勧め」

 VPMでは、WSS(Work Shop Seminar)の開催認定を(社)日本VE協会、並びにアメリカVE協会(SAVE International)から受けたもので、VESを受験するため(48時間コース)、CVSを受験するため(72時間コース)に必須のセミナーです。企業単位や特定グループでのセミナー開催(講師派遣)を随時行っています。講師はVPM主宰の佐藤や、今回の全国大会で研究開発功績賞を受賞された大西正規氏や、中神芳夫先生はじめ日本の優秀なCVS多数を講師登録して開催しています。どうぞお気軽のご相談ください。


お知らせ-2「VE Tear Down 小道具の斡旋」(継続掲示)

-実際にご活用いただいている企業さんがあります-

 多くの方々から、「VEの機能カードは無いか」「Tear Down展示用のタッグは無いか」とお問い合わせいただいており、このたび準備し小分け販売することになりました。

機能カードは裏に接着剤が付いていて、綺麗に貼り付けることが出来ます。剥がして再度貼り付けも可能です。(たぶん日本で唯一)

タッグは、5色あり、機種名、部品名、部品番号、コスト、重量、材質、その他の情報が記入できるように印刷されています。勿論取り付け用の針金付です。(写真参照)

機能カードは200枚単位で販売(2000円、送料当社負担)

Tear Down Tagは5色100枚単位で販売(5000円、同)です。
ご要望は、弊社アド
レス vpm-office@dol.hi-ho.ne.jp もしくは、
電話042-753-8658までご一報ください。




                      




◆ SAVE大会の案内や、行事案内。
◆ データや出来事、トピック。
◆ VE協会の案内など
随時掲載して行きますので、お楽しみに!!