VEニュース(情報)



VEニュース(09年11月)


1.第42回VE全国大会開かれる

 さる10月27日・28日の2日間、東京は九段のアルカディア市ヶ谷で、VE全国大会が開かれました。速報をお届けします。

 今年のメインテーマは、『変革のチャンス!「今こそ日本の底力」で例年の通り数々のイベントや発表、表彰が行われました。

今年も世界のVE界の重鎮、Jerry Kaufman氏が来日し、その他主な海外のお客様はSAVEのCraig Squires氏、など

円高にめげず多くの海外からのご参加でした(5ケ国、名)。

また日本人の参加はやはり大不況にもめげず延べ2日間で1000名これもまたすごい数になりました。では速報を!


1.まず、表彰に関する関係では、

 1)マイルズ賞:㈱ニコン 精機カンパニー

           半導体製造装置のうちステッパーを製作するニコン㈱殿が晴れて受賞

 2)マイルズ特別賞:静岡県

 3)VE活動優秀賞:㈱植木組建設本部(新潟県柏崎市)受賞者柴野本部長

            パッシフィックコンサルタンツ㈱

 4)VE功労賞:元福山平成大学教授 藤田恒夫CVS

 5)普及功労賞:

   小林 信夫氏 愛知電機㈱常務取締役(前中部電力常務執行役 資材部長)

   五味 信治氏 りんかい日産建設㈱ 土木本部技術研究所所長 CVS

   瀬川 博久氏 三菱電機㈱名古屋製作所資材部専任 VES

   丹澤 一昭氏 オリエンタルモーター㈱甲府カンパニー部長CVS

   林  千秋氏 川崎重工業㈱技術開発本部ものつくり推進部 VES

   福留 信夫氏 元マツダ㈱購買企画部アドバイザリースペシャリスト

   布袋  徹氏 ㈱リコー オフィス事業統括センター審議役VA推進室長 VEL

   柳澤 清隆氏 ダイキョーニシカワ㈱経営革新推進室緊急VAプロジェクトリーダー

   山本 浩二氏 大阪府立大学教授

   日立CVS会殿

受賞風景 

 
マイルズ賞:㈱ニコン


 VE活動優秀賞:㈱植木組

 VE功労賞:藤田先生


 6)論文表彰

  優秀論文:「VE」と「県民参加」  群馬県県土整備部 中島 聡VES

  入選論文:公共事業におけるVE適用段階 パシフィックコンサルタンツ㈱ 木守 岳広CVS

  入選論文:コストリスクマネジメントを取り入れた対象分野の選定と最適案の決定

 パシヒフィックコンサルタンツ㈱ 横田 尚哉CVS

  入選論文:機能的研究法によるBSC業績評価指標の選定方法

 中小企業診断士 丹澤 一昭CVS

  入選論文:バリューマネジメント技法の研究 ~開発プロジェクト価値の向上~

 ㈱日立国際電気 福原 政則VEL

  入選論文:TRIZを活用した新VE実施手順における問題解決法

りんかい日産建設㈱ 五味 信治CVS


2.講演、受賞報告から

1)開会:小野会長:

リーマンショックにめげず多くの方々の参加を得たこと、海外からも相変わらず沢山

の方々のご参加に感謝と実行委員会の方々のお骨折りに感謝の言葉が述べられ、VEを生かしてこの不況を乗り切ってほしい、日本の底力を発揮して欲しいとお話しされた。

   開会のあいさつ:小野会長


 2)基調講演:『今こそVEで「会社のアカスリ」を!本当はもうかる環境経営』

                     キャノン電子㈱代表取締役 酒巻 久氏

  【講演要旨】

今不況

問題は日本の技術が遅れている点だ。特に品質面での遅れが目立つ。30年で不良率がひとケタ台で発生するようになった。

なぜか・・・仕事への執着が足りない、自分の仕事に誇りを持っていない、自分が支えているのだ、の気概がない。

VEとIEは個人の技かシステム的に行うかの違いがあるが、今、ともに現状認識が甘い。

過去から現状にどのように経過したかを知った上で現状認識すると効果的だが、怠っている。これではVEもIEも成り立たない。

現在の延長線上に未来がある。(ないというのはせいぜい20%)

当社は売り上げが半分になっているがしっかり利益が出ている。なぜか、入る金より出る金を少なくすればよい。これを徹底してやれば利益は出る。

社員教育が必要、派遣は回転が早く教育してもいなくなる(年2回転している)訓練を受けたもので継続的にもの作りをしていく必要がある。

派遣を切って、目標を決めて社員で仕事を賄えるようになってきた。生産性は200%だ。

海外工場も同じように、訓練をして今や生産性は200%、300%になっている。

特に技術のランクを分けて、同じランクで仕事をさせるようにしている。ごっちゃにすると遅い人、技量の無い人に引っ張られる。

目標達成者には必ず表彰(Incentive)。大事なことは春秋になどと、先送りしないで、達成したらすぐ褒める。

現在のやり方が目一杯だと思うな。

VEは個人的な手法だと思っている。団体より個人的に動かした方が良いと思っている。

オズボーンのチェックリストにある発想は素晴らしいのに、日本では知られていない。考え方の基本でVEに通ずる。もう一度勉強すべき。

日本が競争力を持っていたのは賃金が安かったからだ。今は世界的に最も高い賃金国で競争力を失った。

何をするか、モノ作りの巧みさを出し、環境対応をして、VEの方程式に沿って機能とコストのバランスを見よ。

特に環境を考えて、世界的視野で環境対応をしていく、その秘訣は使う材料を減らすことだ。

補強の使い方などの工夫をして材料を減らす。それと、不況にしてしまえば、イノベーションもエコロジーも発展する。好調だと努力しない。

人事も教育もモノ作りも、環境を意識すれば必ず進化する。

環境を進めるためには人間がやさしくならないとできない。環境問題は今絶好のチャンスだ。

原点に立ち返ってVEの手法を使って見直し(分析)をしたら良い。社員にはどうしたいのかを問いかけ、

Incentive(提案出すと褒章金を、出さないと給与を切る)与えながら個人の心を動かし、全員参画型にすると結構よく動くものだ。

標語もおもしろい。社員の意見を聞き、いつまでも働ける会社にすると活性化する。

今の売り上げで、利益をどう出すかと考えることが重要。景気回復を待っていてはならない。できなくはない。

この発想はVEと一緒で同じものを作る(機能にたとえ)もっと安くならないか。方程式は一緒だ。そもそも社内で無駄を見ると5~10%はある。

ここを攻めただけでも十分利益が出る。本気でやるかやらないかだけだ。

一例だが、ゴミ箱をやめて分別回収(社員が持ってきた新聞の例)すると、多くが資源になる。食べ残しなどゴミ箱をやめれば無くなるものだ。

者探しも無駄の典型だ。1日で見ると40分はモノ探しだ。

生産(自動化)ライン、創った時点でもう時代遅れ。作った時点で最高の内容かどうかが疑問だ。梱包とか・・・幾つも挙げることができる。

設計がコストを70%決めている。川上(上流)でのVE的見方が重要。上流で共同VEを取り引き先と密にやることが重要。

大事なことは実践することだ。思い込みでやらずに現実をとらえて良いと思ったら実践すればよい。そして教育だ。人作りをしなさい。

 【佐藤の雑感】

    特段目新しいことをせよとはおっしゃっていない。数多くに着眼点をご披露なさった。愚直にやるのだろう。そうすればチリも積もる的効果になるのだろう。

願わくば、焦点を絞って、ありきたりの改善着眼を、どのようなやり方をしたら、社員が動き、効果が増大し、定着するのか、実際にご指導なさった秘訣を伺いたかった。

 3)特別講演:『ロボットスーツHALに掛ける思い』

             筑波大学大学院 システム情報工学研究科教授

             サイバーダイン㈱ CEO       山海 嘉之氏

【講演要旨】

   自己紹介:すごいいろんな片書き

    サイバニクスによるチャレンジのシナリオ:未来開拓、社会還元、進化スパイラル作り、新産業創出と人材育成、組織の進化スパイラル、産官学民の連携体制作り。

   産官学民・・・ユーザーを最初から交えて研究する・・・ウーン良いことだ。

   「われはロボット」2008年の予告が入った子供の時の読んだロボットの本があり、その時を迎えてショックを受けた。

その当時科学者を目指していた。その時からそれは夢ではないと作文に書いた。

   サイバニクス:人間、機械。情報の融合複合新領域の開拓・・HALロボットにつながる要素の話から入って行った。

   HALロボット:介護支援もするし、住作業も行うし、在宅リハビリもするし、エンタテイメントも行う。そして技能やコツを伝授できる、着て身体を動かすことのできるロボット。

人間支援型テクノロジー。要は動かなくなった身体を動かすことができるようになるロボット。

   人工臓器:脳の信号で、人工臓器をいかに動かすか・・これを知ることがロボットを動かす第一歩。

   血栓:血液を調べるために血をとらずにできる。血栓にならない方法がある。循環器系を完成させるために必要な研究。ロボットを雨後勝つための信号になる。



   講演される山海教授


   HALのポイント:随意(人間の意思)と不随意(考えていない運動指示)のマッチング(情報交換のテクニック)、それをロボット的に制御する。

すなわちロボットを自立させずに人間と一体になったロボットになる。身体の中に流れる電流の信号変化をとらえる。その電流でアクチュエーターを動かす。

   筋ジスの人、脳卒中の半身不随の人・・・身体がマヒした人が自分の意識で動かすことができる。

生後3カ月でポリオを罹病した歩行困難の患者が、このロボットを装着して45年ぶりに歩き、涙を流した話にはもらい泣きした。

 【佐藤の雑感】

   涙が出た。感動した。

    まさにノーベル賞もので、素晴らしい開発、そして技術力だ。予算がなくてお困りの様子も胸を痛めた。

      子供手当より優先して予算を付け加速すべき政策・技術だと痛感した。麻生さんが出てきた(報告場面)が、これをやっていれば大敗しなかっただろう。早く進めて欲しい。

そしてわがスキー連盟でも力を入れている「障がい者のスキー」にも夢を与えたい。

    20何年か前、いすゞが考えたNAVI-5、このロボットの原理と極めて似ていた。

あれも、トランスミッションとアクスルを人間の意思を信号にかえながら操作する・・意思と言っても感覚的ではなく能動的であったが、

あの研究をもっとお金かけてやっていたら…いすゞでやったこと(佐藤もメンバーだった)がすごいことだったと改めて感じた。大事なことは良いことを極めるまで根気よく続けることだ。


 4)技術講演(2日目):21世紀のエネルギー革命

『リチウムイオン電池の現状と将来像』

                 日立マクセル㈱ 開発本部 主管技師長 長井 龍氏

【講演要旨】

  *日立マクセル:日東電工が起源だった・・知らなかった。

  *電池の歴史、電池の種類一次電池、二次電池

  *ニッケルリチウム電池、リチウムイオン電池=二次電池、リチウムイオン電池の構造上過充電は危険になる。

      *CO排出量半減シナリオから66兆円、新平準化エネルギーで11兆円の市場がある

      *材料、作り方などでまだ不安定要素がある。今、日立グループ挙げてその取り組みにあたっている。

      *電気自動車用には1/40にしないと通用しない。

【佐藤の雑感】

ちょっと一般的で迫力がなかった。ご講演に出てきた日立の電池が日本を、世界を救うのか、どうしたら世界を制覇できるのか、

はったりでも、個人的夢でも結構、技術者の夢を語ってほしかった。


 5)記念講演:日本力を発揮せよ!次の30年は日本の時代

                    ㈱住信基礎研究所 主席研究員 伊藤 洋一氏

【講演要旨】

  *日本の政治が最もVEを導入する必要があるのではないか。

  *電池の話は面白い。問題は寿命。劣化と耐久寿命。まだ信頼性がない。

  *GM、クライスラーの破たんに対して今回は日本車へのパッシングがなかったが、日本がきちっとビジネスをしてきた成果が出た事

      *「日本の曖昧力」韓国の方が書いた。面白い視点で書いている。



   講演される伊藤氏


  *物を作ることの美意識がなければ、モノ作りは長続きしない。…中国にはモノ作りの美意識がなく、いつかもの作りから離れるかもしれないが、

      日本人は追いつくのではなく追い越すことを考える。だから日本は美意識を持つ続ける限り勝てる。

  *韓国は、非財閥系の企業がまだできていない。

  *ボリュームゾーン(年収の低い層の国)・・・需要層の開拓。価格帯が何層かに分かれていて、ターゲットを絞れば(製販一体になって)生きていけるチャンスがある。

  *昔は売る人が歩くが、今は買う人が歩く。

  *小売業が低調になっている統計があるがGDPが下がっていない。通販が売っている。こんなケースもある=リアル通販:番組が通販している。

  *通販は現代における売る側が歩いている姿。江戸時代は御用聞きとおとどけの人がいた。今もそうなってきている。

  *人間は職業を創る動物。

  *日本の需要は落ちているが、中国やブラジルは伸びている。アメリカも落ちているがボリュームゾーンがあって需要はしっかりある。

        この需要にどのように満たすか、日本車がどうして売れ続けたかを考えれば、わずかな差が勝ちを産む。きちっとやっていれば、生き延びることができると確信できる。

  *日・独・伊の三国はきちっとできる国。日本は役割を果たせる国だ。


【佐藤の雑感】

珍しいプレゼンテーションだった。PPTを使うのではなく、ネットの画面を使いながら講演・・佐藤にとって初めての体験、しかしあまり上手くいかなかった。

でも事前に準備して来いと言いたい。上手く行かなければ全部他責、これも不愉快だった。やっぱり評論家だ。

更に何を訴えたかったのか不可解。ハッキリ言うと、失礼な講演だった。もっと誠意をもってお話しして欲しかった。

SAVEからの賓客が「あれはなんだ!」と非難ごうごう。私も同感。本を書けばよいのではない。ジャーナリストや評論家ほど無責任はいない。

中には良い人もいるのでしょう。吟味して人を選ぶことだ。金返せ!



6)各種発表から(4会場あり、佐藤の体は一つ、他の会場の内容不詳)

 ①先進企業のコストマネージメント

SCMとリンクしたリコーのトータルVA:㈱リコー 布袋 徹 氏

【発表要旨・雑感】

ちなみに、布袋さんとも古いVE仲間だし、タイトルに使われる“VA”は弱電メーカー特有の表現で、語源=なぜVEではないかは、

生産性本部がアメリカにコストコントロール調査団を送った(1954年)際の主力が電機関連企業であったことから三菱電機を含め、

多くの電機メーカーがいまだ“VA”と称しているが、同社の場合は日立の山路さんが指導したことから始まっている。

布袋さんは、何度かリーマンショックで赤字に陥った企業が発表するのはご遠慮申し上げたが・・とおっしゃっていたが、やはりこの不況の影響を受けていたようだ。

世界企業であり13拠点でAssemblyしている。昔は各拠点で材料から製品まで造っているが、現在は各地で部品やSub Assemblyをして、相互に供給し合っている。

設計は各カンパニーの組織化にあって、モノ作りは各拠点で色々な商品を組み立てている。

原価企画:商品の売り上げ主体は、プリンターのトナーに見るアフターマーケットの売り上げが絡み売り上げ打ち切りまでの総売り上げが対象になっている。

コスト補償ステップと採算保証ステップがあり、「規格原案審議会」の決定を受けて商品構想が始まり、企画段階の「企画審議会」の段階で商品企画が固まりそれから、

設計計画、設計試作、そして「製品化会議」でGoが掛かる。

発表の中に、「事業性採算審査会」(BR:Business Review)なる言葉が出てきたが、製品化会議との関係は不詳。

活動には、物流費VA、試作費VA、製品VA、工場間接費VA,製品VA(要素・設計・量産)の5段階に分けて改善を行っているとPPTに出てきた。

高付加価値を生み出すために必要なもの・・という言葉が出てきた。

VA+CS2:Customer Satisfaction, Customer Surprise競合品を意識した顧客満足度を求めている。

  顧客起点、機能本位、コスト可視化、機能評価

SCM構造改革:革新的商品=顧客満足度追求+利益(キャッシュ)創出の追求を骨格にしているが何をやったかは、

業務プロセス改革と統合された情報システムにより実現させた。業務プロセスを徹底的に改革していると強調。

在庫の可視化:倉庫の在庫と、移動中の在庫が分かり、実際の出庫が日々わかる仕組みを持っている。…すごいな。その一環に、各販売拠点でオプション化を進めている。

要は、世界的標準品に対して、各生産拠点で各地のニーズやブランド(リコーだけでなく)様に各地でオプション化しているとのこと。

コスト創り込みでは、リコーは量産品の改善は行わず、すべて新製品に集中させている。

戦略から基本システム構想までの間に「要素開発段階のVA」=Cost Developmentを展開、構想終了から設計段階で「設計VA」を展開する。

PMが「コスト定例会議」(毎週or隔週開催)でチェックする。

競合他社分析・・テアダウンの言葉は出てこなかった(昔始動したことがあったが、残っていないのか)。

使用者の満足調査をどうしているか「生活研究」のようなことが行われているのかも不詳だった。

とこのメモを書いていたら最後の課題に、「競合他社分析内容の充実」なる言葉が出てきた。課題なのだろう。

「リサイクル」も今後の課題に出てきたが発表の中にはなく、あまり取り組んではいないようだ。

印象:SCMに興味を持って聴講したが、SCMというより「リコーの商品開発と今後の課題」がこの発表の中身だったようだ。


 ②『第三世代ヘルシオの開発におけるVE事例』

  シャープ㈱調理システム事業部技術部 田村 彰朗

【発表要旨・雑感】

ヘルシオ:水蒸気を活用した調理器

売価が半年で15%下落、日本での生産からタイに拠点を移し、構造から見直しをした。目標コストは△20%

機能系統図を作り、機能評価をし、アイデアだしをする、しっかりしたVEを行ったようだ。実施例をいくつかに分けて紹介

・構造のシンプル化

・高価材料の使用を見直す

・共通部品の使用(サイズ別に異なっていた)

製品全体で26%のCR達成、更にSCMの見直しをして中国、SALT(タイ)、マレーシアの三拠点の連携でコスト競争力を付けた

  (具体的に海外移管で安くなったのかの質問に良い答えが来た。「タイで作れる設計をした」)・・・さて、日本の存在は何だろう、日本のもの作りを考えなくて良いのだろうか。

この商品はもう日本にこだわる必要のない(海外に流出して良い技術か)商品なのか。これを日本で成し遂げて初めて原価改善ではとも思うが・・・。

それと、毎年発表するシャープ、若い人が続々出てくるシャープ、20年ほど前に全社大会での講演の依頼を受けた事があったが、VEが定着している姿が伺えた。


 ③オンリーワン企業の感動技術

『技ありシャープペンシル「クルトガ」の開発』

三菱鉛筆㈱ 横浜研究開発センター 中山 協 氏

【発表要旨・雑感】

シャープペンシルの潜在的不満(アンケートしても顕在化しない不満)を掴んだ。それが偏ベリ芯の問題だった。

これを芯を回転させて、いつも同じ太さで文字を書ける様にしたシャープペンシル。

原理は芯圧を受けて、中にある小さなギアーが回転力を芯に伝える構造。

472円で発売して、ハイグレードバージョンを1050円で追加発売。(シャープペンシルの付加機能が、なんと同じ基本機能を持ったモデルの2倍の価格で売るところが興味津々。

シャープペンの用途が無くなってきた現状(IT化)、ユーザーは小中学生に集中、市場が細り、実用新案も減少、

シェア―も落ち(5位)・・・撤退か。その環境にあって、グリップの改善で一躍業界2位に上昇し、このクルトガで300万本の大ヒットになり、トップに立つ。

その背景にはシャープ撤退が同社には常に課題としてあり、シャープチームの存続を技術者の意地で維持した物語。

0.41mm書ける。8mmのギヤーの山を如何に成形するか、ギア戻りを如何に解消するか、更にユーザーのアンケートNG項目を一つ一つ解決していった技術陣の粘り腰。

機能だけでなく、販売促進に、従来の不満をアピールして、ユーザーに再認識してもらうことから入っていく、それを小冊子で口コミを煽り、大ヒットにつながる。

ポイントは、ユーザーニーズの把握(と言うより発掘)→対策原理を設計開発→もの作りの工夫→販促の工夫⇒大ヒットのストーリでした。おめでとう!!


 ④オンリーワン企業の感動技術

世界に誇る日本の中小企業 『コミ―の「気配りミラー」』

㈱ コミー 代表取締役   氏

【発表要旨・雑感】

飛行機の頭の上の物入れに鏡が付いている。忘れ物はないか、鏡を見てチェック。あの鏡のメーカーだそうだ。

社長が自ら発表。S37年信大卒、NSK入社、間もなく退社、点々と転職、最後の看板屋から鏡を作るはめになる。

その過程にはNSK時代の友人との出会いなどが大きく感動的に効いて今日につながる。

ことの発端は回転するミラー(お店の万引き防止が、創る方は別の目的と思っていた誤解あり)に端を発し、

航空機の物入れの鏡:爆弾防止(CA)と忘れ物防止(乗客)をエアバスやボーイングに収めるようになっていった物語。その鏡が広く活用されていく物語。言葉が面白い。

・出会いの喜び→創造の喜び→達成の喜び

・人生に夢があるのではなく夢が人生を創るのだ

・メーカーは、マーケティング、技術開発、精算システムが三位一体になって成立

・使用現場を知る=US=User Satisfaction

・出会いの面白さ『こんな人がいたのか』『こんな世界があったのか』

・?→!→感謝→志

・モノ創り屋はなぜ面白いか・・ウソ・ごまかしがないから・・。

  鏡や技術のお話ではなく、人生観のお話でした。


 ④暮らしにいかすVE

『VE5原則で「人生が変わる」』

㈱ ファインズ 代表取締役 木津 広美 氏


【発表要旨・雑感】

PPT資料はなくお話しのみでその中から気になったキーワード、お話しは・・。

*元バドミントンの日本代表選手で福田組の社員だった。自発的にVELを取得

*VEを学んで人生観が変わったとVE誌にエッセイを書く

*バドミントンとの出会いと選手・コーチの経験。目的(優勝)に向かって手段(練習)は毎日異なったことに感動した。

*新潟代表になるために福田組に移籍。本当のリーダシップとは・・・福田組の社長の言葉に教えられ、改めてトップアスリートだった自分に大きな刺激を得た。

*長生き:充実して生きている間を言うのではなく、後に語り継がれることがあればそれも長生きの定義だ。

*日常生活の中にも、目的の共有化ができていないことが分かった。

*他人を動かすことより自分を動かすことの方がいかに難しいか。

*スポーツマンは自己否定で強くなる。サラリーマンは自己否定ができない。(スポーツでは「相手が強いから負けた」とは通用しない)

*「○○したいと思う」はスポーツにはない。「世界一になる」と言い切るのがスポーツマン。

*目標に対する言葉が甘いとサラリーマンの会議で感じた。



2.西日本大会で佐藤が技術講演(継続)

 日本VE協会、西日本支部主催の西日本大会が、10月2日、広島市の「エソール広島」で開催された。

 各企業の業績が低迷する中で、参加者が減少するのではないかとの心配をよそに、そして大雨に見舞われた環境にもめげず、約100名の人たちが集まった。

 協会の小野会長や、土屋先生が「創造的思考」や「コンカレント機能定義法」と言った技術論を発表された。

 シャープや三菱重工などの好事例も公開され、シャープ(株)の発表ではテアダウンが佐藤の開発した当時の精神をしっかり守られている事例が登場し佐藤は大感激。

また佐藤が関与した三菱重工の事例は、もともと“たかが・・”とスタート時点では思ったVEが、

実は佐藤もショックを受けた“されどVE”と言える素晴らしい内容に発展した改善事例で、

多くの感動とVEの良さをしっかりとアピールした。やはりVEは面白いのだ!と印象付ける発表だった。


  

司会役は三菱重工下船の吉瀬VES            発表する三菱重工の長谷川VEL


 佐藤は締めくくりの技術講演で「日本の製造業、首位奪還への道」と題して、今日の日本の製造業の弱体化した要因、

現象を突き、如何に解決するかをアピールした。さて、お聞きいただいた方々の反響は如何に???。


  

講演する佐藤。土屋先生(右)日本VE協会宮本事務局長(左)の後ろ姿が見える


3.佐藤の連載が大好評です!


日経ものつくり誌に、佐藤の連載が始まっています。4月号から1年間の連載です。佐藤の思い入れを精魂こめて書いています。

今月(9月号)のテーマは「勝つ設計:原価企画の真髄」です。今月はいよいよ原価企画に真髄その一で、如何に原価企画を進めるか、

佐藤の失敗と成功の事例を挟みながら本音の体験ベースコラムに力が入りました。なかなか大変好評のようですヨ。(アンケート情報から)

他の記事も魅力満載で是非ご購読をお勧めします。

 なお、1か月遅れで、このホームページのブログ「主張」の欄に掲載しています。


4.残り少ない今年度のイベント・セミナーは…最新情報

1)VE協会主催セミナーのご案内

 VEL受験資格を取得できる入門セミナー、一般教養を身に付けて且つ、

CVS、VES受験資格が取れる
アドバンスコース、テクニカルスキルコースなどのセミナーは9回が主催しています。

主なコースでは、

*基礎講座(VEL受験資格取得セミナー)今年度の残りは以下の通り。

東京地区:会場はいずれも日本VE協会本部会議室

     11月19日(木)・20日(金)

1月14日(木)・15日(金)

2月4日(木)・5日(金)

名古屋地区:会場は中産連ビル

11月5日(木)・6日(金)

大阪地区:会場は新大阪丸ビル新館

     11月19日(木)・20日(金)

1月21日(木)・22日(金)

http://www.sjve.org/events/ をクリックしてお望みのコースを選択してください。



お知らせ「VE & Tear Down 小道具の斡旋」(継続掲示)

-実際にご活用いただいている企業さんがあります-

 多くの方々から、「VEの機能カードは無いか」「Tear Down展示用のタッグは無いか」とお問い合わせいただいており、このたび準備し小分け販売することになりました。
機能カードは裏に接着剤が付いていて、綺麗に貼り付けることが出来ます。剥がして再度貼り付けも可能です。(たぶん日本で唯一)
タッグは、5色あり、機種名、部品名、部品番号、コスト、重量、材質、その他の情報が記入できるように印刷されています。勿論取り付け用の針金付です。(写真参照)
機能カードは200枚単位で販売(2000円、送料当社負担)
Tear Down Tagは5色100枚単位で販売(5000円、同)です。ご要望は、弊社アドレス vpm-office@dol.hi-ho.ne.jp もしくは、
電話042-753-8658までご一報ください。



                      




◆ SAVE大会の案内や、行事案内。
◆ データや出来事、トピック。
◆ VE協会の案内など
随時掲載して行きますので、お楽しみに!!