佐藤の主張・佐藤の技術・・・その9 原価企画シリーズ−4 『原価企画の進め方−2』


            

08年11月


前回は、ビジネスプランから商品や販売の戦略、さらに製品・生産構想について触れた。流れを思い出していただくために前回のチャートを示させていただこう。今回はその先の各種目標の割り付けについて語っていこう。




4.目標の割付


どのような目標を持つか、少なくもビジネスプランに示された経営目標を踏まえた目標設定は不可欠である。

一般的に目標の対象になるのは

*コスト

*投資金額

*開発期間と各開発段階のフェーズ別の完成度の目標)

*その他(開発費=開発工数、新規部品点数=図面枚数、・・・etc.)

内容についてもう少し掘り下げてみることにする。

@  製品コスト(製造原価):

割り付けの対象は、変動原価を構成する各種装置単位の総額と、それを構成する主要部品の単価や社内加工費(加工や組み立て、諸経費)。これらは創り込みの過程や最終評価の段階でトレードオフはありうる項目だが、新たな商品戦略によって当然従来コストとは異なった数字のものになったり、体質を変えたい(MCCがらみで)とか、コスト水準を変えたいとかで必ずしも従来のテーブルの延長ではないことが多く、それらのメリハリをつけたロジックと目標設定を個別に行うこと。当然ながら総額は目標コスト以内になる。予備費も必ず含めた目標設定が肝要だ。

また、目標設定で注意が必要なのは、特定の機種だけで設定するのではなくシリーズをにらんで設定する必要がある。同じ部品がシリーズでそれぞれの機種に使われる場合は、もっとも廉価版の機種でも、総原価目標に収まるような配分が必要だ。自動車で言うなら、同じドアーミラーが使われるシリーズがあれば、もっとも原価の厳しい機種をベースに目標設定をして、余裕のある機種ではその余裕を別の機能に振り替えたりするとよい。


A  投資金額:

投資は設備投資、治具・金型費、開発費などに分け、投資回収を視野に入れた総額とそれぞれの費用に分けて管理すべきである。特に投資回収については、法定償却費とは別に、戦略的な回収期間を設定していくべきである。こうして、それぞれの費目別に目標金額、投資回収の条件などを決めて目標にすることが重要。ここにも予備費を設けて、予想に反する事態に対応できるようにすること。


B  開発費:

開発費も立派な投資であることをまず確認したい。開発費を少なくするために多くのアクションがある。最大は管理技術の活用と、データー解析による効率化だ。数値目標を立てると色々な効率化のアクションが起きてくる。設計部別の目標、実験・検証の目標、金額目標、工数目標などいろいろな数値が管理値になる。いずれも総額は、総開発費内に収まることが条件で、結果管理にならないように、管理ポイントをしっかり押さえていく必要がある。


C  新規部品点数:

佐藤の経験では、新規部品点数(部品番号ベース)も重要な管理指標になる。ともすると新規開発の名のもとに自由自在に部品を興してしまう習慣が残っている企業を見かけるが、1枚の図面は下流に於いて多くの作業を引き出してしまう。部品の品質保証や投資や部品在庫、サービス=補修部品対応等などである。

新規部品の種類数を絞ると、モデルチェンジやマイナーチェンジのメリハリが出てくる。許容される新規部品数の中で賄わねばならないとなると、プライオリティの低い部品を興しているわけにはいかなくなる。勝負する部品に特化することになるので、大事な管理指標になる。

更に年間を通して総数の制限をすると、下流側の負荷の平準化にまでつながり、マネージメントに大きな効果をもたらすことになる。一つの部品が如何に後工程(下流)に影響を及ぼしているか考えたらご理解が得られよう。


D  その他

数値化できる機能や品質も目標に加える。特に、新機能については、それが勝負の材料になることが多く、曖昧な評価基準でなく、明確な評価基準を設定して、フェーズごとに手遅れにならないか管理指標を設ける必要がある。商品企画段階で要求された機能が、しっかり市場に出て戦う機能にと完成されていかなければならないからだ。

要求品質も同様。市場での要求品質の変化や、評価基準の変化によって、従来の評価方法や数値では管理できないこともある。この点も企画段階から数値目標(評価基準)として保有していくことが重要。


目標が決まったら管理のポイントに入っていく。長くなるので次回にまわしてどのように管理するかを語っていきたい。


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                   (株)VPM技術研究所 所長 佐藤嘉彦 CVS-Life, FSAVE