「なんだかつまんない天気だねぇ」。栃木県の鹿沼駅の売店のおばちゃんもこんな調子の雨の中、一人旅をスタート。今回の目的は、山間(やまあい)の温泉でのんびり。たまには電車で行きたいと思ったので、各駅停車でたどり着ける範囲。適当に旅行雑誌を調べて、山形県の米沢からバスで40分ほどの白布(しらぶ)温泉に決定。鹿沼から米沢までは、各駅停車を5回乗り継いで5時間弱。でも、福島で1時間近く待たされたり。電車の扉が手動なのもちょっと驚き。
そんなこんなで米沢に到着。温泉行きのバスが来るまでには1時間近くあるので、駅の西側を最上川まで散歩。途中でフィールディングを見つけて、会社を思い出して嫌な気分。ちなみに、帰りに駅の東側を歩いたが、東口の寂しさには驚かされた。民家とビジネスホテル以外何も見えない。あまりのつまんなさに西口に戻りかけた時に、見慣れたうちの会社のロゴを発見。おお、そういえば、パーソナルプロダクツの工場が米沢にあるとは聞いていたが、正しくそれではないか。しかし、こんなとこにあったら、寂しくて気が滅入りそう。そう思って周りをぐるっと歩いてみたら、国道13号を発見。コンビニや飲食店、本屋もある。いらぬ心配は解消された。
さて、駅に戻ってバスで温泉へ。バスは親子連れが上杉神社前で降りて、ほぼ貸し切り状態。ひなびた温泉街に到着。早速公共浴場に行ったが、そこもほぼ貸し切り状態。存分にくつろいだ後、民宿へ。なんと、民宿の近くには、うちの会社の保養所が。なんだ、こんなとこにあったのか。休みに入る前に行き先を決めてれば、保養所を予約したんだけど。さて、民宿では元気なおっちゃん二人が夕食の準備をしていた。民宿は合宿所といった感じ。天元台スキー場が近いので、スキーシーズンはスキー客でいっぱいになるそうな。今日は平日ということもあり、宿泊客は吉成を含めて4組12名。
夕食は期待してなかった米沢牛。しかも食べ放題。そのほかに米沢名物の鯉こく、肉じゃが、そしておっちゃんの畑でとれたてのトマトまるごと1個などなど。米沢牛は最初から250g出されたが、食べ切るのが精一杯だった。その後、二人の宿のおっちゃんと4人組のおばちゃんグループに呼ばれていっしょに食事。そこで二人のおっちゃんの元気な理由を知ることになる。
二人はマラソン仲間で、ホノルルマラソンや100kmマラソンを何回も完走してたり、エベレストマラソン?に出てたり。今年の5月には、廃材を利用して作ったリヤカーを引いて、白布温泉−横浜間の400kmを往復し、地元のテレビでも紹介されている(食後にビデオの上映会が行われた)。店の主人は走るだけじゃなく、料理はもちろん、リヤカー、ガラス細工から手編みのセーターまで、いろんなものを作ることもでき、まさにスーパーマンといった感じ。食事をいっしょに食べたおばちゃん達は、学校に行けない子供達が学べる学校(フリースペースと呼んでる)の先生達で、おっちゃんを講師として学校に招いたのがきっかけでつながりができたらしい。こういう人達と知り合えるのも民宿の醍醐味。
さて、元気なおっちゃんは、パソコンを始めたらしく、名刺作りの最中。名刺作りの手伝いを頼まれて快く引き受けた。お客さんの中にも先生がたくさんいるから、パソコンはあまり勉強しないみたい。とにかく、スーパーマンと関わりが持ててうれしかった。一人旅の良さは、知らない人達とのふれあいだったような気がする。
![]() ひなびた白布温泉 |
![]() こじんまりした民宿白布屋 |
![]() 元気な民宿のおっちゃん |
![]() 食い切れないほどの夕食 |