問題のその後


取り上げてしまった問題について、メールのご指摘などを通じてその後考えた事を載せようと思います。


1、カナリアとの類似

指摘  江戸時代に一部白色化したもの(パイド)から、全身白色の白カナリアが作り出されているので、文鳥も同様の経過を経て人為的に作り出されたのではないかとのご指摘を受けました。
意味  江戸時代に人為淘汰による品種改良が日本にはなかったらしいと私は判断していたので、この指摘が事実であれば、根本的な認識が間違っていた事になります。ただ残念な事に、ご指摘ではカナリアの品種改良を示す史料が明示されていませんでした。
考察  そこでカナリアについてはまったく興味はないものの、少し調べてみました。すると、『唐蘭船持渡鳥獣図』という江戸時代の図録(一種の輸入カタログ)に描かれた1787年渡来のカナリアが、すでに純白であるのを図書館で見つけてしまいました。飼育書によれば、16世紀にはヨーロッパに広く飼われていたカナリアも日本で一般化したのは文鳥同様18世紀末だとされていますから、江戸時代の一般化する以前にすでに白いカナリアが輸入されていたという事になります。
 つまり、白カナリアは日本で作り出したものとは見なせそうにありません。したがって、白カナリアを日本における品種改良の例としてあげるのは無理があるようです。

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