問題のその後


取り上げてしまった問題について、メールのご指摘などを通じてその後考えた事を載せようと思います。


2003年6・7月ついに健康補助食品を使用する

ベネバックとスピルリナ 健康補助食品(サプリメント)を必要としない方が望ましいと思っている。しかし病気の文鳥では話が別になる。ハン(♀5歳)に腫瘍が出来て療養生活に入った。動物病院の先生からは腫瘍の薬とビタミン剤、および抗ガン作用があるという漢方薬(メシマコブ)が処方される。そんなさなか、ある方から「ストレスパウダー」「エイビアン」というサプリメントをご紹介、お裾分けいただいた。
 どういうものか良くわからないので、ご購入先のホームページを拝見したところ、「ストレスパウダー」の主成分が
鳥用乳酸菌であり、「エイビアン」の主成分がスピルリナというものであることが分かった。
 乳酸菌なら腸内環境を良くするものとして有名だ。ほ乳類用の乳酸菌は鳥には効果が薄いとの議論もあるらしいが(真偽のほどは知らない)、これに含まれる乳酸菌は米国製で日本にはない鳥用のものという。
抗生物質などで腸内の細菌が減少した際などに使用すると有効とされている(一般的な乳酸菌サプリメント「ベネバック」に各種ビタミンを特別に添加したものが「ストレスパウダー」と想定した)。抗生物質の問題点は良い菌も殺菌してしまうことだから、悪い菌が繁殖する前に有用な菌を繁殖させるというわけだろう、この考え方は合理的 なように思える。
 
生野菜はこうした腸内菌を活性化させる作用が大きいので、野菜好きの文鳥に、わざわざ補充する必要ない ように思うが、ちょうど腫瘍をつついて化膿止めの抗生物質を服用していたので使わせていただく。また、自前でも用意しておいた方が良いと思い、インコ専門の通販店『CAP!』に注文することにした(ご紹介いただいたホームページは米国在住の方による共同購入なので、せっかちな私は通販店で購入した。・・・取り扱いはじめたばかりなので、売り切れる前に買っておこうと姑息に考えた)。それだけ買うのも嫌なので、産卵期対策にネクトン-MSAの小瓶もお願いする。これはドイツの著名な会社が作るビタミンD3を強化するサプリメントだ。

〔余談〕
 個人的な印象では、すべての必要栄養素を含むペレットのみで飼育するのを目指すのはアメリカンスタイル、サプリメントの使用を推賞するのがヨーロピアンスタイル、加工品を使用しないのはアジアスタイルだと思っている。欧米での小鳥飼育の共通点は禽舎での多数飼育と言う点だが、多数飼育で生の野菜を供給するのは難しい面がある。葉野菜の確保の難しい寒冷なヨーロッパではサプリメントが開発されねばならないし、合理的なアメリカ人は「オールインワン」を目指すことになったものと思う。その点、温暖なアジアではそういった努力は必要なかったと言えるだろう。

MSA 注文の2日後に商品が届いた。「バードベネバック」、簡単な説明書は本当に簡単でよくわからないものだったが、体重10〜30gの鳥の場合、週一回、「小さじすりきり1/8」をエサに振りかける・混ぜる・直接投与するようにいっているようだ(水に混ぜるようには書いていない)。「小さじすりきり1/8」・・・は直接投与の場合の限界値とすれば、エサに混ぜるような効率の悪いケースでは2倍以上混ぜる必要がありそうだ。小さじで1/4・・・、一週間以上間を開けてエサに混ぜて与えれば問題ないものと計算する。気が向いたら与えようと思う。
 「ネクトン-MSA」、こちらの日本語の説明書もきわめて不親切だ。 とりあえず毎日「レース鳩の大きさぐらいの鳥なら約3羽に1g」と書いてある。・・・小鳥についての分量は全く不明・・・、仕方ないので自分で考える。鳩は500g程度なので、それで1/3gなら25gの文鳥は1/60g・・・、これは耳かき1杯程度の量となるだろう。エサや水に混ぜるのなら2、3倍は必要とすれば、耳かき2、3杯といったところが適量と判断する。産卵期に、飲水に混ぜて使用してみようと思う。

 乳酸菌はわかりやすかったが、「エイビアン」の主成分であるスピルリナの方は、全く不案内であった。インターネットで調べるとそれは塩水で培養される藻の一種で、栄養価に優れ抗酸化作用もあり、抗ガン効果も期待されている健康食品であることがわかった。ハンが処方されているメシマコブとミックスした商品まで存在する。栄養価については100gあたりの次のようなデータがあった(かなり数値に振幅があり正確性はわからない)。

    エネルギー       300〜400kcal            ビタミンE        5〜35mg
    たんぱく質        60〜75g               ビタミンK        0.5〜2mg
    脂質                6〜10g                      ナイアシン      10〜20mg
    糖質                2〜12g                    イノシトール    50〜200mg
  ナトリウム        500〜1700mg                     葉酸              20〜180μg
  食物繊維         5〜10g                       パントテン酸    0.05〜1mg
  総カロチノイド   100〜600mg                        カルシウム      90〜900mg
  ベータ・カロチン 50〜300mg                       マグネシウム    200〜500mg
  ビタミンA効力   27800〜166700IU                 カリウム          1300〜1900mg
  ビタミンB1        2〜5mg                              鉄                 40〜110mg
  ビタミンB2        3〜6mg γ−                        リノレン酸       700〜1800mg
  ビタミンB6        0.3〜0.9mg                         クロロフィルa   500〜2000mg
  ビタミンB12      20〜250μg                          フィコシアニン  2000〜7000mg

 総じて非常に栄養価が高い。食糧危機の人類を救うと主張する人までいるのも無理はない。特にビタミンAの含有率は驚異的で、その面だけでも文鳥用の健康補助食の資格が十分にありそうだ。塩水由来のものなので、ナトリウム含有量が煮干し並みに高いが、一日分のエサに1g程度まぜる分には問題とはならないと計算する。生野菜を食べて健康な文鳥に必要とは全く思わないが、腫瘍が悪化し野菜を食べなくなっている(低カロリーのものを食べる余裕がないらしい)ハンには必要なものと判断した。
 これも自前で用意しておいた方がよいだろう。エサにまぶすには粒子が細かい方が良いはずだが、人間用のものは粒状に加工されている。犬用のものに加工がされていないものがあったので、それを購入した。
 藻というだけあって色は緑で、においは海苔を思わせる。海苔なら文鳥は好きだろうと思ったが、エサに混ぜたところハンはかなり嫌そうにしている・・・。放鳥すると他のカゴのエサを一所懸命食べている。一方他の文鳥には、スピルリナをまぶしたエサを喜んで食べるものもいる。好き嫌いがありそうだ。ハンには リンゲル液に混ぜて与えたところ、嫌がらないので、そういった与え方をしている。

〔余談〕
 文鳥に与える前に、ミドリガメの水槽にスピルリナを放り込んだところ、何やら元気になってしまった。数年寝たきりの金魚にも与えてみたが(水槽の底で横になって3年・・・)、特に問題はなかった。スピルリナは金魚の色揚げとして使用されるそうなので、劇的に変化したらすごいと少し期待していたが、そういった劇薬ではなく、あくまでもサプリメントなのであった。犬猫には、食物繊維によって道草を食べなくする効果と、含有するクロロフィルによって消臭効果があるという・・・、やはり劇的な変化はないと思うのだが・・・。


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