問題のその後


取り上げてしまった問題について、メールのご指摘などを通じてその後考えた事を載せようと思います。

ペレットについての見解補足 新飼料の試用報告 ボレー粉を洗ってみる 豆苗(トウミョウ)を栽培してみる(2002・6)<補足>


4、豆苗(トウミョウ)を栽培してみる(2002・6)

トウミョウ栽培については、土を使わないコチラを標準とするようになりました。(2005・8)

 トウミョウはえんどう豆の若芽で、中華料理の食材としてはポピュラーな存在らしい。栄養価が高く、最近は文鳥の副食として使用する人も増え、さらには自家栽培を試みる人も拡大中のようだ。
 我が家でのトウミョウは毎日の放鳥中のおやつだが、それでもかなりの量が消費されるので、自家栽培してみることにした。

右が鹿沼土をかぶせたもの。左がそれに水をやったもの。@ 豆の調達
 トウミョウ用のえんどう豆が存在するようだが、こだわりはないので、鳥の飼料として売られているものを購入する。通販では、白エンドウ、緑エンドウ、麻エンドウ、グリーンピース、メープルピースと、えんどう豆らしきものが詰め合わせになったものがあるので、それを買う。

A 豆を水に浸す
 適当な量の豆を水に丸一日浸す。

B 容器に移す
 飼育本のすすめる100円ショプの水切りつきの容器に、水を吸い膨張し、発芽しかけた豆を並べる。
 腐食防止と保湿効果を期待して、豆が隠れる程度に土(たまたま鹿沼土)をかぶせ、水をかける。下のトレーには水を入れない。 

C 一日に一回水をやる
 一日に数回豆が乾かないように水をかける必要があるようだが、土に保水効果があるので一日一回水分を含ませれば十分だった(まだ下のトレーには水を入れない)。

3日後、根が伸びてきた

C トレーに水を入れる
 窓辺において、毎日水を交換する。

さらに3日後、成長中 →

窓の方向に曲がっている
ニョキニョキ伸びる、ジャックと豆の木さらに3日後の姿

 9日間でちょうど良いくらいに成長した。

 まったく簡単に育ってくれた。特に少数飼育で、野菜の需要が多くない方は、お試しになっても良いと思った。 

※ 通販の詰め合わせに含まれる「緑エンドウ」は、葉の形も異なり、他の豆とは違う。おそらく人間用のモヤシのもとである緑豆と思われ、害はないと思うが、味もえんどう豆によるトウミョウとは異なるようだ。
 他の豆の生育上の相違は気がつかなかった。種類によって茎の太さが違うという話だが、グリーンピースや白エンドウはくさりやすいといった面はあるかもしれない。

 

<補足> 国産赤えんどうの栽培(2002・7)

 近所で人間用の食材として売られている(みつ豆などに使う、100g120円くらい)赤えんどう豆でトウミョウを栽培してみた。

1日目 水に浸す
粒が大きくそろっている

2日目 水を吸って膨張 6日目 芽が出てくる
芽が大きく色が濃い
7日目 芽が伸びてくる
11日目 成長中
鳥エサ用より成長ははやい
14日目 刈り入れ時
茎は太く葉も大きい
※ 夏場は豆を水に浸し続けると、腐ってしまう。

 わりばしなどで底上げし、豆が水位の上にくる
ようにすると、有効と思われる。


3、ボレー粉を洗ってみる

 ボレー粉は、蠣殻(カキガラ・ボレイ)を焼いて砕いたもので、市販のものには『葉緑素』入りなどとして緑色や青みがかったものが主流だ。しかしこれは合成着色料による色彩と思われ、一部の飼育者の間では不評となり、HPでも方々で指摘されている。
 ただ、個人的には例え合成着色料が添加されていたとしても、過去、実際使用して健康問題が起こったようには思えないので、過剰に心配する事はないという気がしないでもない。しかし、一度水洗いや煮出しを試みると、その煮汁の異様な色彩に、
そのまま使う気持ちがなくなってしまった。何番煎じだかわからないが、洗浄の経過と感想を述べたい。

綺麗な緑色 ハワイアンブルー こんなもんで勘弁してやろう



まさに天然素材
@市販品
緑色で粉っぽい
A水洗い後
ソーダ色になる
B煮立てた後
着色は残る
C本来の姿
貝殻そのもの

 @をザルにいれ水洗いすると、『バスクリン』のような緑の液体が生じ、何度か水を取り替えるとAの状況となる(フライパンで炒り乾燥後)。粉っぽいのは、貝殻がこすれたものだと思うが、バスクリン色をした液体をみると、緑色がクロレラなどの天然素材に由来するものか疑わしい気持ちになった。

 外側を覆っていた緑色が下水道に消えると、Aのようにソーダ色(コバルトブルー、はっか色)になった。このような色で市販されているものがあるが、いかにも人工的で、この色彩は水洗いのみでは容易に落ちない。水の沸騰する鍋に入れ、数分煮るとソーダ色が溶け出し、さらに気味の悪い色の煮汁となってしまう。これを見ると、とても文鳥に食べさせる気がなくなってしまった。しかも10分近く煮ても貝殻についた色は完全にはとれない(Bはフライパンで炒り乾燥後)。

 参考までのCは『白ボレー』として大きなペットショップで売られていたものを水洗い後煮出して乾燥したもの。ところが洗浄が極めつけに不十分らしく、カキ殻についていたと思われる海藻類などがうっとうしいくらいに次々と浮かんでくる。粒も小鳥用には大きく(同じ倍率なので左のものと比較されたい)、そのままでは使用しがたいような気がする。白ければ良いというものでもないのかもしれない。

 今度通販で、「白ボレーを丁寧に洗浄し、高温乾燥させた商品です」というのを買ってみようと思っているが,気に入らなければ、作業自体は簡単なのでBにして利用しようと思っている。2000年秋。を作って


2、新飼料の試用報告

 私は「研究者」ではなく元来保守的な飼育者なので、問題が起きない限り、新しい事には手を出さないつもりだが、ペレットというのはうまいのか、アマランサスやキヌアといった新穀物をどのように食べるのかは試してみたいと思っていた(人間が食べても文鳥が気に入るかはわからないので、自分で食べるようなことはしない)。もし我が家の文鳥連が気にいればおやつに出来る。ペレットなど本質は同じ小麦粉の練り物だが、砂糖の入った人間用のビスケットより健康的には違いないのだ。
 そう思っていたら、新興住宅地(横浜市港北区)の東急百貨店という、普通なら、私はおよそ立ち寄る機会のなさそうなところに、偶然アマランサスとキヌアが何気なく売っているのを見つけた。
新興住宅地の住民はこういったものがお好きらしい。

 キヌアは「キヌアンデス」と商品名がつけられている。アンデス地方原産だから・・・。ペルー産殻むき240g。一方のアマランサスはアメリカ産穀むき350g。値段は忘れてしまったが、どちらも500円ちょっとだったと思う(メモ紛失)。アマランサスは安いと思った記憶がある。
 ラウディブッシュ社のペレットの小袋(メンテナンスタイプ「フィンチ用」250g)も700円程度で買ってきた。どう考えても、誰が何といっても、これは絶対に原料コストから類推して高すぎるが、とりあえず仕方がない。ものは試しである。

アマランサス キヌア カナリアシード・キヌア・アマランサス

 三種類のものを半月型の餌入れにそれぞれ入れて、夜遊びの時間(放鳥タイム)にどれを食べるか観察しようと考えた。キヌアには草むらのような強烈な臭いがあり、アマランサスは粒が非常に小さく、ペレットは不整形でゴツゴツしているのが印象的だ。
 文鳥たちは、はじめ横目で様子をうかがっていたが、キヌアはかなりの文鳥が一度はかじった。しかし継続しては食べない。クルとガブは何粒か食べているが、うまそうというより、
クセのある食べ物で後をひいているといった食べ方だ。アマランサスをかじったのは二、三羽。小さくて餌だと思わないのかもしれない。ブレイが何回かつついていたが、こだわるほどでもなく遠ざかっていく。ペレットは誰も食べない。あまりかじりもしない。見た目が悪いのだろうか。

 せっかく買ってきたの・・・。二、三日たっても状況は変わらず、むしろ関心がなくなって近づきもしない。どれも特別うまいものではないらしい。主食となるべきものなら、おやつのようにはいかないのも当たり前かもしれないが、カナリアシードのように喜ぶのではないかと思っていたのだ。これは完全に認識が甘かった。仕方がないので、今度は三種類をさじに一杯ずつ混ぜて、それぞれのカゴに常設してみる事にする。
 しかしほとんど食べない。カナリアシードばかり食べる偏食傾向のあるオマケが、ペレットやキヌアをつまんでいる気配はあるが、目に見えるほどの量ではない。そういえばオマケの養子先であった姉宅は、ろくに青菜も与えなかったので、
いっそペレットにしたら良いと薦めた事がある。ところが値段を聞いたらこのアホ主婦は「ゲェ〜、たっかーい!」と一言であった。腹立つが、現実はこんなものである。こうした人物に、日割りで30円以下と言っても「配合餌は1袋200円」という前提は動かないのだ。
 その他は・・・、ゴンが少しかじった以外には食べている痕跡すら見出せない。

 もったいない。毎朝あまった配合餌をバンバン捨ててしまうものの、本当はケチな私はがっかりした。しかしペレットに少し慣れさせたいので、めげずに今度は少し砕いて夜遊びタイムのおやつに並べておいた。・・・少し見るだけでかじろうともしない。我家の文鳥連はペレットを受け付けないことに決めたらしい。もはやそれを食べなければ餓死する状況に追いこまない限り、口にしないに相違ない。しかし、そんな事までする理由はどこにもないので、実行しない。はじめから何の問題も起きていない自然食から加工食に主食を切りかえるつもりなどはないのだ。

 結局慣れなのだと思った。無理に慣れさせる必要もないので、我が家では三つともにほとんど無駄にしてしまった。
 キヌアやアマランサスといった穀物もヒナの時から食べていれば、配合餌に混ぜても喜ぶかもしれないが(ただしアマランサスは粒が小さすぎて他の穀物と混ぜるのには不向き)、カナリアシードほどの嗜好性はないようだ。

 350gのアマランサスがだいぶ残ってしまった。キヌアをすり潰して十姉妹のヒナに与えたところ、体格が立派になったとのお話を以前うかがったので、そうした利用法で有効活用したいところだが、あいにく我が家では今年は繁殖を見合わせるつもりでいたりする。それでも産卵は避けがたいので、栄養に粟玉ならぬアマランサス玉を玉子をまぶして作ってみようかと思っている。おそらく栄養面では無敵だ。

 と、2000年の夏に実際に利用してこういった感想をもったのであった。


1、ペレットについての見解補足


 某HPに野生動物を飼うならその自然の食性にあった生餌を用意出来るかが問題だといった主張があり、私はその文章のとげとげしさは別にして、趣旨に多いに共感したものであった。しかし、お飼いになっている文鳥には生餌(自然食)ならぬペレットをお使いらしいので、不思議に思って感想ついでに質問してしまった。
 当然「ペレットを使うのは手抜きだからいけない」などとは一言もいっていないし、そんな気持ちは微塵もないのだが、『文鳥団地』をしっかりと点検されたらしいその管理人さんは、そのように非難されていると一方的に認識して怒り狂ってしまわれたようだ。頂いたメールは幼児性丸だしで論理矛盾に満ち、ヒステリックで面白いものとなっていた(二度目のメールで絶縁宣言を受けた)。その中で、私が
ペレットは「必要ないから使うな」と他人を「指導」するのはおかしいとおっしゃるのだ。現在配合餌で健康ならばペレットに切りかえる必要はないし、将来的にペレットを普及しないものとの予測は書いたが、使うなと指導した覚えはない。一体誰に指導できるのだろうか。どうもその管理人さんは「マスコミ関係や獣医関係の仕事もして一般の飼育者でないので甘えは許されない立場にある」(あくまで自称だが、どんな仕事をしていようと飼育者は飼育者でしかないと私は思う)ので、ご自身のホームページに君臨し掲示板に集まる人々を指導監督をしなければならないと自覚されているようなので、指導するのは当然だと考えていらっしゃるようだ。しかし、私は飼育法はいろいろな情報から個人個人が選択して自己流を作り出せば良く、その結果は個人個人が背負うのが「甘えのない」民主主義というものだと思っているので、根本的に認識がずれている。はじめから指導などする気はないし、さらに言えば世の中に指導できる人間などがいないと思っている。
 なぜなら国で定めた飼育法などないし、獣医さんが統一見解をまとめた話も聞かない。第一そんなものがあって、個人に強制されれば民主主義とは言えない。その管理人さんは無邪気に
「(飼育について)物理的・法律的責任がとれる方はたくさんいらっしゃいますよ」と思いこみ、「あんまりヒドイ(飼育法をHPで書いていると)と法的な規制が入るのも時間の問題ですよ」と、およそ非民主主義な仮想現実にひたっているようだが、個人の意見を統制するのを言論統制として基本的に民主主義の国ではありえないのは小学生でも知っているし、獣医さんや何らかの資格のある人は、その資格の範囲内で、例えば獣医さんならその治療行為のなかで責任を持つだけで、個人のペットの飼育法を指導する権利も義務もなく(唯一昭和24年制定の獣医師法の第20条に、「衛生管理法」と「保険衛生の向上に必要な事項」を指導しなければならない、とあるのみだ。これは予防接種の普及や犬の放し飼いなどを念頭に入れての一項であるのは明らかで、小鳥の飼育に拡大解釈できるものではない)、公(職業)私(一般生活)をわけて考えるべき事は中学生でも知っていることだと思う。結局民主主義とは自己責任の厳しい世界である事は、本来誰もが知らねばならぬ現実なのではなかろうか。一体医療事故ばかり起こす医者をお医者様などと崇め奉って信じきってしまう時代はとっくに終わっているのを肝に銘じるべきではなかろうか。

 と、かなり脱線した。ともあれ、その某管理人さんほど強烈ではないにしても、文章上の誤解があるといけないので、ペレットについて個人的な見解を少し補足しておきたい。

 確かに私は自然のもので栄養が足りるなら人工の加工食を使う必要はないと思っているので、基本的に文鳥にはペレットは必要ないと考えている。
※ もちろん文鳥の食べる輸入雑穀はどれほど安全な代物か怪しいものだが、これはペレットも同様で、食品の安全など『雪印』騒動でもわかるように測りがたく、気にしだすと何も食べることが出来なくなる問題なので、ここでは考えないでおく。
 
ただ、それはつぶ餌で健康である限りの話で、好き嫌いが激しかったりするようなら、ペレットを活用すべきだと思っている。しかしそれはあくまでも症状に対する対処としての使用、つまりは治療行為に限られた話で、やはり一般性はないものと思う。過去300年以上にわたってアワやヒエで日本の文鳥は生き、繁殖し、さらに現在ほとんどの人が問題なく配合粒餌で飼育をしているにも関わらず「ペレットにかえるべし」とするのは、暴論以上にこっけいだと思う。

 大型インコ系のHPにペレットを詳しく調べられているものがあるので参考にすると、ペレットの必要性は脂肪分過多の防止にあるらしい。ひまわりの種や麻の実は軽く20%以上の脂肪分があるので、そればかりでは問題が起きるという問題意識がペレットの需要につながっているというのである。
 これを文鳥に適用するとどうだろう。ほとんど唯一普通に手にはいるラウディブッシュ社のペレットの脂肪比は7%、対する配合餌、最も脂肪分が多い印象のある『カスタムラックス文鳥専用』で6.85%とある。まったく変わらないと言って良い。ようするにダイエットという面からは、このペレットの利点は見当たらない事になる。つまり
大型インコ類と小鳥ではペレットの位置付けは別もののはずだ(『文鳥の系譜』で書いた某動物病院は「飼鳥」をすべて同じように考えて指導してくれているものと思われる)。

 ペレットは小麦粉やトウモロコシ粉などに各種のビタミン類を添加して練り合わせたものなので、基本的にはこれのみでも栄養面での心配は要らないものと思われる。従って私は小鳥屋さんで使用してもらいたいのだが、コスト面で使用するところはまずないのが現状だ(「使用しているところが増えてきた」などという人がいるが、何でも高く売りたがる百貨店などでも使用されておらず、私はいまだに使用店を見た事がない)。
 一方で、コストの面では青菜を用意しないで済むので、一般家庭で少数飼う場合、大幅な違いはないとの指摘があった。これは首肯できる。確かに鳥だけのために野菜を買っていれば、かなりの出費となるはずだ。しかし、果たしてペレットで飼育する人が青菜を与えないかは疑問であろう。ペレットの上に青菜、ボレー粉、塩土、さらにはビタミン剤にヨード、とやっているような気がする。それでは何のためのペレットかわからず、人情としては理解できるものの、理屈としては無意味な行為といわざるを得ない。
 つまり、本来文鳥を飼う人でペレット使用が必要な人は、
文鳥自体に問題がない場合、少数の飼育で、かつ飼主が野菜嫌いで、かつ大変にお忙しいというケースか、簡便性を優先する合理精神の持ち主に限定されるものと思う。そうしたタイプの人はライフスタイルに合わせてペレット使用という自己流の飼育法をとるのに何の不都合もないが、しかしそれが大勢を占めることはないと私は思う(ただし実際に文鳥で当該のペレットを使用する場合、それを飼主が砕いて与えなければならないらしいので、現状では合理性も疑わしい)。

 さらに気にかかるのは、現在のペレットが文鳥飼育が極めて低調らしい(文鳥専門のホームページは検索できなかったようだが・・・)アメリカの会社(ラウディブッシュ社)の製品である点ではなかろうか(他に存在しても、流通していなければ意味はない)。何でも舶来なら良いわけでもなく、逆に国産なら安全とも思わないが、競争がなく一社が独占しているというのはかなり危うい状況と思われる。これでは消費側に選択の余地がなく、生産側も競争がなければ商品開発もなかなか進まないものと思われる。
 第一、あのペレットが文鳥向きに開発されたものではなく、製品開発にあたってはインコで実験したというのは周知の事実で、それを現在のところ大型インコから文鳥まで同じ中身のものを大きさや形態を変えて売っているだけと言う不自然さを伴っているのだ。これを細かな配慮がなされた文鳥の食品とは到底考えられないのではなかろうか。

 考えれば、考えるほど、現段階で文鳥飼育にペレットを使用することは一般性を持ちがたいと判断せざるを得ないと思う。むしろ誤解を恐れず正直に言えば、今のところは、その必要のない限り、なるべく使用しないほうが無難な気がする。


戻る