「DOG'S MESSAGE」

ハ チ か ら 一 言(Part86〜最終回)

2007年5・6月合併号掲載分(Part86)

あの子の分まで

 みなさん、こんにちは!お元気ですか?
 前にもちょっとお話したけど、御主人様は今、かわいそうなワンコやニャンコが連れて来られる職場に勤めているの。きょうは、その引取り日。あるおじいさんが老猫を持ち込んだんだって。御主人様が理由を聞くと、老人ホームに入所することになり、一人暮らしだから、この子の面倒が見れなくなる。知人に飼ってくれる人を捜したが、見つからなかった。置き去りにして食べ物がなくて、ひもじい思いをさせるくらいなら、行政に持ち込んで、すぐに死なせてやりたい。と言ったそうなの。老人が帰ったあと、残されたネコを見に行くと、フーフー、シャーシャー言って威嚇することもなく、まるで自分の運命がわかっているかのように穏やかだったんだって。
 御主人様は言いました。「ハチ、人間はいいよね。歳をとって自力で生活できなくなれば、誰かが面倒看てくれる。ワンコやニャンコは世話をしてくれる人間がいなくなれば、人間の手で殺されてしまう。無情だね。」悲しそうな御主人様の目を見てると、私まで辛くなってしまう。
「あの子の分まで長生きするんだよ。」そんな日には御主人様は涙をためて、必ず私や猫らに言います。御主人様の辛い気持ちは、私が受け止めるよ。そして、1つでも不幸な命が減ることを御主人様と一緒に祈っているわ。

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2007年7・8月合併号掲載分(Part87)

いつだって精一杯

 みなさん、こんにちは!お元気ですか?
 私は今、慢性の膀胱炎で毎日お薬を飲んでいるの。副作用を心配した御主人様は、獣医さんに「このお薬、ずっと飲み続けて大丈夫なんですか?」と聞いたら、「3年は飲み続けても問題ないという検証結果があります。3年経てばハチも15歳だし・・・」・・・が何を意味するのか何となくわかってしまって、御主人様は落ち込んだんだって。
 このごろは足の調子も徐々に悪くなってきて、この間はウンコしてる途中で踏ん張りがきかなくって、転んでしまったの。ちょうど通りがかった近所のおじさんに「だいぶ弱ってきたなあ。」って言われてしまって御主人様はまた悲しそうにしてた。実家のおばあちゃんにも「私と一緒で歳をとればみんなこうなるのよ。」って言われてまたまた寂しそうな顔の御主人様。“頭の中ではハチが歳をとっていくことを当然のことだって理解していても、ハタから言われると、なぜか落ち込んでしまう。心のどこかで認めたくないと思ってる自分がいるんだ。ごめんね、ハチ。”わかってるって。でも、私は落ち込んでなんていないよ。だって、いつだって精一杯生きてるんだもん。いつも御主人様の傍で笑っていられるようにがんばってるんだもん。だから御主人様、悲しそうな顔しないで。御主人様が笑顔で見ていてくれるだけで、私はうれしいの。体は歳をとっても、御主人様を思う気持ちは仔犬の頃からちっとも変わってないよ。

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2007年9・10月合併号掲載分(Part88)

守って守られて…?

 みなさん、お元気ですか?ハチです。
 「ねえねえ、ハチ!すごい事に気がついたの。」散歩の途中で、お母さんが突然私に向かって言いました。「ハチは家に居て、ずうっと私のそばに居てくれるんだよね。ハチはお父さんみたいに残業や飲み会なんてない。家に帰ればハチが必ず居てくれて、毎日一緒に寝て、一緒に目覚める。ハチがそばに居ないことなんてない。それってすごい事なんだよね!」へ!?お母さんったら、今頃そんなことに気づいたの?そんなの当たり前でしょ。
私はお家を守って、御主人様たちを守ってと日夜がんばってるんだから。「ハチは玄関のチャイムや電話が鳴れば教えてくれるし、猫らとも一緒に遊んでくれる。ハチと一緒に居ればちっとも怖いことなんかない。ハチ、ほんとにいつもありがとう。」
 あらためて言われると、照れるなあ。仕事が終われば、猛スピードで帰って来てくれるお母さん、体調が悪いときでもがんばって私のためにと散歩してくれるお母さん。お互いがお互いを守るために、毎日一所懸命生きてるんだよね。私これからもがんばるよ。
 お母さん、いつもありがとう。

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2007年11・12月合併号掲載分(Part89)

左足が痛くて散歩できないの

 みなさん、お元気ですか?ハチです。
 突然ですが、私、左足が痛くて地面に着けなくなってしまったの。御主人様が急いで獣医さんへ連れて行ってくれました。「ハチはレントゲンを見ても関節には問題ないようだから、背骨の一部が老化による石灰化で神経を圧迫しているのかもしれないね。腫瘍の可能性もないとはいえないけど、もしそうだとしても、この年齢では手術はしないほうがいい。しばらくは散歩をお休みにして、痛み止めを飲んで安静にしていてください。」だった、「ハチ、ごめんよ。今まで散歩のときに時々嫌がって行きたくないって言ってたのは、わがままじゃなくて足が痛かったんだね。ハチが歳をとって足腰が弱くならないようにと思ってたのが、反対に悪い足に負担をかけてしまったんだね。僕らのせいで・・・ごめんよ。」
 御主人様の気持ちは良くわかってるよ。だから落ち込まないで。足は痛いけど、私はこんなに元気だよ。それよりも私は御主人様のほうが心配なの。体重が30kgもある私を毎日抱き上げたり、降ろしたり、トイレの介助してくれたり。腰を痛めないか、すごくハラハラしてる。散歩しなくなった分、運動量が減って、余計に太りやすくなるから、気をつけなきゃ。御主人様に負担をかけないためにも、少しでもやせないとね。あー、でも元気だからお腹はすくのよねえ。困ったわ。

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2008年1・2月合併号掲載分(Part90)

今まで通りの散歩でいいよ!

 みなさんこんにちは!お元気ですか?
 以前にお話したけど、私、左足が痛くてびっこ引いてるけど、元気です!
 何かこのごろもどかしいんだよね。すごく元気なのに、ちょっと歩くと足が痛くなっちゃう。悲しいわ。
 そんな私を見て御主人様は、散歩のときいつも言うの。「ハチの行きたいところへ行っていいよ。ついていくからね。でも、無理しちゃダメだよ。歩いて帰れる範囲だよ。」って。う〜ん、そう言われても困っちゃう。だって今までは、散歩のコースといえば全部御主人様の言うとおり。時々私が“たまにはこっちに行きたいんだけど。”って目で訴えても、「ダメだよ。こっちに行くんだから。」って感じだったの。でも、御主人様は毎日散歩の道を替えてくれるから、いつしか私も、“今日はどのコースへ連れてってくれるんだろ?”ってワクワクしてたの。それが、急に私の行きたいところへ行っていいよなんて………。だって、この歳(12歳)になるまでこんな風に言われたこと一度もなかったもの。
 やっぱり御主人様、連れて行ってよ。私の足がどれくらいまで歩けるか、私がどの道を歩くのが好きか、一番わかってくれてるのは御主人様でしょ。私は今までどおりが一番いいの。

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2008年春号掲載分(最終回スペシャル)

さようなら!ありがとう!

 みなさんこんにちは!お元気ですか?
 春は旅立ちの季節だよね。突然ですが、私も今回を持って、このコーナーから卒業することになりました。96年12月号で初めてみなさんにお目にかかって、翌97年6月号から足かけ12年。ほんとに長い間ご愛読いただいて、ありがとうございました。
 私、このコーナーを通じてすごくたくさんのお友達ができた気がするの。
 私たちワンコは、いつも大好きな御主人様のために一所懸命生きてる。そのことが私の一言から、みんなの御主人様にも伝わってくれてるとうれしいです。
 それと、みんなの御主人様へ、最後にハチから一言お願いがあります。それは、“大好きだよ”って言葉を、いつもワンコに言ってあげてください。私たちワンコにとって一番うれしくて、幸せな気分になれる言葉だと思うの。
 私も今年で13歳。これからも御主人様とまったり静かな時間を過ごしていこうと思っています。
 みんなへ、またどこかで見かけたら、声をかけてね。“みんな、大好きだよ!”
(飼い主からも一言)
 素人のつたない文章を読んでいただいた読者・編集部の皆様、長い間本当にありがとうございました。現在は、ハチがおばあちゃんになった分、以前よりも時間がゆっくり過ぎている気がします。これからもハチの体をいたわりながら、仲良く暮らしていこうと思います。
 皆さんもワンコもいつまでもお元気で。

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