●同窓会の社会的役割

 

同窓会顧問(第八代校長)浅子 昭三

 

 同窓会は同じ学びやで生活した者の親睦を深めることが基本だが、それだけでは従来の同窓会のやや私的な活動に留まる。わが九品仏小学校同窓会は、この基本的活動を進めるための、名簿の整備は役員の奉仕によって他に類を見ないまでに完備した。そして現在同窓生は公的な仕事にそれぞれ積極的に参加し、地域の諸々の団体と連携して、社会的奉仕活動を着実に実施している。戦前は多かれ少なかれ、地域は「向三軒両隣」的連携で地域の弱い立場の人達を見守ってきた。しかし豊かさを求めた日本社会は、その目標をある程度達成はしたが、反面人間関係が希薄になり、地域の教育力が低下し、今や子供達を取り巻く環境は深刻である。わが同窓会はこの状況を憂慮し、同窓会長等の呼び掛けで、子供の人権を考える勉強会を発足させ、参加者はオープンで毎月第三土曜日の会はすでに三年目になっている。子供を守る組織は沢山あるが、あくまでも組織は点であり線である。これを面として真に子供の心に寄り添って、子供を見守れるのは、この地域・学校で生活を共にした同窓会員であり、名利を離れた郷土愛と地の塩の如き同窓会を軸とした活動だと自負する。これからの同窓会は、地域の学校の諸様態に広く関心をもち、子供を中心とした地域社会の発展に貢献する社会的役割があるものとの認識をもって、九品仏小学校同窓会は現在活動を続けている。

 

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