10年にも及ぶ大河ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」。これだけ長く続くと、様々な疑問点が出てくる。ここでは僕が個人的に不思議に思ったことと、それに対する僕なりの答を書いてみたいと思う。


今回は前シリーズと比べて「性格が変わったのでは?」と思われる3人の登場人物を取り上げたいと思う。

なぜ武志(岩渕健)の妻・佐枝(馬淵英理何)は上品になったのか?
第四部で武志と結婚した佐枝。前シリーズでは茶髪のパーマに派手な化粧と服装、言葉遣いも乱暴な女だったのに、今シリーズでは外見は普通になり言葉遣いも丁寧になった。一体なぜ?

@子供が生まれて、母親としての自覚が生まれたから。
A世話になっている自動車修理工場長の奥さんに礼儀作法を教わったから。
B橋田先生が「ヤンキー言葉を書くのは面倒くさい!」と乱暴な言葉を使わないで済むように、役の性格を変えてしまったから。

僕はBが正しいと思います。


なぜ由紀(小林綾子)は長子(藤田朋子)夫婦を快く思わなくなったのか?
前シリーズでは、常子にいびられていた長子を守り、いつも長子の味方だった由紀。しかし今シリーズでは長子夫婦をあまり良く思っていない様子。常子が長子たちから誕生日プレゼントを貰えば「兄さんたちは大阪の家に帰りたがっているに違いない。そんなプレゼントに騙されないでよ!」とイヤミを言うほどになってしまった。なぜ?

@あまりに病院が忙しくて、人を思いやる気持ちが薄くなってしまったから。
A勤務医の英作や実家に住んでいる長子がお気楽に見えて、羨んでいるから。
B自分の結婚式に、長子が留袖でなく黒いスーツで出席したことをまだ根にもっているから。

僕はBが正しいと思います。


なぜあかり(山辺有紀)の姑・満枝(木の実ナナ)は冷たくなったのか?
前シリーズでは、竹を割ったような、さっぱりした性格だった満枝。嫁のあかりにも暖かい態度で接していたのに、今シリーズでは少し冷たくなった様子。初孫の誕生にも、一度病院に来ただけ。あかりの世話は弥生や良に任せて、自分は梨作りに出る始末。しかも病院代も弥生たちに払わせてしまう。なぜこんなに変わったのか?

@水耕栽培を巡る和夫(倉田てつを)との対立が、満枝の心を刺々しくしているから。
A昔、あかりがAVまがいの深夜番組に出演したことを知ってしまったから。
B21世紀になったのに「20世紀梨」のままでいいのか、真剣に悩んでいるから。

僕は...全部違うと思います。

(2001.1.22更新)

なぜ葉子はそんなにモテるのか?
岡倉家の5人姉妹の中で、唯一独身の葉子。かつての恋人・太郎は今だに葉子のことが忘れられないようだし、宗方(井上順)は正式に葉子にプロポーズ。さらにタキの息子・久光も葉子に好意を持っているようだし。なぜ葉子はそんなにモテるのか。この疑問の答としては...

@好きな仕事に打ち込んでいる葉子の姿に、みんな魅かれてしまうから。
A5人姉妹の中で、恋愛の悩みを抱えられるのは唯一独身の葉子だけだから。
B本当は太郎も宗方もドラマ展開上「用済み」であり、仕方なく「葉子好き」という役割で出
演させてもらってるだけ。

僕はBが正しいと思います。


なぜ「そんな馬鹿な」という設定が多いのか?
葉子は別れた恋人の母親と同居するし、健治は久子と別れた後、女房の実家の店である「幸楽」を手伝うなど、普通に考えたら「そんな馬鹿な」という設定が多い「渡鬼」。なぜか?

@人と人との繋がりは、婚約破棄とか離婚とかで簡単に切れるものではないから。
A常に新しいホームドラマを目指す橋田先生の新たな試みだったから。
B草笛光子や岸田敏志を無理矢理出演させているため、結果変な設定になってしまった。


僕はBが正しいと思います。

(2001.1.3更新)

なぜ「死ぬシーン」がないのか?
「渡鬼」ではドラマ中で6名の方がお亡くなりになっている追悼抄参照)。しかし何故か「死ぬシーン」というのは一度もない。最初に亡くなった幸吉(佐藤英夫)も病院からの電話で亡くなったことが分かるし、他の人も同様である。ドラマでは一番の見せ場である「死ぬシーン」を、なぜ橋田先生は描かないのか。この疑問の解答としては...

@ドラマ上の人物とはいえ愛着があり、死ぬシーンを描くことは辛いから。
A「死ぬシーン」でドラマを盛り上げることを潔しとしないから。
B長セリフを書くことが大好きな橋田先生にとって、「死ぬシーン」は「泣く」というト書きばかりでつまらないから。


僕はBが正しいと思います。


なぜ「海外」というとハワイかニューヨークなのか?

大吉の姉・珠子(森光子)が住んでいるのがハワイ。葉子が元夫の洋次(唐沢寿明)と新婚生活を送ったのもハワイ。その洋次は葉子と別れた後、ニューヨークへ。ニューヨークには久子(沢田雅美)・健治(岸田敏志)家族が住んでいたことも。節子が亡くなったのもニューヨークだった。最近ではタキ(野村昭子)の息子・久光(榎木孝明)がインドに放浪するなど例外はあるものの、「渡鬼」で海外というとハワイかニューヨークである。なぜか。

@「渡鬼」は「日本の今という時代」描くホームドラマであり、海外の都市名に特にこだわりはない。
A多くの視聴者が必ず知っているだろう都市名にしただけ。
Bいつかハワイやニューヨークのシーンを書いて、ロケに付いて行こうという橋田先生の大きな野望のため。


僕はBが正しいと思います。


本当に「幸楽」は忙しいのか?
いつも忙しい「幸楽」。営業中に五月宛ての電話がかかってこようものなら、「この忙しいときに...」とキミの嫌味が始まるほど。でも第五部第7回では、客は3人しかいなかった。注意深く見ると「幸楽」の店が満席というのは滅多にない。本当に「幸楽」は猫の手を借りたいほど忙しいのか。

@お店の客は少ないように見えても、その分出前注文が多く厨房はやはり忙しい。
Aキミや聖子は喋ってばかりいるので、結果忙しくなってしまう。
B客が少ないのはエキストラ代をケチっているから。


僕はBが正しいと思います。

(2000.11.23更新)


なぜ太郎の母・政子(草笛光子)は葉子(野村真美)のマンションで暮らしているのか?

かつて葉子に太郎(船越栄一郎)との結婚を諦めさせた政子。本来なら敵同士であるはずの葉子と政子だが、今では仲良く一緒にマンションで暮らしている。マンションの資金は政子が出しているとか、太郎の妻・美智(一路真輝)と折り合いが悪いからなど、いろいろ理由は考えられるが、でも何故同居なのか。考えられる答としては...

@かつて強引に別れさせたことに対する贖罪の気持ちで、葉子の身の回りの世話をするため。
Aやはり美智との同居は苦痛でしかないから。
B葉子のマンションを出ていったら、草笛光子の出番も少なくなり、提供スポンサーの養命酒(草笛がCM出演中)が怒るから。


僕はBが正しいと思います。


なぜこのドラマの男たちは皆、脱サラするのか?

ついに会社を辞めた良(前田吟)。良の他にも会社を辞めて独立した男は多い。大吉(藤岡琢也)、亨(三田村邦彦)、五月の義弟・健治(岸田敏志)など。良の退職で、このドラマには「普通のサラリーマン」はいなくなってしまった。英作(植草克秀)は医者だし、太郎は社長だし。なぜこのドラマの男たちは皆、サラリーマンを辞めてしまうのか。この疑問の解答としては...

@終身雇用制の崩壊により、会社に一生縛られる時代は終わったから。
A脱サラした男を支える妻や子供たちの姿を描くため。
B橋田先生が「次の展開を書くのに、定年まで待ってたらアタシの方が先にくたばっちゃうよ!」と思ったから。


僕はBが正しいと思います。


なぜ岡倉家の人たちは皆、「資格」好きなのか?

大吉の調理師、葉子の一級建築士に続いて、文子(中田喜子)も旅行業務取扱主任者の資格試験に挑戦。考えてみれば、弥生(長山藍子)も正看護婦の資格を持っている。なぜ岡倉家の人たちは「資格」好きなのか?考えられる答としては...

@これからの時代は何か「資格」を持っていた方が有利であるから。
A「資格」好きというより、やりたい仕事に「資格」が必要だから。
B勉強で家事が疎かになるなど、新たなトラブルの種となってドラマが盛り上がるから。


僕はBが正しいと思います。

(2000.11.4更新)


なぜ聖子(中島唱子)は田島周平(岡本信人)と結婚しても「松田」姓なのか?

前回の特番スペシャルで結婚した「幸楽」従業員、田島周平と松田聖子。当然聖子は「田島」姓になるはずなのに、配役クレジットでの中島唱子の役名は「松田聖子」のままである。他の役名は劇中で結婚や離婚をすると、それに対応しているのに、なぜ聖子は「松田」姓のままなのか?考えられる答としては...

@橋田先生が「これからの時代、夫婦別姓は当たり前」と思っている。
A実は2人はまだ籍を入れておらず、それが今後の展開に影響していく。
B単純に橋田先生が歌手・松田聖子が嫌いなだけ。(劇中の聖子は本当にイヤな女)


僕はBが正しいと思います。
ちなみに葉子(野村真美)も竹原洋次(唐沢寿明)と結婚した後も、役名は「岡倉葉子」でした。後の離婚を予想していたのでしょうか。


なぜ常子(京唄子)は毎週のように東京へやって来るのか?
大阪に住む英作(植草克秀)の母・常子は毎週のように東京に住む英作夫婦のところへやって来る。「今日は東京のホテルで学会があったさかい、ついでに寄らしてもらいましたわ」とか「今日は東京で結婚式がありましてな、ついでに顔見に来ましたんや」等、一応もっともらしい理由はあるが、「ついでに寄った」が多過ぎるのでは。毎週のように東京と大阪を往復してたら、交通費も馬鹿にならないと思うのだが。この疑問の答としては...

@英作夫婦というより孫娘の日向子の顔が見たくて、何かと理由をつけて東京へ来てしまう。
A現実の医療の世界は東京中心であり、地方の医師は東京へ出張することが多い。
B単純に京唄子が「自分の出番を多くしろ!」とウルサイ。


僕はBが正しいと思います。


第三部と第四部とで、周平の好みの女性のタイプが違い過ぎるのはなぜ?
再び周ちゃんネタ。第三部で同じ「幸楽」従業員だった明子(西部里菜)に惚れた周平。明子は周平と親子ほど年の違う美少女。そんな女の子に本気で惚れて、夜食を作ってあげたりお金を貸してあげたり。結局この恋は明子にマンガ家志望の青年という恋人がいたことで破局を迎えた。そんな失恋にもめげず、第四部で惚れた相手がなんと聖子だった。明子と聖子では外見があまりに違い過ぎる。いったい周平の好みの女性とは?考えられる答としては...

@明子も聖子も働き者。外見じゃなく一所懸命に働く女性が好み。
A女性と知り合うチャンスが無く、結果同じ職場の女性に惚れてしまう。
B橋田先生にとって周平の好みなどどうでもよく、単純にそういうキャスティングだったから。


僕はBが正しいと思います。

(2000.10.23更新)

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