フライパンで作る釜炒り茶(2009.5)


 このページは「電子レンジで作る緑茶」の姉妹ページです(笑)
お茶摘みに関しては、そちらをご覧下さいね→電子レンジで作る緑茶
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 ワタクシ、子供の頃に母親の実家で飲ませてくれるお茶が大好きでした。
 自分の家で飲むお茶よりも数倍美味しく感じたのです。
 実はそのお茶、おばあちゃんの手づくりのお茶でした。
 カヲルばあちゃんは当時、九州の熊本県で1人暮らしをしていて、自分の飲むお茶は自分で作っていたのです。
 (そのお茶の葉っておじいちゃんのお墓参りに行ったついでにお墓の横に生えてる茶を摘んでたものだと後で知りましたケド^^;)

 ある時、あまりに褒めちぎったので気を良くしたおばあちゃんが三重へ郵送してくれたのに、郵便事故で届かなかった事がありました。
 郵便局はお詫びと言って、静岡の高級茶を持ってきたので母親が喜んで受け取りましたが、小さなワタクシは全然嬉しくなかったのを覚えています。
 だって、頂いたそのお茶は苦くて美味しいと思わなかったんですから。
 大人になってから分かったのですが、どうやらその味の違いは、作り方が関係してるようです。
 静岡も三重も緑茶の産地。蒸して作る製法が一般的。
 でも、おばあちゃんのお茶は炒って作るお茶、「釜炒り茶」と呼ばれるお茶に近いものだったんです。
(実際の釜炒り茶は、いろいろと製法が複雑なようです)
 炒るので、すこしほうじ茶に似た味がします。
 でも、番茶でなく新芽で作るお茶なので味が濃いというか、ちょっと深い感じなのですよ。
 

 今、カヲルばあちゃんは両親と三重県で暮らしています。
 そして春になると、母の(ばあちゃんにとっては娘)わらび採りに付いて行って、荒地に生えている茶の木を見つけては新芽を摘んできます。
 そんなだから、今ではシーズンに1〜2度だけ、茶筒ひとつ分程度しか作れなくなってしまいました。
 こんな言い方はマズイかもしれませんが、おばあちゃんの元気なうちにその作り方、教えてもらわなくっちゃ!

そんなわけで、カヲルばあちゃん直伝のお茶、お教えします。

 先に言っておきますが、この時にワタクシが作ったお茶はちょっと失敗しています。
 でも、手順だけは分かると思うのでメモのつもりで読んでください。

@茶摘



 一心二葉または一心三葉で、
若芽だけを摘みます。


この時の茶葉は、実母のわらび採り場(山菜採りも
長くやってると誰の山だとか、どこに何がある
とか網羅してるらしい)の横に生えてる茶の木から
いただきました。

野生化してクモの巣とかもあるので摘む時要注意。
でも完全無農薬。
Aフライパンで炒る



強火でパチパチと音を立てながら炒ります。
しんなりしてきたら、火からおろして軽く揉みます。
B弱火で炒る

軽く揉んだ後のお茶を、一度弱火で炒ります。

火からおろしたら、また軽く揉みます。

ここまでの工程を、実家でおばあちゃんと一緒に
行いました。
一度、家へ持ち帰って続きをします。


生葉の量からだと半分くらいになりました。
C陰干しする


 釜炒りも、日向で干す方法と日陰で干す方法が
あるそうですが、カヲルばあちゃんのお茶は
日陰干し。
 天気が良く、風もそよいでる日だったため
半日干せば充分と言われました。


午前中から始めて、この段階でお昼頃だったので、
夕方の日が蔭る前に家へ入れました。
Dとろ火でくり返し炒る


ごく弱火で焦がさないように、でも混ぜすぎないように
10分ほど炒ります。
レンジと違って端が粉になりやすいので、
擦り合わせる様にではなく、転がすように揉みます。
「とろ火で10分炒る→軽く揉む→茶漉しで漉す」
を、くり返します。
完全に乾いたらできあがりです!

カヲルばあちゃんは8〜10回くり返すそうです。

ワタクシは7回で終わりました。
というのも、横着して普通の弱火で炒った上に
フライパンから目を離したので、少し焦げた部分が
出来てしまったのでした。
●出来上がり量



出来上がりは、一度目の炒りの
さらに半分ほどになってしまいました。

この写真で分かるかどうかとは難しい思うけど、
左がカヲルばあちゃんのお茶で 右がワタクシ作のお茶。
  
左はちょっと茶色がかった緑色の均一な茶葉。
右のワタクシが作ったお茶は、葉は粗いし焦げて黒っぽいのや緑色の部分とが混ざってます。
ばあちゃん曰く「昔は大きな釜があって、煙を出しながらたくさん作ったよ。上手に作ると、こんな色じゃなくて白っぽいきれいな色になる」との事でした。
へぇ?白っぽい方が良いお茶なんだ。

淹れてみるとこんな感じ。

緑茶よりも黄色っぽいお茶になります。
で、飲んでみるとやっぱりおばあちゃんのお茶みたいは美味しくありませんでした。
実は途中から、バラバラになるのがイヤで揉むのをやめてしまったんですよ。
だからかなぁ?味がなんだか薄いような気がしました。
揉むのが足らないとお茶の成分が外に出ないのかもしれません。


ワタクシの周囲には、濃い緑茶が好きな人が多いように思います。
煎茶は高級、ほうじ茶は安物。炒って作るお茶は香りは良いけど、お茶としては二流…というイメージが無くは無いようです。
でも、佐賀の嬉野で作られてるような本来の釜炒り茶は、ほうじ茶とは一線を画す高級茶のようですよ。
飲んだことのない人はぜひ、釜炒り茶を味わってみてくださいね。
「釜炒り茶」について知りたい人は、ココをお読みになるといいと思います→釜炒り茶フォーラム

カヲルばあちゃん直伝、釜炒り風のお茶はいかがでしたか?
作ってみたくなりませんか?
ワタクシは手づくりのお茶って憧れだったんです。
緑茶好きの方はレンジで蒸す方法で作ってみてください。

もっと簡単で手早く出来る、電子レンジで作るお茶はコチラ!→電子レンジで作る緑茶