10M イーサネットから 100M イーサネットへのアップグレードと統合
ネットワークを 100M イーサネットにするためには3つの重要なポイントがあります。
ケーブルの敷設
互換性のない実装
100M イーサネットのリピータ
不正なバイトコードの置き換え
データ翻訳
エラー処理と分割
ケーブルの敷設
ケーブルについて復習しておきます。100M イーサネットでは UTP で2つ、ファイバで1つの方式があります。
実装 | 種類 | 対の数 |
100BASE-TX | カテゴリ5 | 2 |
100BASE-T4 | カテゴリ3 | 4 |
100BASE-FX | ファイバ | 適用外 |
カテゴリ3では 100BASE-TX の信号は搬送されません。その場合は 100BASE-T4 を使うべきです。
100BASE-T4 ではカテゴリ5も使用できます。しかしその場合は、100BASE-TX を使う方がよいでしょう。
互換性のない実装
100M イーサネットは古い課題に対する新しい緊急解決策です。多くのネットワークで RJ-45 が使われています。
かつては、ジャックがイーサネットであるかトークンリングであるかを見分けるのは難しくはありませんでした。
両方が使われているサイトでさえ、紛らわしいことは滅多にありませんでした。つまりネットワーク管理者は経験に基づくカンを働かせることができたのです。
今日では、100 M イーサネットと 10 M イーサネットが点在し、10/100 のカードは一般的になり、
どの信号が流れているのかを簡単に調べるメカニズムが必要になっています。
このメカニズムは、IEEE 802.3u の 28 章に述べられています。
自動判別(オートネゴシエーション)は、エンドが反対側のエンドに向かって一連の信号を送り出すことによって働きます。
これらの信号はリンクの完全性を確かめるために 10BASE-T で使われるのと同じもので、従ってリンクインジケータが点灯します。
ステーションが一つの信号を受信し、通常リンク信号(ノーマルリンクパルス)− NLP であれば、
そのエンドが 10BASE-T だけを受け入れるということがわかります。自動判別において、ステーションが間隔を置かない連続した信号を送信したら、
それは高速トリンク信号(ファストリンクパルス)− FLP ということです。
FLP は 17 の同期信号からなります。16 ビットを1ワードとする 16 の信号パルスです。
信号パルスは二つのクロックパルスの間に発生し、そのビットを一つと数えます。信号パルスがない状態はゼロです。
FLP として受信された 16 ビットワードのコードを比較すると、ステーションと HUB とに、どのイーサネットが実装されているかがわかります。
16 ビットワードのコードにどのイーサネットがサポートされているかが書かれているからです。
ステーションと HUB は自分が何をサポートしていて、エンドが何をサポートしているかを比べ、
IEEE 802.3 の 28B.3 にある次の優先順位に従ってどの実装を使うかを選びます。
100BASE-TX 全二重
100BASE-T4
100BASE-TX
100BASE-T 全二重
100BASE-T
ステーションが、100BASE-T4、100BASE-TX、10BASE-T をサポートし、HUB が 100BASE-TX 全二重、100BASE-TX 半二重、
10BASE-T をサポートしている場合、互いに使用できるイーサネットの実装は 100BASE-TX と 10BASE-T であることがわかります。
100BASE-TX の方が 10BASE-T よりも優先順位が高いので、ステーションと HUB は 100BASE-TX を使用することになります。
これは両端で独立になされますが、両端とも同じ過程で、同じ優先順位に従うので、同じ決定がなされます。
このようにして接続の両端で同意ができるので、信号に互換がなくなるという潜在的な問題は回避されることになります。
100M イーサネットのリピータ
100M イーサネットにおいては、セグメント当たりに許されるリピータの数は1か2です。
1つまたは2つのリピータが使われるかどうかは、どのクラスのリピータが使われるかによります。
100M イーサネットではクラス1とクラス2の二つが定義されています。一つのコリジョンドメインにおいては、
クラス1のリピータは一つしか使えません。クラス2のリピータは一つのコリジョンドメインに2つ許されています。
この場合はリピータとリピータの間に5メートルまでの間隔が必要です。クラス1とクラス2には技術的な違いが一つだけあって、
それはクラス2のリピータの方が速いということです。クラス1のリピータは信号を伝えるだけでなく、100BASE-TX と 100BASE-T4 の変換を行います。
クラス2のリピータは一つの方式の 100M イーサネット間をつなぐことができるたけです。
しかしながら、リピータの数が少なくなるのと引き換えに、それぞれのリピータの機能は高くなりました。
10 M リピータの機能を持つことに加え、100 M リピータは、以下のことを行います。
不正なバイトコードの置き換え
旧来のイーサネットとは異なり、100M イーサネットは物理層を越えて、直接表現的な実際のビットを送ることはありません。
異なった方法で情報が送られます。結果として 100M イーサネット上では使われないパターンの生じる可能性が生まれます。
リピータが不正なパターンを検知したら、フレームが破壊されていることを示す特別なパターン(フレームに残っているパターンをすべて)に置き換えることになります。
データ翻訳
リピータに一つ以上のイーサネット実装があれば、
出口の実装にふさわしい符号に変換することができます。
100BASE-T4 と 100BASE-TX は、ネットワークを越えてデータを送るときに大きく異なる形式を使います。
100BASE-TX と 100BASE-T4 の両方が実装されているクラス1のリピータは、イーサネットの実装にふさわしい信号を送ることを要求されます。
エラー処理と分割
100M イーサネットリピータは、ポートの情報を監視します。欠陥からネットワークを守ります。
コリジョンが特定のポートで 60 回連続して検出されたら、リピータはそのポートを分離します。
そのポートから他のネットワークに情報を転送することは止めるが、他のネットワークからそのポートへは送り続けます。
そのポートに接続されているステーションが壊れてしまい、CSMA/CD のルールに従えなくなったら、トラフィックの流量を確保するために、
ネットワークから切り離される必要があります。しかしながら、非常に混んでいるセグメントならば、コリジョンが連続して 60 回起こるということはありえます。
従ってリピータはそのポートへ情報を送り続けます。リピータがコリジョンなしに 450 〜 560 ビットの情報をそのポートで検出したら、
リピータはそのポートを再び使えるようにします。有効なフレームが切り離されたポートから受信され、ハードウェアが動いていることがわかります。
40000 〜 75000 の連続したビットをあるポートから受けたら、
ケーブルの反対側の先のデバイスは、「ジャバー」が発生しているとみなします。切れ目のないビット送信です。
従ってそのポートからの出力は、他のネットワークから切り離されます。このような「ジャバー」デバイスは、
ネットワーク上のトラフィックを妨げることになります。他のステーションが送信することができなくなるのです。
ステーションが「ジャバー」を止めたら、リピータは再びそのポートを使用可能にします。
100BASE-TX と 100BASE-FX においては、リピータはトラフィックをモニタして、
有効なプリアンブルを持つフレームだけを通します。連続して「キャリア落ち」が生じるか、または「キャリア落ち」が、
450 〜 500 ビット続くと、リピータはそのリンクに対して「不安定」を宣言し、そのポートへの配送を止めます。
結果として、欠陥のあるリンクは他のネットワークから切り離されます。ネットワーク全体の信頼性が改善されることになります。
このようなリンクは、何の情報も受けることなしに 24814 〜 37586 ビット時間経つか、または、
64 〜 86 ビット時間分空白時間が存在した後で有効なキャリアを受けたときに、再び有効になります。