2004年5月16日のひとりごと(32号)
母親の苦しみを理解してほしい
今日、こんなことがありました。
今日はあいにくの天気、空は雨模様です。
そんな訳で、公園を初めとする外での遊びは難しく、考えた末、バスと電車に乗ろうということになりました。
このところ、りょうまはバスや電車に乗ることを楽しむようになってきています。そんな理由からも、訓練も兼ねての外出です。
いつものようにりょうまと2人で、バスに乗り込みました。
りょうまと長いすに座り、バスは走ります。しばらくすると、おじいさんが乗ってきたので、父は席を立ち上がり譲ろうとしましたが、おじいさんは奥へ行ってしまいました。
父は立ち上がったため、りょうまの前にそのまま立つことにしました。
このところ、りょうまは雄叫びを頻繁にあげるので周りの視線をとても感じます。
父はりょうまの前にりょうまの視線まで腰をかがめて大きな雄叫びをあげない様、あげそうになる度に、口元に軽く手を当て「し・ず・か・に・し・ま・す」と教えていました。
しばらくすると、先ほど父が座っていた席に、人が座りました。歳は50歳くらいの男性です。
しばらくするとりょうまは、雄叫びをあげてしまいました。父は先ほどと同じように、りょうまの目線でりょうまに教えます。
そして再び雄叫びをあげたとき、
「チッ!」
隣から舌打ちが聞こえたのです、それは明らかにりょうまの雄叫びに対する舌打ちでした。
父は、その男性に対し、謝りました。
「息子が迷惑をかけ、大変申し訳ございません。自閉症という障害で、状況判断が難しいのです。今バスに乗る訓練をしているのです。」
しかしその男性は、知らん振りです。
父はそのまま続けました。
「でも、舌打ちはやめてください。今後、このような場面に出会ったらそういう障害もあることを理解して、絶対にしないでもらいたいのです。」
相変わらず、その男性は知らん振り。
父はりょうまに言いました。乗客皆に聞こえるように。
「りょうま、障害者だって皆と同じなんだ!何も引け目を感じることなんてないからな!偏見になんか負けるなよ。がんばれ!」と。
そして、「もう少しだから頑張ろうな。えらいぞ!」とほめてあげました。
バスから降りると、父はりょうまをギュッと抱きしめてあげました。「えらいぞ!よく頑張ったね!」と。
降りたあと、りょうまと街中を歩きながら思いました。
残念ながらこんなことはきっと日常茶飯事、全国各地で起きている事なんだろう。
日中、自閉症児と長時間過ごす母親はどんな苦しみにあっているんだろう。
自分の様にこんなことを言い返せるのはほんの一握りの人だろう。ほとんどの人は言い返せず苦しい思いをするだろう。
ただでさえ、精神的にまいってしまっている母親に、世間からこのような仕打ちを受けたら、電車やバスや、外にさえ出ることが出来なくなってしまうのではないか?
そう考えると、母親へのフォローは絶対必要なんだとあらためて思う。
お願いしたいのは、
自閉症児の父親である人は、母親をもっともっとフォローしてあげてください。そして、母親が日常あっている苦しみを分かってあげてください。自分たちが思う以上に母親は苦しんでいるはずです。助けてあげてください。
そして、障害児(者)を家族や知り合いにもたない人は、この母親の苦しみを少しでも理解してあげてください。
光とともに・・・の放送で、少しでも理解者が増えてくれるのを期待するとともに、自分はこのHP上から少しでも理解者が増えることを微力ながら訴え続けるつもりです。
りょうま父は、絶対負けません。何があっても。。。
障害を持つことは恥ずかしくないぞ。安心しろ、りょうま!