2004年9月8日のひとりごと(36号)
決して一人ではないんだ。
このところ、皆さんから数多くのメールを頂きながら、仕事や体調不良などにより、なかなかお返事できない状況にありました。
現在は、体調の方は良くなっておりますが、仕事は相変わらずの状態です。とりあえず、体の方は復活です。ご心配をおかけしました。m(_ _"m)ペコリ
頂いたメールはしっかり読ませていただいております。本当にありがとうございます。とても嬉しいです。
そんな訳で今回のひとりごとは、なかなかお返事できない方々に対するお返事も兼ねています。
本来であれば、それぞれのメールに対するお返事をしなければならないところですが、この「ひとりごと」でのお返事をお許しください。
既に「Concept」をご覧頂いた方はご存知だとは思いますが、『そよ風の手紙』は、りょうまと父(そよ風親子)を中心として、その周りの多くの方々との日常を、「元気日記」で綴っています。
その日々のできごとの中で、皆さんに何かを感じてもらえたら、そして何よりも皆さんの“心の中のそよ風”になりたい、そんな気持ちで当HPを立ち上げ、その気持ちは今も変わりません。
「元気日記」や「ひとりごと」や「お出かけレポート」や「便りは風に乗って」などなど、それぞれが皆さんへのメッセージなのです。
その中の「mail」のページ。このページから、毎日のように皆さんからのメールを頂いております。
私(父)は、会社から帰るとまずパソコンを立ち上げて、このメールをチェックします。どんなに遅くなっても、これが日課です。
それらメールは、全国各地から、時に海外からもメッセージを頂きます。
様々な内容に、私は時に喜び、時に共感し、時に考えさせられ、時に反省させられております。
メールの内容に対し、専門家のように的確に答えられない自分の非力さを感じることがあります。
残念ながら私はカウンセラーではありません。的確に間違いのない回答を皆さんに対し答えられるような力は恐らく無いと思います。
私は私の範囲の中で感じたことしか、お答えできないのが現実です。プロの方々から言わせれば“何も分かっていない”と言われるような回答しかできないでしょう。
でも、プロでない分、もちろん全てではありませんが、皆さんの気持ちに少しは近づける気がするのです。
今回は、どうしてもご覧頂きたいメールがあります。
このメールは7/4にK市のHさんから頂いたメールです。(プライバシーの関係から一部を変更しております)
【以下がHさんよりのメールです】
毎週元気日記を拝見しております。りょうま君のかわいい笑顔と、りょうまパパのすばらしき行動力に、毎回勇気をもらっています。
実は、そんな勇気をいただいている『そよかぜの手紙』に、このようなお知らせをしていいものか悩んだのですが、悩んで悩んだ末、お伝えしておこうと思いました。
7月1日、息子と特殊学級で同学年のお子さんが亡くなりました。(同じ自閉症児です)。新聞やテレビのニュースでも出ていましたが、火事で亡くなったのです。
まだ原因はわからないそうですが、一人で留守番中に出火し、鍵を開けることができず、玄関付近で倒れていたそうです。
彼は、事情で両親が行方不明になり、おばあちゃんが育てていました。私は療育センター時代から顔みしりで、就学時健診や入学も一緒だったので、おばあちゃんの大変さは、手に取るようにわかっていました。
とても頑張り屋のおばあちゃんで、本当に孫のことを考えて育てていました。先生が、たまにはボランティアや支援費の制度なども利用したみたら、とすすめてみても、どうしても人に任せることが出来なかったようです。
きっと自分一人で抱え込んでしまっていたのでしょう。生活が大変でも、生活保護だけは受けたくない!と、彼が寝る時間頃から、お仕事に行っていたようです。
今回の火事は、その時間帯に起こってしまったのです。
私も、すべての事情を知っていたわけではありませんが、少なからず相談を受けたこともあったのに、力になってあげられなかったことを、本当に悔しく、悲しく思っています。
私たちの特殊学級の保護者は、みんなそんな気持ちを持っています。
まだ気持ちが動揺していて、何をどう書いたら良いのかわからないのですが、人間たいへんな時は、人の力をたくさん借りて、人に世話になって生きていけばいいのではないか、と思うのです。
『そよかぜの手紙』をご覧の方のなかにも、いろいろな事情を抱えている方がいらっしゃるかもしれません。
どうしても自力ではどうにもならないときは、人の力・行政の力(福祉援助など)を借りる勇気をもってほしいです。
ごめんなさい。うまくお伝えできなくて。今は彼の冥福を祈るばかりです。//
このメールを読んだとき、おばあさんの気持ち、Hさんの気持ち、そして特殊学級の保護者の気持ちに限りなく近い気持ちになったことは言うまでもありません。
胸が痛くなりました。亡くなられたお子さんのご冥福をお祈りいたします。
我が家もりょうまとの生活を通して、決して現在まで平坦な道のりではなかったです。実際にりょうまとの生活を通して、多くのものを失い・多くのことを学び・多くのものを得ました。
その中で感じ、また多くの方々のメールで感じるのは、周りの人(特に母親)が頑張りすぎてしまい、精神的・肉体的に参ってしまうパターンがとても多いことです。
もちろん頑張ることは大切ですが、頑張りすぎてはいけないと思うのです。
そして、社会支援を活用してゆくこと、これは決して恥ずかしいことではないし、むしろ積極的に活用すべきだと思うのです。
Hさんの言うように人の力を借りる勇気をもってもらいたい。全く同感です。参ってしまう前に、まずは周りの人たちも巻き込んでもらいたいのです。
それは、まず身近な人たちでかまいません。
私自身、今こうして生活していられるのも、社会支援を利用させて頂いているからこそであると思っています。そして、感謝をしています。
もちろん、現在の状態に至るまでに私自身にも葛藤が有ったことは事実。社会支援を得るための、相当の努力もしてきました。
多くの方に支えられて生きてゆく、そのこと自体、これから息子をはじめとする障害を持つ人たちが生きてゆくためには絶対に必要なことである事は間違いないのです。
「 決して一人ではないんだ。 」
これは、20代にある出来事から全く人を信用できなくなった私が、りょうまを息子に持ってから、多くの温かい心に触れて、あらためて心から学んだことです。
そうです、多くの人々に支えられて、これからも生きてゆくのです。決して1人じゃないのです。
※当HPの「mail」は、home-to-mailという機能になっており、記入された項目以外は分からない仕組みになっております。ご安心ください。
また、メールアドレスをご記入頂いていない方に対しては、アドレスが分からずお返事はできません。
どのようなメールも私(父)にとっては宝物です。しっかり、読ませていただいております。
私(父)も皆様からのmailを心待ちにしています。お返事できないことも有りますがお許しください。これからもよろしくお願いいたします。