「DOG'S MESSAGE」

ハ チ か ら 一 言(Part71〜75)

2004年11・12月合併号掲載分(Part71)

私のお洋服

 みなさん、こんにちは!お元気ですか?
 ZZZ…。ん?お母さんったらこんな夜遅くにまたミシン使ってる。ふぁー、眠い。
“あっハチ、目が覚めた?ちょうど良かった。ちょっとこれ着てみて。”えー、また私のお洋服?何かイヤな予感がしてたんだ。いつもは私と寝るお母さんが寝ないで必死に縫ってるんだもん。“あー、ここがちょっときついな。えー、ここはブカブカだ。”眠い私に出来たばかりの服を着せて一人ブツブツ言うお母さん。“ごめんねハチ、ありがと。脱がせてあげるからまた寝てなさい。”ふぅ、良かった。
 お母さんが私のための服作りを始めたのは、この前私が腫瘍切除手術で30cmも切ったお腹をカバーするために作ったのがキッカケだったの。それ以来,お散歩用はこれ、パジャマはこれって感じで作ることがお母さんの趣味になってしまったみたい。でもさあ、お母さんってぶきっちょだから、脇ぐりがキツかったり、妙に腰周りがブカブカだったり、センスのいい私にしてみたら、ちょっとイマイチ(ここだけの秘密よ!)。でも、私のために寝る間も惜しんで作ってくれるお母さんには本当に感謝してるの、ありがとう。大切に着るね。だって、このお洋服、世界でたった一着しかない、心のこもった私専用のお洋服なんですもの。

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2005年1・2月合併号掲載分(Part72)

私は”絶対”長生きよ!

 みなさん、こんにちは!ハチです。ご主人様がお話してくれました。
 ご主人様の職場の人のわんこが先日亡くなったそうです。16歳まで生きて長生きで幸せだったね、って思ったけどご主人様はそのお話を聞いて、ちょっと寂しかったんだって。もちろん亡くなってしまったことは悲しいことだけど、その亡くなり方がね・・・。
 1週間くらい前からもう何も食べ物を口にしないでぐったりしてて、亡くなったその日は日曜日で、ほんとならだれか家族が看取ってくれただろうにその日に限ってみんな出かけてしまって夕方帰ってきたら虹の橋へ旅立っていたそうです。
ワンコなりに家族を悲しませないように見計らったように亡くなったのかもしれないけど、ご主人様はそれは絶対耐えられないって。「ハチがもしものときは、絶対そばにいるからね。」ご主人様はお話してくれた後、涙を浮かべて言いました。
 わかってるよ、ご主人様。わたしはご主人様やお母さん、ナナ、ロク、ゴォが見守ってもらえるときにするから安心して。捨て犬の老犬の先代ロクでさえ、家に来てわずか9ヶ月で旅立ったときもちゃんとみんなの前で息を引き取ったんだもの。ご主人様の思いは、私もナナもロクもゴォもちゃんとわかってるから安心してね。そして、私もそのワンコに負けないように長生きするから安心して、ご主人様。

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2005年3・4月合併号掲載分(Part73)

見えない糸

 こんにちは、ハチです。皆さんお元気ですか。
 ハチのご主人様は今、不幸なワンコやニャンコが集められる職場にいるそうです。毎日のように持込まれるかわいそうな仔たちに、ご主人様はかなり気持ちがまいっているよう。「ハチ、今日もまた捨てられたワンコが来たよ。かわいそうに皆殺されてしまうんだよ。つらいよ…」ご主人様は仕事から帰るといつも私を抱えてふさいでいるの。
 でもね、ある日ご主人様がすごくうれしそうな顔をして帰ってきたの。ご主人様、なになに?久しぶりに元気な顔して帰ってきたご主人様を見て私もうれしくなっちゃってしっぽをブンブン振ってお話を聞かせてもらったの。そしたらね・・・きょうは道端に死にそうな猫がいるとの事で持込まれた猫がいたんだって。その仔は、ガリガリに痩せていて見るからに野良ちゃんがお腹を空かしているみたいな感じだったから、ご主人様は自前の猫缶を開けて食べさせてあげようとしたんだけど食べない。何故だろう?今度は猫用ミルクをあげたけど飲まない。衰弱し過ぎて食べたり飲んだりすることができないのかな?と思って鼻先にミルクを塗ってあげたらちょっとなめるくらい。いきなり変わったところに来たたから緊張してるのかな?って思ってケージから出して見たら、よたよたしながら小さな声で鳴きながらどこかへ行こうとしているみたい。あまりの姿に、もしかしたら死に場所を探しているのかな、ってご主人様は思ってしまったそうです。
 しばらく経って、職場の電話が鳴り、取ってみると、何とその仔の飼い主からだったんだって!あわてて迎えに来た飼い主は、大事そうにその仔を暖かな毛布にくるんで連れて帰ったそうです。もう歳で口の中に腫瘍があって食べたり飲んだりできないから食事はいつもミルクを練って口の横から飲ませてるんだって。たまたま今日は小春日和だったから縁側でひなたぼっこさせてあげてたら、ちょっと春風に誘われて冒険に出てしまったみたいだね。きっと知らない人に捕まって全然知らないところに連れてこられて、怖くてお母さんのこと呼んでたんだね。きっとその声がおかあさんに届いたんだよ。
 お話聞いて私もすごくうれしくなっちゃった!もし、私が同じ目にあっても私の声はきっとご主人様に届くよね。かわいがってもらっている仔はみんなそうだよね。目に見えない何かで必ず結ばれているんだもの。

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2005年5・6月合併号掲載分(Part74)

散歩の効きめ・・・

 みなさんこんにちは!お元気ですか?
 御主人様は、よく私に話しかけてくれます。家でくつろいでいる時、食事の時、寝る前、そしてもちろん、お散歩の時も。
 「ハチ、聞いてよ。今日○○さんに、こんなこと言われちゃった。ハチはどう思う?」あーあ、また御主人様のグチが始まった。一日のお仕事を終えて、ストレスを溜めて帰ってくる御主人様。そんな時、私は散歩しながら御主人様のお話に聞き耳を立てるように、時々アイコンタクトするの。それでね、御主人様は「ハチはどう思う?」って必ず最後に聞くから、私は思いっきりの笑顔で御主人様を見つめ返して、“そんなこと気にしないで、私がいつもそばにいるでしょ”って伝えるの。
そうすると、「ありがと、ハチ。何かすっきりしたよ。ハチと歩いてると、ほんとに気持ちが軽くなるよ。」って言ってくれるの。
 私はいつでもお話、聞いてあげるよ。難しいことはよくわかんないけど、一所懸命耳を傾けて、笑顔で答えてあげることは、私、得意なんだ。御主人様にいつもの笑顔が戻って、私を見つめ返してくれる。その瞬間がとても幸せなの。
 散歩って、ほんとにいいよね。みんなも匂いばっかり嗅いでないで、時々、御主人様のお話を聞いてあげてね。きっとすごく喜んでくれると思うよ。

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2005年7・8月合併号掲載分(Part75)

ご主人様が見た夢

 ある夏の昼下がり。エアコンの効いた部屋で、お昼寝をしていました。ハチは私からちょっと離れたところで寝ていました。そして…夢を見ました。
 私はワンコを連れて車で小学校に来ていました。グランドで遊ぼうと思いましたが、子供たちがソフトの練習をしています。「終わるまでちょっと待ってようか。」そうワンコに話しかけ、駐車場の木陰でみんながいなくなるのを待っていました。“あ、車が入ってきた。まずいな、そこに止められたら出れなくなっちゃう”ちょっと離れたところで見ていた私は、一人でブツブツ。車から降りてきた親子連れは校舎の方へ歩いて行きました。
 夕方になってもソフトの練習は終わりません。「仕方ないな。今日はあきらめて帰ろう。車をどかしてもらわなくちゃね。」職員室に行ってみると、誰もいません。鍵がかかっていました。あれ、おかしいなあ。そして車のところに戻ってみると、車はありませんでした。ん?いつの間に?ふと、グランドに目をやると、もぬけのカラです。え!どうして?その時、ふと自分が小学生だった頃の記憶がよみがえりました。鍵っ子で、夏休みの間は広い家の中で、いつも一人ぼっちでした。母が仕事から帰ってくるのを毎日ひたすら待っていました。「ハチは?ハチ!」叫びながらもといた木陰を見ると、ハチは尻尾を振ってそこにいました。「あー、よかった。私はまた一人ぼっちになっちゃったかと思ったよ。
ありがとう。さあ、帰ろう。」…
 目が覚めたとき、ハチは私の体にお尻をくっつけて、気持ちよさそうにお昼寝してた。ありがとう、ハチ。ずっとそばにいてね。私もずっとそばにいるから。もう悲しい夢を見たって平気だな。ハチは絶対に私のそばにいてくれる。
 ハチがいるから大丈夫。

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