モンロー・トラウトに学ぶ株式投資の教訓

株式投資の教訓とコメント

　マーケットの魔術師シリーズ第２巻に登場するトレーダー、モンロー・トラウトのインタビューの中から株式投資の教訓となる文言を抽出し、コメントを加えて考察します。

リスク管理

リスクの管理方法は統計的にほとんど起こり得ない状況に対応していなければならない。なぜなら、それは起こり得るから。(p.166)

コメント
　株式投資においては、頻度は少ないにしても、時として想像を越えた値下がりや値上がりが起こります。
　めったに起こらない事象だから、考慮する必要がないとして放置しておくと、立ち直れないほどの損失を出す可能性があります。
　このあたりは、めったに起こらない、大規模な自然災害に似ています。避難経路や避難場所、非常食などの対策を考えていかないと、いざという時に混乱します。
　株式投資で大負けを防ぐには、ストップ・ロス・オーダー(逆指値注文)で損失を限定することが重要です。

株価の変動規則

価格は独立していないこと。言ってみれば、価格には、いくつかの統計的に重要なパターンがあるということです。(p.167)

コメント
　日々の株価は、離散的に発生しているのではなくて、前日、前々日など過去の株価を踏まえて、株式相場参加者の総意で形成されています。
　株価は時として、過去の変動パターンと似た動きをすることがあります。優位性がある株価変動パターンを見つけられれば、利益を上げられる確率が高まります。

リスク回避

自分が何をしているのか分かっていないと、あっという間に損失を被る、ということですね。(p.168)

コメント
　日常生活において、自分が今何をしようとしているのか分からない状況というのは、何か病的な状況が連想されて、通常ではそのような人は滅多にいないように思えます。
　しかし株式投資においては、そのような状況は起こり得ます。
　知人に勧められたからとか、雑誌で推奨されていたからという理由で、何の優位性を見出すことも無く株を買う方がいます。
　テクニカル的に見て、現在は買いなのか売りなのかを考えることも無く、実体価値と比べて割安なのか割高なのかを考えることも無く、大金を投資する人が沢山います。
　自分なりの投資戦略、売買ルールに従った結果として損失が出たのであれば、まだ改善する余地があります。自分が何をしたのか理解出来ないままに損失を出すのは最悪です。

損切りポイント

・ストップ注文を置くのであれば、典型的なレベルに置かないことです。
・マーケットは切りのいい数字に引き寄せられる、ということですね。
・トレードに適したレベルは、マーケットがその価格に達する手前です。私はこれを「磁石効果」戦略と呼んでいます。(p.170)

コメント
　切りのいい数字や大台の数字は、株価としては抵抗線となったり支持線となったり、心理的に意味のある価格帯となることが多いようです。
　例えば、株価が９５０円から上昇していたとして、１,０００円の手前で停滞すれば１,０００円が上値抵抗線と言えます。その後１,０００円を超えたら上値抵抗線をブレイクしたということで、更にもうしばらく上昇することが想像出来ます。これを踏まえると、逆指値で１,００１円以上となったら買い出動するという行動が考えられます

　損切りの価格に切りのいい数字を指定したとき、多くの相場参加者が同じ価格帯に注目していた場合、その価格まで下落した際に多数のストップ・ロス・オーダーが起動して下落が加速する可能性があります。これを踏まえると、損切り価格は切りのいい数字を挟んで、早めにストップしたければ少し上に置く、安易にストップしたくなければ少し下に置くという行動が考えられます。

ウィザード人脈

なし

マーケットの魔術師に学ぶ株式投資の教訓(シリーズ第１巻)