母校の近況

「教育・共育」 平成17年度同窓会担当教諭 田嶋 恵美子

 二子玉川駅から大井町線の先頭車両に乗り、車窓から桜の花や新芽の柔らかな緑を目にしながらの通勤に、心も軽く九品仏小学校に赴任しまして、もう五年が過ぎ去りました。江戸時代の儒学者貝原益軒が、加齢と時間感覚を「若きときより月日の早きこと十倍なれば・・・」と述べているとおり、本当にこの五年間はあっという間に過ぎた気が致します。

 私は「ことばの教室」を担当しておりますので、九品仏小学校の子ども達全員と折にふれ言葉を交わしていきたいと考え、登下校の時や休み時間など、機会をとらえては、話しかけています。子供らしい素直さで、元気いっぱいに、学校生活を楽しんでいる様子が言葉の端々に感じられます。小規模校の良さを活かした学校教育と共に、この地域の教育力の厚みが、子ども達が素直に前向きな気持ちで学習に取り組む姿勢を育んでいるのだと痛感しています。活発なPTA活動からは子育てへの情熱を、言葉を交わしながら買い物のできる商店街の存在からは、心の通い合う温かさを感じています。また、同窓会の皆様方が、今年度も運動会、展覧会、学校公開、道徳地区公開講座など、多数ご参観下さり、母校に誇りをもってご尽力下さっていることも大きな励ましになっていると痛感しています。

 私の担当しています通級指導学級「ことばの教室」は、平成十三年度に世田谷区の三校目として九品仏小学校に設置されました。開設されたときには「ないないづくし」で指導開始。指導と平行して西側校舎の三階二教室と廊下を併せたスペースを、個別指導教室三部屋、プレイルーム、職員室を配分し、子ども達が集中して学習できる環境にと、巻き尺を片手に設計図を引き、夏休み中にリニューアル。二学期からは指導に専念することができました。そして五年を経た今、九品仏小学校を含め、十一校から二十九名が通級しています。「ことばの教室」は一人ひとりの個性を大切に担任とマンツーマンでゆったり学習する中で、言葉の力を育み、コミュニケーションの意欲や力を育てる教室です。発音の改善や体験を通した豊かな言葉を育むには、家庭との連携も大切です。週に一回の通級ですが、保護者と毎回面談をし、情報交換をしています。時には子育てについての悩みや不安についての相談になったりしますが、子ども達の成長の支援をする中で、担任も保護者も、共に成長しているのだと感じることがあります。まさに、教育は共育です。

 「たゆまず あせらず あきらめず」を合い言葉に、これからも、楽しい「ことばの教室」を創っていきたいと思っています。そして、九品仏での多くの出会いを楽しみに、一日一日を大切に過ごしたいと考えています。


平成17年展覧会

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