三日目
○ 桂林博物館
陽朔から桂林市内への道中、バスから見える景色は田舎の景色でこれぞ中国という、最も見てみたかった風景が続きました。
やがて桂林市内に近づき、人が多く住む都会の町並みと変わっていきます。
中国は漢民族の他に55民族からなる多民族国家です。
桂林市内にある桂林博物館にはそれら少数民族の暮らしぶりを再現した展示物があります。
少数民族自治区はそれぞれの民族の文化、風習に干渉しないように中国政府は口を出さないらしいのです。
そのためにただでさえ何でも有りの中国の中で、さらに何でも有りで、治安が悪いらしいのです。
ここ桂林は広西省チワン族自治区に属し、スリなど犯罪の多い場所ということです。
日本の国士舘大学に留学していたという日本語の達者な博物館職員に少数民族の話を聞きました。
少数民族にはさまざまな風習があり、一夫多妻というのは聞いたことがありますが、一妻三夫という民族があるということを聞かされました。
この民族は家事は三人の夫がこなし、妻は何もしなくても良いという女の天国のような民族らしいのです。
その少数民族のパネル写真を見ると、確かに女性は生き生きとした顔をしているのに対し、男性は眉間にしわがよりいかにも疲れた表情をしています。
しかもこの民族では再婚が禁じられている為に、一度三行半を突きつけられた男は死ぬまでひとりで寂しい人生を過ごさなければならないということなのです。
したがってよっぽどのことが無い限り一生我慢して家事をこなすらしいんです。
こんな民族に生まれてこなくて良かった!とつくづく思いました。
その他、色々な民族の風習をマネキン人形を使って再現した展示物の説明をいくつかしてくれました。
この民族は年頃の男女が年に一回集まって行われるお見合い祭りを再現したものです。
写真に写っていませんが、高さ4メートルほどのカラフルなポールの先端が輪になっていて、それに向かって毬を投げて意中の人の所に投げるということです。
チャンスは年に一回だけしかなく、毬がうまく輪を通らなかったらまた一年間待たなければプロポーズできないらしいんです。
つまり、投げるのが下手な男はいつまでも結婚できないという事らしいですよ。
その他色々見て回りましたが、この資料館は冷房が無くところどころ壁に取り付けられた扇風機があるだけなので暑くてたまりません。
説明している博物館職員も汗だくだが、聞いているこちらも汗だくになってしまいました。
民族資料館を出て、1階に下り、「ラストエンペラー」で有名な清朝の時代の工芸品の展示室に連れてこられましたが、こちらのほうは冷房が効いていいます。
茶箪笥のようなものの中に9個の清朝時代のお宝が収められています。
これらは中国政府が持っているお宝ということですが、その前で国士舘大学に留学していたという博物館職員がなにやら説明を始めました。
長々とお宝の説明をした最後に
「中国は多民族国家です。領土も広大なため一部の少数民族はまともに教育を受けられない子供たちがいます。そのためには学校を作る必要があります。その費用を捻出するためにこの宝を一式170万円で売ります」
と言っています。
え゛〜。
それらのお宝を買った場合中国政府のお墨付きの証明書がつき、運送費用は全て中国政府が持ち、関税もなんとかかんとかが負担するので170万円ポッキリでクレジットカードで支払いもOKなのだそうです。
なんでもありの中国だが、国のお宝を平気で海外に売り払ってしまうとは・・・・・・。
さらに驚いたのは協力会のメンバーの中で二人ほど買う気になって博物館に残って商談をしていくらしのです。
夕食までには博物館の車でホテルに送ってくれるということです。