佐橋: 最近、どっか、旅、行った?また? 宮沢: 旅はね、えーーっとね、今年ちょっと、南米を、攻めようと。 ま、この10年間、チャンスがある度にここでライブやってんですけど 佐橋: そうだよねぇ。 宮沢: それを夏ぐらい・・まだ、大決定じゃなくて・・・ アルゼンチン、サンパウロと・・・やりたいのと・・・ 来年、1月、2月くらいに、去年もやったんですけど、ヨーロッパの、ちょっと東の方、 ポーランドとか、あの辺をまわろうかな、と、、ライブで。 佐橋: あっ!!ライブでぇ・・・あ、ほんとぉ・・・ 宮沢: ソロの方なんですけれど、The Boomじゃなくて。 小倉: あのぉ、宮沢君が最初にそうやって、ブラジルに、行って、向こうで、 音楽・・・いろんなミュージシャンとセッションしたりアルバム作ったりっていうのは、何年くらい前? 宮沢: もともとはボサノバ、子供の頃から好きだったんですけれど、 やっぱり、ハーモニー、わかんないし。ギターでも・・・ 佐橋: 結構、難しいのよねぇ・・・ 宮沢: で、聴くモノって、割り切ってたんですよ。 小倉: 独特ですもんねぇ。ポジションも・・テンションも、ねぇ。 宮沢: そうなんですよね。それでやっぱり、プロになってから、ブラジルの音楽はやっぱりいいな、と。 で、まぁ、先輩の矢野顕子さんとか、「カエターノ・ヴェローゾ、聴きなさい」とか、いろいろCDくれたりして。 で、こう、頭がブラジル一色みたいになって、はち切れそうになってきて、 これは行かないとしょうがないだろうと。で、リオにねぇ、92年くらいですかね、一人で行って。 小倉: 12年前だね。 宮沢: ん、それで、もう、ガツーンでしたね。いろんなライブ見てまわって、 佐橋: そっか、俺、ブラジルはまだないんだよな、行ったことが・・ 宮沢: それからもう、12年ですけど、20回くらい・・・ 佐橋: そんなに行ってるの・・(マジでびっくり!) 佐橋: その後、縁あって、お仕事でもねぇ、ライブに行ったり・・ それこそ今回のソロアルバムにも向こうでとったやつとか・・・ 宮沢: ありますねぇ。 小倉: でも、スゴイのがですねぇ、その、コーディネーション、なさらないで・・・ だから、いろんな人に紹介してもらうんじゃなくて、 自分で行って、そこで新しい人間関係が出来てきて、みたいのが、スゴイですねぇ。 佐橋: だって「探検隊長」と言われてますからね。音の。(笑) 宮沢: 「(現地の人に)一緒にやりたいんだよ、君らと。」っていうのをすごく、伝えたくてですね。 誰かを通すとですね、やっぱり、温度が下がってくるじゃないですか。 で、いらぬ、いろいろな思いが入っちゃったりとか。 だから、直接、たとえば、マルボ・スラムとかね、 スタジオに押しかけていって、レコード一緒に作らないか、と・・・(笑) 小倉: あ、押しかけちゃうんだね。 佐橋: ちょっと、「道場破り」も、入ってま すね。(笑) 小倉: それは、あれですね、ちょっと、「島唄」の時もね、沖縄が、好きで、そこに住んで、その中から出てきたもの・・ 宮沢: 住んでっていうんでもないんですけど、まぁ、何回か通って。 戦争を体験したおばあちゃん達の話なんかを聞いて、知らない事だらけで。同じ日本なのに。 だから、むしろ、沖縄がああいう砦になってですね、太平洋戦争の時に、で、本土上陸はなかった訳ですよね。 ということは、彼らの悲しみ、苦労があって、俺たちこうやって豊かに音楽なんかやったり出来てるんだと、 そこで知らされて。知らなかったから。まぁ、頭でわかってても。 それで、まぁ、ガツーンと来て、「島唄」を書いたんですけどね。 佐橋: そうか、そうか・・・でも、なんか、惹かれていく物が、なんか、音楽の話をとっても、割と、こう、 あったかい土地のモノが多い?もしかして? 宮沢: そういう、なんていうかなぁ・・・・ 例えば、アフリカから人が強制的に来たり、ヨーロッパ人が夢を求めてきたり、 じゃぁ、アジア人も行くか、みたいな、、 そういう人種の交差点みたいなとこって、音楽、面白いじゃないですか。 で、久保田麻琴さんが言った名言で、「そういう所はコーヒーがウマイ」っていうんですけど・・確かにそうで。 佐橋: あー、なるほどぉ・・・ 宮沢: そういう所に行くのが、なんかね・・そういう、「るつぼ」にもまれてる自分が楽しいっていうか・・ 小倉&佐橋: うんうん。 宮沢: 今度、一緒に行きませんか、ブラジル。 佐橋: あー、いいねぇ。案内してもらっちゃって。(←思 わず) 小倉: それさぁ・・案内、してもらうの?(笑)(それっ てどうよ的ちょっと攻撃モード(笑)) 佐橋: それも、すんごい、他力本願・・・・(笑)(あ、 しまったぁ・・・ポリポリ・・(笑)) 小倉: っていうかね、ギター持って、ねぇ。向こうでっていうのは、ありますよねぇ。 宮沢: あんまりいいギター、持っていかない方がいいと思いますけどね。 小倉: ああ、湿気が・・・ 宮沢: なくなっちゃったりする・・・ 佐橋: (笑) 小倉: ああ、ねぇ。 佐橋: 俺、だって、メキシコ行った時に買ったバファゼストってい う楽器、ホテルで盗まれちゃったもん。 小倉: あらまー、ホテルで・・・ 佐橋: チェックアウトしようと思ったら、「ない」って言われちゃって。 小倉: それ、鍵、持ってる人ですよね。 佐橋: でも、なんか、平気なの、みんな。「しょーがないよ。」みたいな。 小倉: でも、いいねぇ、南米。行きたいなぁ・・・(マジ) 佐橋: なんか、最近、お気に入りの、ブラジルの・・・ 宮沢: 最近、坂本(龍一)さんの、ニューアルバム。どう思いました、お二人は。 佐橋: あーー、ねぇ。(少し複雑な反応) 小倉: あの、いろんな幅が、ありますよねぇ。 宮沢: うん、ノイズだけ、とかね。 佐橋: そうそうそうそう・・・ 小倉: こないだね、ニューヨークで、矢野(顕子)さんの、自宅にちょっとお邪魔したんですけれど、 その時に、すごくやっぱ、ニューヨークで聴くと、あってましたねぇ、、あの、雑多な感じというのが。 佐橋: ちょっと、先週だったか、、割と最近、メールが来て、なんか、教授が面白い事が書いてあったんだけど、、、 ずーっと、ほら、ジョビンの・・バンドで、、、、、世界 中、旅して回って、 すんごい自分の中で変わった事があって。 音符の長さっていうの?に対する考え方が、すごい変わったっていうことを言ってたわけ。 なんか、まぁ、ある種、テクノの、権化じゃないですか、YMOの坂本龍一さんといえば。 それでコンピューターのリズムというものでで何かを作ろうと思った理由ってのは、欧米人のノリっていうか、 グルーヴに、パワーに負けないためには、逆に全部ばっと、きっちりと整理をしてしまおうという発想から YMOがあったとすると、全くその逆の事をね。。。 ある種逆ではなくて、その線上にあるのかなぁとも思うんだけれど、なんか、深い言葉だったですね。 それは、ねぇ・・・ 宮沢: ヤマハの、ジョビンのピアノを使って、録音しましたよね。 佐橋: あ、そうなんだ。 宮沢: そうすっと、弾くんですって。そうするとピアノが、ジョビンのタッチを覚えて るんですって。 小倉&佐橋: あーーー 宮沢: 要するに、坂本さんは自分のタッチで弾こうと、思わないんですって。 ジョビンのタッチに、ピアノの方が、させてしまうっていう。。。。 びっくりした 小倉: なんとなくね、わかりますけど、深いですね、それって。 宮沢: ギターもきっと、それってあると思うんですけれど。 小倉: ギターもありますね。(きっぱり) 佐橋: なんか、その、平たく言うと道具というか、モノ・・・ 自分にとって大事な相棒って何か乗り移っている物があるだろうね。 宮沢: それは、そうだよねぇ。 小倉: たとえばね、(ジョビンのピアノの)ハンマーのフェルトの減り具合っていうのはそのままらしいですから、 それはすごい癖がある・・・ 宮沢: でも、亡くなってから何年もたってるから、その間弾いてないし。 普通、楽器としてはヤバいじゃないですか。弾き続けてないと。 佐橋: そうだね、どちらかというと・・・ 宮沢: でも、覚えてるんですって。 佐橋: スゴイね、それ・・・ 小倉: 環境も、ありますよね。きっと。 宮沢: カエターノ自身も、坂本さんと交流が深いし、 その、ジャケス・モレレンバウムってチェロリストも、カエターノの専属アレンジャーだった人ですし・・・ 宮沢: 坂本さんの方の、曲をかけてもいいですかね? 佐橋: ああ、いいね、いいね・・・ 宮沢: じゃぁ、えーっと、なんだっけ・・・1曲目、「Undercooled」でしたっけ・・・ 佐橋: じゃぁ、それを、聴いてもらいます。 『Undercooled』(坂本龍一) |