マーク・リッチーに学ぶ株式投資の教訓

株式投資の教訓とコメント

　マーケットの魔術師シリーズ第２巻に登場するトレーダー、マーク・リッチーのインタビューの中から株式投資の教訓となる文言を抽出し、コメントを加えて考察します。

ポジションサイズを管理する

ポジションのサイズをコントロールするのは、成功するために不可欠の要素です。(p.340)

コメント
　例えば運用資金１００万円を投資して、利益率が５０％で１５０万円になったとします。この調子で今度は１,０００万円を投資すれば１,５００万円にするのも夢ではないと考える方が多いと思います。
　しかし必ずしも前回同様に利益が出るとは限らないので、評価損を抱える可能性も大いにあります。投資額が１０倍になると評価損が出たときのプレッシャーは想像以上に大きくなります。

　１００万円投資して５０％の評価損が発生した場合、決済すると５０万円の損失となります。投資額が１,０００万円なら損失額は５００万円となります。
　保有資産が１,０００万円あると仮定すると、損失額が５０万ならまだ９５０万円残っている訳ですから今後のリカバリーは充分可能だと思います。
　これに対し損失額が５００万円だとしたら、リカバリーには長期間を要し、かなり困難になることが予想されます。

　資金量の大小によって損失額の許容度は人それぞれ異なります。同じ５０％の損失でも５０万円なら耐えられる場合でも、損失が５００万円だと耐えられない方が多いのではないでしょうか。
　投資がうまくいった場合の利益額だけに注目せずに、失敗した場合の損失額も考慮に入れて投資額を考えるべきです。

メンタル管理 精神を平安に保つ

人が冷静さを失っているとき、あなたが冷静さを失わなければ、あなたは富を築くことができる。(p.341)

コメント
　大衆の動きに流されずに、自分の頭で考えて行動するということが、結果的に良い方向に向かうと思います。
　ビジネスにおいても株式投資においても、大多数の人と同じことをやっていては、なかなか成果を上げられないのではないでしょうか。

　「絶望のどん底で買い、歓喜の絶頂で売れ」という言葉があります。また、人の行く裏に道あり花の山、という格言があります。
　楽に実行出来ることはあまり儲からないことで、逆に容易に実行出来ないこと、困難なことの中に儲かる秘訣があるように思います。

損切り

比較的に初期のレベルで群集の反対に付き、もし間違っていたら手仕舞う。「損切り」注文とは、そのためにこそあるのです。(p.342)

コメント
　群集の反対側に付くという投資スタイルは逆張り投資です。逆張り投資法における著名なものとしては３点チャージ投資法があります。
　逆張りで買い出動した場合、うまくリバウンドすればいいのですが、銘柄によっては予想が外れて更に下落することがあります。
　そのようなケースを想定して買いポジションを持った際に逆指値でストップ・ロスを設定しておけば、見込みが外れた際に慌てずに手仕舞うことが出来ます。

ポジションサイズを小さくする

あまりに小さい、と思うくらいのサイズで、常にトレードすることです。(p.351)

コメント
　株式投資で一度儲かると気持ちが大きくなって建て玉の金額が大きくなりがちです。そうするとリスクを大きく取り過ぎて、相場の動きが見込みと違った場合に大きな損失を出す可能性が高くなります。

システムトレードの注意点

システムは過去のデータにおいて優秀であるが、将来については未知数、ということになる。(p.352)

コメント
　システムトレードで陥り易い間違いは、過去の株価データに合わせて売買ルールを極端に最適化してしまうことです。これをカーブフィッテイングと呼びます。
　カーブフィッテイングされたシステムは過去の株価データにおいては素晴らしいパフォーマンスを示します。しかし現実の相場は過去と同じ値動きを繰り返すとは限りませんので、予想外の損失を出す危険性を内在しています。

資金量に対して余裕を持った建て玉とする

損失許容力のある資金を持ち、夜眠ることができる、そうでなければマーケットでやっていくことはできないのです。(p.354)

コメント
　資金量は人それぞれ異なるので一概には言えませんが、建て玉の金額は運用資金に対して余裕を持たせるべきです。
　運用資金に対して建て玉金額が大き過ぎると、相場が見込みと反対の方向に動いた際に評価損が大きくなって心理的に耐え切れなくなります。

ウィザード人脈

なし

マーケットの魔術師に学ぶ株式投資の教訓(シリーズ第１巻)