ジャズの学習について

ジャズの学習について

即興音楽のジャズの学習の難しさや陥りやすい点についてお答えします。

ジャズがなかなか上達しません。どうしたら打開できますか。

まず、楽器が上達しないのであれば、それぞれの楽器の演奏者(指導者)について、その楽器についてきちんと指導を受ける必要があるでしょう。

しかし、アンサンブルに関しては、担当の楽器よりも他の楽器の演奏者(指導者)に習うほうがよいという考え方もあります。 例えば、私はベース奏者ですが、ジャズ・アンサンブルにおいてベースは一人です。したがって、ベーシストはほかのベーシストと演奏する機会がほとんどありません。 加えて、ベーシストは、ボーカルや管楽器のようなメロディ楽器、ピアノやギターのようなコード楽器、ドラムやその他の打楽器とそれぞれ密接に関係しています。 したがって、アンサンブルに関しては他のベーシストから助言をもらうよりも、メロディ楽器、コード楽器、打楽器から、やりやすいかどうか、考え方にギャップがなかったか、 どうしたらよりサウンドするかなどについて率直な意見をもらうべきです。

加えて、即興音楽であるジャズは、ジャズそのものを学ぶ必要があります。 そのためには、いわゆる「ジャズ理論」について学ぶ必要があります。

「ジャズ理論」とは、コードやスケールの話だと考えている人もいるかもしれませんが、それだけではありません。 リズム、歌詞、形式、アンサンブルをする上でのマナー、それにアレンジメント、記譜法、ジャズ史などについて学ぶことで、より深くジャズを学ぶことができます。

それでは、「ジャズ理論」はどのように学んだらよいのでしょう。多くの人は理論書を紐解けばジャズ理論を学べると考えているようです。 しかし、それだけでは実践的な知識はじゅうぶんに得ることはできません。 どんな分野にもいえることですがケース・スタディの積み上げが、ジャズそのものを学ぶ最も効率的な方法です。

私は、ベーシストです。

したがって、ベースの奏法、ベースラインの考え方やベースソロについて、あるいは、ベースでメロディを演奏する方法などについては伝えることができます。 ところが、私が指導するベーシストに対して、ジャズアンサンブルについては、メロディ楽器、コード楽器、ドラムなどの打楽器など、それぞれ信頼できる楽器奏者から学ぶように伝えています。

私は、ベース以外の楽器奏者や歌手に対して具体的な奏法や歌唱法についての指導はできませんが、 ベーシストの視点から、表現、リズム、ハーモニーなどについて的確な助言や指導ができるものと考えています。

加えて、私は、ジャズについてのケーススタディを積み重ね、またジャズ理論について整理をしてきました。 また、自分自身、継続的にイヤートレーニングに取り組んできました。 いわゆる「ジャズ理論」、すなわちジャズそのものを学ぶには、ピアニストに習えば良いという考え方もあるようですが、 ジャズそのものについて地道に研究して理解を深めてきた人に習うべきであると考えます。

以上、質問の答えとしては、第一に自身の楽器(または歌)の指導をきちんと受けること、第二にジャズアンサンブルについて可能であれば自身とは別の楽器奏者の指導を受けること、 そして、第三にジャズそのものの指導を受けること、以上をバランス良く計画的に学ぶことで、ジャズの表現そのものが向上するものと思われます。