嘉彦エッセイ


第9話(2004年12月掲載)


        



  『あなたは立派なチャンピオン』

        ・・・・任せろ! 自信をもて!



 私は趣味でスキーを長いことやって来た。趣味を通り越して人生を随分賭けてしまったきらいがあるほどのめり込んだ世界である。組織の中心的存在を長いこと担当して、多くの若い人たちと接して来たし、今も滑り、学び、語り合っている。もちろん仕事でも、VEを指導する仕事がら、社内外を問わず多くの人と接して来たし多くの会社も見て来た。

 会社でもスキー連盟でも人事はいつもつきものである。スキー連盟では隔年毎に役員の選考が行われ新人が登場する。会社でも交代の多くは若返りであり、交代する後任の人をみて『この人で大丈夫だろうか』と思ってしまうのは私だけではなかろう。

 若い人が結婚をする。『まーこの子が結婚をするの?大丈夫?体だけは立派な大人だけど、台所や家のことできるのだろうか』過去に自分も思われていたことを忘れて、人のことを余計なお節介でこんなことを考えるものである。

 どうして、どうして、会社でも家庭でもスキー連盟でもそれぞれ立派にこなしているではないか。批判をしているのは舅・姑・小舅根性のおじさんたちで、そのおじさんの方がよっぽどできない事が多い。会社や連盟では「業務」があって、自分の好みでは済まない世界が多かれ少なかれ存在することと、実績を期待する人が少し距離を置いた世界にいて、なかなか要求事項がずばり伝わっていなかったり、それぞれの思い入れがあって、『あいつはまだ若い』とかひどいときには『なっていない』などの批判の矛先を向けてしまう。

その本人に責任意識がなければ、この批判は「当たり」となるが、ヤル気、責任意識があればそれは“小舅根性の批判”に近いことがしばしばあるものである。

 会社ではまず間違いなく新責任者は責任を全うする結果を生む。ありがたいことに少なくも次の人事異動まである期間があって、その間は十分結果を出すに足りる猶予がある。責任意識も、指名された時点で一気に変化してくる。この一気、すざましく変化するもので、見違えるほどの変身をするものである。スキー連盟や他の組織でも、新しい組織なら何をやっても次へのステップになるし、既存の組織ならある程度の基盤があるのでその延長の仕事をすれば当座はしのげる。未経験の人でも、多少若年でもこなせられるものである。少々モタモタしても責任意識さえあればまず間違いなくこなす。

 新婚家庭。周りの心配をよそに結構うまくやっているではありませんか。普通の家庭でもしかり。一家の主になると、会社での優柔不断やアクションの遅さはどこに行ったのか、子供の相談にはすぐ乗れるし、近所との付き合いの難しさにも何らかの決断はするし、棚がほしいとカミさんに言われれば、すぐホームセンターにも行く。水道の蛇口が調子が悪いと言えば、すぐに水道屋に転ずる。この機敏さ、この器用さ、考えられる要因は「自分が一家の中心」「プライドもある」「オレがやらなければ」の責任感から来るものであろう。そして「オレがやることに誤りはない」の自信が備わって行動が開始されているのである。

お父さん、会社で黙っていないで(内弁慶でなく)、自信をもって臨んでみたらいかがですか。新しい世界が開けるような気がする。そうそう、小舅のおじさん。あまり口出しをしなさんな。任せてみなさい。責任を与えてみなさい。ちょっと我慢して見てあげなさい。できるって!。(小舅にルビを打つとサトウなんて出て来そうな気がしますが・・・・)

(来月は『自信満々』です。お楽しみに)

          (株)VPM技術研究所 所長 佐藤嘉彦 CVS-Life, FSAVE

                          佐藤嘉彦 著 エッセイ集 「千載一遇」より